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再生の刻

「!」


結生達は自分達の身体の表面で起きつつある異変を眺めながら、驚愕と嫌悪の感情に精神を揺さぶられた。


「何だこれは!?」


ホセの絶叫にも近しい咆哮に、少女ナオは答える。


「一度、事態を0(ゼロ)に戻すのよ。全部、最初に戻すの。」


「……!」


結生は身体の奥底から湧き上がる悪寒に、身震いする。

既にナオ以外の、全員の皮膚はゴワゴワと、クシャクシャに丸めてから広げた油紙の様なひだに覆われていた。

…それだけではない。

身体の内側からシャリシャリと、蝕まれる感覚があった。

それは周りの細胞を溶解して混ざり合い、臓器を、筋組織を侵していった。

心臓を、冷たい雪の女王の白い手で、ガッシリと掌握された感触。

三人は狭く、暗く、息苦しい一室の中でもがき苦しみ、そして同時に遠方より悲鳴が聞かれた。

…次から次へと。

波紋が広がる様にして、その範囲は拡大していく。

自分の身体がおぞましい感覚を伴って、奇異な変態を遂げていくのを身をもって感じ、この学園都市にいる全員が戦慄した。


「石破君!」


最後の足掻きで、自分の腕の皮膚を剥がさんばかりの勢いで掻きむしっている石破に、結生は叫んだ。


「好きだったよ!!」


彼はハッとした様に顔を上げ、そして


バリッ


結生の目の前で、顔の皮膚が割れた。


見慣れた、優しげな、それでいてクレバーな知性を感じさせる少年の顔が。

真っ二つに割れて、血にまみれた筋組織が剥き出しの肉が、中から這い出てきた。


「!!」


結生は絶句し、自分の頬に手を当てた。

もはや自分の肌とは思われない、幾層にも重なった鱗のミルフィーユの表面がザリザリと音を立てて、数枚が剥がれ落ち、薄暗い床の上にパラパラと落ちた。


「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」


自分の全身の神経が焼け焦げて、消滅していくのが分かる。

骨格が崩れて外れ、骨髄が溶け、そして脳髄が、大脳が、延髄に至るまで原形質のスープに溶け込んで還っていった…


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ…


司令塔を失った結生の身体が倒れ込み、しかして尚、動き続ける。

全身の筋肉と、神経系が溶けて途切れ、薄い皮一枚の中に詰まった風船の様になった彼女の身体は、まるで何かに取り憑かれたかの様に動き続けた。

狂った様に全身を掻きむしる。

やがて、鱗状の皮膚が裂け、中身が露出し始めた…

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