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通過

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全天アトラス    : 稼働中

擬似天球ミュール  : 稼働中

 ミリシアフォルダ : ロード中


SCENE LOAD

TITLE : 通過

-------------------------------------------



完全に姿を現した大きな蜘蛛がこっちを見てる。

赤い目がなんか嫌。

なんでだろう?




「さて、どうしようかしらね〜」

「あちらさんは、やる気満々のようだぞ?」


まだ距離はあるけど、今にも突っ込んで来そう。


「脅威判定と、可能なら討伐かしら?」

「放置は出来んな。 他の奴らじゃ喰われそうだ」

「メリッサちゃんは、しばらく後ろで見ててね〜」

「……は、はい」

「あとはコイツだな……」



あ、神官さんの首がゴキって……

「グエッ!…………はっ!神の晩餐は!花々の咲き誇る神の庭園は!?」

「そんなもんは此処にはねーよ。 戦闘だ、仕事しろ」

ドルフさん、神官さんに容赦ないなぁ。


「そんな!私の至福のひと時が幻とは!なんと無体な!」

「来るわよ〜」

「寝ぼけてると死ぬぞ?」










目の前を巨大な脚が通り抜けていく。

壁みたいだなー、髪の毛バッサバサ。

「ララさーん。コレおっきすぎませんか?」


一歩横へずれる。

大きな音と一緒に、上から脚が落ちて来る。

「ドルフさん、すごいなー。正面で受けてる」


盾で受けた時の衝撃が響いてる。

「お前らは避けろよ。 思ったより重い攻撃だ」


「はーい」

「分かったわ〜」


じゃあ、ちょっと行ってみますか。

目の前の脚を駆け上る。

デコボコしてて走りやすいなー。

上から一気に!


────ガキンッ!


「かった————い!!!」

いったいぃぃ!

手がシビビッてなった!


「ララさーん。すっごい硬い!」


切るのは大変そう。

じゃあ次、ちょっと試してみますか。

念のため正式詠唱で……確かこんな感じ。

「 “祖は礎なり 万物の根源 やがて至る果て 我が手に宿り壁を打ち抜け コールファイアジャベリン” 」


魔法の勢いで、そのまま離脱。

当たった……けど。




うーん。

焦げ跡は付いた。

「ララさーん。私の魔法じゃ焦げしか付かなーい!」


「こっちも間接狙ったけどダメね〜。小傷がつく程度よ〜」

ララさんでもダメか〜。

シュババって切ってるけど、あんまり効いてなさそう。



ドルフさんは……全然平気そう。

「ちょっとメリッサに聞いて来る!」

「分かったわ。前は任せておきなさい」






「メリッサー。メリッサは3日くらい戦える?」

「……へ?3日?……戦う?連続で?……え?」

「そうそう。でっかいし硬いから、削るのにそれくらいかかりそうなの」

「……む、無理です!無理!!」

「だよねー。でも、そうしたら……きっとメリッサ死んじゃうし」

「ひぃ!……し、死んじゃうんですか!?」



「だから、何かいい手はないかなー?って」

「……いい手……えっと……」

「そうだ!あのアンアンいう奴試してみて!」

「……あ、あんあん……。ち、違い、ます! でも……分かり……ました」

「ララさーん。 メリッサが魔法打つよー!」


「こっちは気にしなくて良いわよ〜」

「……好きにやれ!」

「神のご加護はお任せください!さあ、浴びるのです!」





メリッサが目を瞑って集中してる。

杖をギュッて握ってて可愛い!


「 “unlock three”

  “burst Plus”

  “multiple select”

  “target Lock” 」


メリッサがアンアン言ってる。


「 “猛き炎はより強く 普く光は全てを照らし 輝く明かりは瞳を焦がす 多重起動誘導炎槍連弾” 」

「 “call multiple fire javelin” 」


カッと開いたお目目が可愛い。


メリッサの前に炎の槍がいっぱい出てきた!

勢いよく蜘蛛に向かって飛んでいく……。

なんか綺麗。



─────ドガガガガッガガガッ!!





「うひゃぁ!」

爆風と熱風がここまで来た!

「ララさーん。 ドルフさーん。 大丈夫ー?」

「おう! 今のは良いな、初めてこいつが怯んだぞ!」

「こっちも平気よ〜。 メリッサちゃん偉いわ〜」


蜘蛛の体が凹んでる?

煙でよく見えないけど、効いてる感じ!







……あれ?

蜘蛛の背中が開いてく?


なんかいっぱい飛び出てきた!?


「メリッサ!こっち!」

「ひゃあ!」

メリッサを脇に抱えて退避です。


なんだろう?

