第245話 完全に、薬師のアルバイト。
「す~りす~り、ご~りご~り」
「きちんとペースト状になるまでするのだぞ」
「はい、これがポーションの原料になるんですよね」「そうだ」
僕とカロリちゃんとウォルちゃん、
前衛組が何をやらされているかというと、
採取した薬草をすり鉢とすり棒で、ってこれ完全にアルバイトだな。
(ティーナさんも毒々しいのを、大きいすり鉢でやっている)
僕らを監視しながら……S級ソロ勇者様が、
こっちもこっちで一体何をやらされているんだっていう。
「思ったんですが、この村に大量のポーションを運び込みましたよね」
「ああ、それがメインの依頼だ」「普通、この村で造った者を王都に運ぶんじゃ」
「もちろんそれもあるが、薬師の村は他にもある、あと王都にも研究所はある、それに未完成のも多いぞ」
ここで仕上げをするのか。
あと村によって造っているポーションが違って、
融通し合っているとかもあるのだろう、種類は多い方が良いからね。
(アトリちゃんがログインボーナスで出したポーションも、物凄い種類だし)
ていうか、他のみんなは何やってるんだろう、
ちょっと聞いてみるかな、ここはサブリーダーに念話魔法で……!!
『イレタちゃんごめん、今、大丈夫?』
『な、何よ、何かあったの?』『いや、全然合流しないから心配になって』
『あっ、こっちの心配をしてくれたのね、ありがとう平気よ、魔法で素材を溶かさせられているだけだから』
あっちもあっちで似たような事をさせられているのか、
そしてなぜか感謝されちゃった、物は言い様だねっていう。
『こっちは僕とカロリちゃんとウォルちゃんだけど、そっちは』
『私とルシアちゃんとアトリちゃんね』『マネアちゃんはどこへ』
『なんでも木の上の、高い所の素材を取らされているみたい』『投げナイフかあ』
みんなそれぞれ役割があるのはいいけど、
これ全部、依頼料に含まれているんだよな多分。
(知り合いの放送作家でも居たなあ)
テレビの特番の資料集めを依頼されたのに、
同じ制作会社の全然別番組の資料まで集めさせられて、
さんざんやらされたあげく、そっちのお金は一円も貰えなかったとか、立場が弱いとそんなもんだ。
『マネアちゃん、撃ち落としてるう?』
『あっ、酷いんですよ、実だけ落として枝や葉っぱは傷つけるなって』
『無茶言われてるね』『でもなんとか、もうすぐ終わりそうです』『終わったら晩御飯ですって』
にしても、
泊まりだとか聞いてないけど、
ちゃんと帰らせて貰えるのだろうか?
「グラン、もう完全にペーストになっているぞ」「あっ」
「次の葉を、それとも私のやっている毒草を手伝ってくれるか?」
「凄い色ですね」「濃くしている、手に触れると凄い勢いで腐りはじめるぞ」「ひいいいい」
とまあ、そんな感じでアルバイトを終え、
早めに夕食をいただく、ちゃんと肉もあって良かった、
とはいえ全体的に健康定食といった感じの品ぞろえだね。
(さすが薬師村、栄養のバランスを考えられている)
フィリピンの病院に入院したての頃、
日本の病院食がいかに優秀かって実感したのを思い出す、
緩和ケアの頃には好きな物を食べさせて貰っていたけれども。
「さて食べながら聞いて欲しい」「イエスボス」
「そこはイエスマムだろう」「細かいですねティーナさん」
「グランに乗っただけだ、食べ終わったら帰りの馬車だが、当然、積み荷がある」
あっ、バイト中に言っていたやつね。
「結構多いんですか」
「欲を言えば積めるだけ積みたいがアトリ」「はいっ」
「どのくらいアイテムボックス、ポーションボックスだったか、に入る」
やばい、ここは少なめに!
『30箱くらいです、って言って!』
とっさの念話魔法である。
「すみません、せいぜい30くらいが限界です」
「いや30個より多く運んでいただろう。30本どころでは」
「いえ、30箱です」「……凄いな、それだけで喰っていけるぞ」
しまった、30でも多いくらいだったか。
「私は御主人様の、グラン御主人様のメイドですから」
「グラン、では彼女を使いたい場合はSET隊に」「いやいや勘弁して下さい」
「どれだけの者が助かるか」「ええっと、慈善事業は強いるものでは」「依頼だ」「まあ、わかりますが」
いくらティーナさんが良い人でも、
滅私奉公を強いるのはやめて欲しい、
自分からのやりたい時の奉仕は好きだけど、それが義務になるのは前世の俺だけで良い。
(あくまでも地味に、地味ハーレムと地味な冒険者をして生きたいんだ)
まあ確かに輸送の仕事は地味な裏方ではあるけれども。
「まあ良い、じわりじわりと籠絡しよう」
「いやなんですかそれ」「皆が食べ終わり次第、積み荷作業をしよう」
「僕らの寝るスペースは」「ぎりぎり作る、後は寝ている間に到着するだろう」
うん、あまり揺れず本当に眠れると良いな、
少なくとも僕は、帰ってから更にもうひと仕事あるから……
これ寝過ごしたら大変なことになるぞっと、という感じで薬師村を後にするのであった。
「あっ、ティーナさんは」
「更にこの先の輸送だ、私のアイテムボックスも使っているからな」
「ご苦労様です」「どうしてもと言うならグランだけでも一緒に行くか? 同じ馬車で」「いや居たでしょう生贄」
最初にティーナさんと一緒に乗り込んだ子ね、
さてさて、これで明日の授業は出ても出なくても良いんだっけ、
いっそのこと誰かと地味デートでも、ってその前にアイツの所へ行かなきゃ、そう、プリング●ス似の、アイツをね。




