第249話 まさかまさかの、陛下のお礼。
――時は少し流れて。
「いやあ、春期の終業式も無事に終わったね」
「はいグラン御主人様、明日からの夏休み、どうしましょう」
「基本的にはグンタとして、NNNとして活動かなあ、数日はみんな寮に居よう」
という学校で言えば1年1学期が終わった夜、
いや寮の食堂で明日から里帰りという寮生も多かったため、
結構遅くまで別れる前のパーティー状態だった、寮の食事プラス各自の手料理。
(カロリちゃんにも、わざわざ女子寮から来て貰った)
そしてお風呂も終わって、
気が付けばピッケくんは姉にさっさと回収されてもう寮を出ちゃったらしい、
ちなみに女勇者ティーナさんに、完全にロックオンされているのだがそのお話は省略。
「じゃ、そろそろいいかな、貰う物を貰ってくるよ」「えっ御主人様?!」
「……グンタに変身っと」「ええっと、ブルラズさんにご褒美でもしていただくのでしょうか」
「いやまだ12歳だし、ってそんな話じゃなくて、国王陛下の所へ」「では私もモリガで」「ややこしい事になるから!」
ということで準備完了っと。
「結局、何が貰えるんでしょうね」
「時間はたっぷり与えたから、さぞかし良い物じゃないかな」
3カ月近く経ってるからね。
「持ちきれない物だったらお呼び下さい」
「その時はNNN緊急集合だね、じゃ、行ってきます!」
と、夜遅い時間に陛下の職務室へ、
って誰も居ないな、さすがに待ち合わせしてないから、
もう寝ているのかも、と思ったら気配に気付いて衛兵が来た!
「誰だ!!」
「……グンタだ」
「貴殿がか、陛下は寝室だ、歩いてついてきてくれ」
良かったいきなりグサリと来ないで!
あと姿を消さなくて逆に良かったかも知れない、
ついて行くと居た居た、ナイトキャップの三角帽を被ったモノ●リーのアイツだ。
「ようやく受け取りに来たか」
「ああ、あちこちで忙しくてな」
「噂は聞かんが」「あくまで影の存在、非登録だからさ」
かといって、
この国の暗部になるつもりは無いぞっと。
「おい」「ははっ」
近衛兵が丸めた紙を俺に渡した、
見ると地図か、しかも王城付近だ、
そして結構近い場所に赤い丸がふってある。
「そこに感謝の品が置いてある、
詳しくはそこで聞くが良い、すまなかった」
「なんだ、誰か居るのか」「行けばわかる、心からの侘びと礼じゃ」
嫌だぞ入ったとたん、
トラップが発生してグンタからグランに戻るとか!
そんときゃさすがに見た者の記憶を消しまくるし、王城で暴れてやる。
「信頼するとでも?」
「なんだ、土下座でもした方が良いのか」
「いや、王子は」「もうすっかり、今も子作りを」「なら良い」
ブルラズ姐さんの技術、
あいかわらず、えげつねえな。
「グンタ殿、案内をつけるか」
「この地図を信用しよう、ここにあるのだな?」
「そうだ、全てがそこに置いてある、さしあげられる全てだ」「わかった、ではな」
と、紙だけ貰って瞬間移動、
王城の外へ……ええっと地図の通りに普通に歩く、
ここをこう行って、ここを曲がってこっちをこう……
(この屋敷か)
二階建てのそこそこ立派な建物、
いやこれ人が居るのか? 窓から覗くと、
何もない部屋が多い、あっそうか、この屋敷がお礼か。
「立地的には最高だが……」
王城が近い気がしないでもない、
まるで宰相か宮中伯の屋敷みたいだ、
とりあえず中に入るか、この時間でも訊ねれば居るってことだよな?