ストーンジャベリンみたいなのが……。



「うわぁぁ!!」

「ひゃあぁぁー!」

何あれ、爆発した!

爆裂付与のストーンジャベリン!?


「メリッサ知ってる?」

「……わ、分かりま……せん。それより!来てます!」

「へ?」


爆裂ジャベリンが、こっち向かって来てる!?

「じゃあ、メリッサ。逃げながら魔法おねがーい」

「……! こ、このままですか!?」

そうか、じゃあ肩に。

「グエッ! お、お腹が……」

「頑張ってねー」







おお!

さすがメリッサ。デカ蜘蛛の体がどんどん凹んでく。

爆発する奴もいっぱい飛んで来るけど……。


「ひぃぃ!」

「大丈夫、大丈夫。ちゃんと避けるよー」


凹んでるし、真っ赤になってる。

変な魔物だなー。

鍛冶場の鉄みたい。


「ドルフさーん。 どうですかー!」


「効いちゃいるが、どうにも様子がおかしいな」

「動きは変わってないわよ〜。まだまだ元気そうね〜」



まだまだ、かかるかー。

ん?変なジャベリン飛んでこなくなった?

「メリッサ。ちょっと魔法待って」

「 “unlock──“……え?あ……はい」





なんだろう?違和感?

……あ!

真っ赤な目が真っ直ぐこっちを見てる!


──来る!





「ひゃあぁぁ———ぁぁぁ———!!!」

うわーびっくりした!

メリッサの悲鳴がすごい。

あんなに離れてたのに、一気に突っ込んで来た。



でも壁に埋まってる。

結構おバカ?

「メリッサ!今だよー追撃ー!」

「は、はい!」


「ミリシア!メリッサ!大丈夫か!?」

「ミリシアちゃん!メリッサちゃん生きてる?」

「大丈夫でーす。メリッサも無事だよー」






おお!どんどん当たる。

でもなー、効いてるのかな?

「ねぇメリッサ。 もっと強い魔法ない?」

「……えっと。……あの……一応、あります」


あるんだ!

「……あの、少し。時間を下さい……理論は出来てるんですが……使うのは……」

「あー、そうなんだ。ララさーん、ドルフさーん。メリッサが時間稼げってー!」



「おう、任せろ。2日でも3日でも耐えてやるぞ」

「メリッサちゃんの魔法ね。頑張ってね〜」

「おお、神の試練も大詰めです!これはまさに経典第三章の再現ではありませんか!!」


「みんな任せろってさ。メリッサ、思いっきりやっちゃえ!」

「……みなさん……。はい。が、頑張ります!」







少し離れてメリッサの隣で守りに付く。

さあ頑張れメリッサ!


「すぅー、はぁ——」

「……いきます」


「 ”library Open“

  “call bundle read”

  ”parallel boot“

  ”series excite“

  ”synchronize!” 」


あ、デカ蜘蛛が抜け出した。

魔法はまだっぽいなー。

「ドルフさーん。 お願ーい」


「うおりゃ———!!」

おおすごい!壁に押し込んだ!


「 “我願う 数多の星の煌めきを 凍てつく風の顕現を 灼熱の生まれるその時を 全ての息吹の終着を” 」


頑張れメリッサ!


「 ”願いは此処に 束ねて集う 重ねて集う 終末よ 我が声に答えよ“ 」



まずい!デカ蜘蛛が抜けた!

「しまった!二人共、避けろ!!!」

「逃げて!!」

轟音と共に巨大な蜘蛛が迫ってくる。

メリッサは……今は動かせない。

なら、私が!






「 ────“Cocytus” 」






広い部屋が急に冬になった。

吐く息が白い。

目の前でデカ蜘蛛が真っ白に凍ってる。

危なかった。ギリギリ。

メリッサは……?

「……」

あ、気絶してる。



「メリッサー、大丈夫ー?」

「大金星だな、そのまま寝かせてやれ」

「白目むいてるメリッサちゃんも可愛いわ〜」

「まさに!まさに!神の顕現です!ついに、わたくしめが神の試練を乗り越えたのですね!ああメリッサ嬢になんとお礼をすれば?そうだ、経典を耳元で誦じて差し上げれば!!」

「やめろ!」

「やめなさい!」

「ぷっ、あははははは。神官さん、それはひどいよ」


「ああ、なんと言う事でしょう!神の賛美を寝物語に聞けるなど至福の時なはずなのに!」





うん。メリッサは頑張った。

今はゆっくりしててね。

でも、立ったまま寝るなんてメリッサは器用だなー。











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