(呼び鈴があるな)
この世界でこの呼び鈴は、
相当高価だぞっと、押して誰も来なかったら明日に出直そう。
♪リンリンリンリン……
……やはり遅かったか、
寝てるか留守番は本来の自宅に帰ったのだろう、
もう1度押そうか、それとも帰るか……と思っていたら、玄関の魔光灯が点いた!
ガチャッ
「はいっ」
出てきたのは少女だ、
十歳、いや十一歳くらいか?
「俺はグンタだが」
「まあ、では貴方様が! さあお入り下さい」
薄い金髪のお嬢様、
あれだ、縦ロールとかいうやつだ、
留守番にしては幼いな、メイドは寝ているのだろうか。
(来客の間かな、お嬢様自ら紅茶を淹れてくれる)
色々と聞きたいのだが。
「ええっと、ここは」
「申し遅れました、わたくし、グリークガスター公爵家六女、
エステイラ=フォン=グリークガスターと申しますわ」「そ、そうか」
普通に紅茶は上手い、
アトリちゃん程じゃないけれども!
「お待ちしておりました、いらっしゃるまでずっと待つ所でした」
「いつから居るんだ」「39日前からですね」「なぜそんなにも、ここで」
「グンタ様がいらっしゃるまで待つようにと」「来なければ」「来ていただけるまで待つようにと」
じゃあ冒険者学校の卒業日に来てたら、
3年間も待たせる事になっていたのかよ、
むしろ1か月以上も待たせて申し訳ない気持ちになるな。
「では、王子を助けた報酬を聞こうか、ここに居る者に聞けと言われてな」
「はい、報酬はここにある物、全てです!」「やはりこの建物か」「お金もあります!」
「メイドとかも居るのか」「通いですね、必要最低限しかしていただけません」「まあ仕方ないか」
王城のメイドとか貰っても、
スパイの匂いしかしないからな。
「断ると言ったら」「売って下さい」
「確かに高く売れそうだな」「12歳の公爵令嬢ですから!」
「えっ」「売られるなら私が自ら手続きを」「いや待て、貰えるのは」「私です、むしろ私がメインです!!」
えええええぇぇぇぇぇ……
「つまり報酬は」「私です、お好きなように」
「いいのか」「政略結婚みたいなものです、陛下のご命令ですからむしろ光栄です!」
「ちょ、そのためにここで1人で待っていたのか」「きちんと先生が来て勉強もしていました!!」
とんでもないプレゼントだな、
いや、彼女を『要らないから売る』とか罪悪感、半端ねえ。
「何が出来るんだ、何が」
「はい、何でもします、どんなことでもしますし、何をされても、ただ学習の期間はいただきたいです!」
「まずは背中を見せてくれるか」「はい、売り物になるかどうかですか、安心して下さい、生娘です!」「おいおい」
なんだかすんなり開きそうだな、
すでに合意済みみたいな、ステータス、オープンっと。
(え、ええっ、えええええ?!?!)
俺はそれを見て驚愕した。
名前:エステイラ=フォン=グリークガスター 年齢:12歳 性別:女性
体力:22 魔力:41 職業:勇者
装備:公爵家の寝間着
加護女神:パルス スキル:(アイテムボックス)(グランドソード)
ええっと、色々と突っ込みたいのだが、
まず勇者なんですがーやだー公爵令嬢なのにー!!
そして加護女神は『三大当たり女神』の筆頭と言う……ユノ様は別格ね、女大将なんだから。
(そしてスキル、まだ憶える予定とはいえ、これすげえな)
むしろ上手く育てて近衛兵にすれば良いのに、
それだけの素材をくれるなんて、よっぽどのお詫びと感謝だ。
「あの、脱ぎましょうか」「いやいや」
「グンタ様がお望みなら、後ろからお好きなように」
「生娘なんじゃ」「知識は最近」「最近なのか」「暇なので」
駄目だ、これは俺1人の手に負えない!
NNN大集合だな、全員を呼んで話をしよう、
念話魔法で伝えて、まとめてここへ連れてくるかぁ、もちろん変身させてからね。




