第244話 薬師の村、薬師の研究所。
「ようこそ薬師の村へ! 皆さんをお待ちしておりました」
山間の小さな村、
とはいえ店が多いのは、
やはり薬関係のメッカだからなのだろう。
(ここでしか手に入らない薬も多いと聞く)
ポーションの容器だけ売ってる店もあるな、
買い取りもか、山ほど余っているので買い取って欲しい、
今までは垂れパイさん、もといブルラズの姐さんにあげたりとかしてたけど。
「それでは皆さん、積み荷のポーションをお運びください!」
うん、ティーナさんの乗っていた馬車の後ろ、
中にぎっしりポーションが詰められた箱が入っている、
これを全部かな、どうしよう、アトリちゃんがやればすぐだ。
(ポーション専用のアイテムボックス持ちだ)
でもなあ、これをバラしちゃうと毎回来てくれって言われかねない、
冒険者学校と話をつけられたら拒否権はほぼ無いと言って良いだろう、
でもこれを全部は……ティーナさんに相談しようか、いや、そこまでの信頼関係はまだ無い。
(なんだろう、変な意味で危険な予感がする)
もちろんソロS級冒険者様だけあって強いし、
孤児院の世話もすれば女性を中心に大勢に慕われている、
良い人なのは間違いないのだが、全面的に信頼すると、美味しく食べられてしまう気がする。
(色んな意味で!)
などと思っているとティーナさんがみんなの前へ。
「では配布先を支持する、まずは『ジャニス薬師』にこちらの箱を……」
配りに行くのか、
全ての店が広い道に面している訳じゃなさそうだし、
分散して一気に届けた方が早いのだろう、運ぶ方は大変だけど。
「……これが『デルブリア薬局』そしてこれが『ポーション店ギルスア』あと……」
場所は入ってすぐの大きな案内板でわかる、
いやほんと山間に造られた村だけあって坂が多そう、
長崎かよっていう、確かに猫があちこちに見られるけど。
「あと二か所だ、シャムル病院に七箱」「はい、私が!」
アトリちゃんが挙手しちゃった!
これ何も考えずポーションボックスに収納しちゃう奴だ、
だが幸いにも残っているのはフィーナさんとその取り巻きだけ、あと出迎えてくれた薬師さんもか。
(距離は結構あるな)
まあ、あまりに隠し過ぎるのもアレだし。
「んっとティーナさん」「なんだ」
「アトリちゃんについてはその、内密に」
「何の話だ」「あれです、ほら」「……アイテムボックス持ちか?!」
あっ、箱も入るんだ、
ポーションを箱ごと収納しちゃってら。
「いえポーターですからポーション専用のポーションボックスです」
「スキルか」「はい、ただ彼女はあくまで僕専用のメイドです、あまり貸出はしたくは」
「わかった、では最後に15箱、これを全て薬師研究所までだ」「ええっと場所は、一番奥じゃないですかー」
しかも案内板に、丁寧に階段まで描かれている!!
「最後は222段の急坂、登り階段だ」「ひええええ」
「さあ、今度はグラン、君のアイテムボックスの出番だ」
「そんなの持っていませんってば」「そうか? ひとつばらすもふたつばらすも、もう同じだ」
鋭いなあ本当は持っているの感づいている、
いや例によって経験から来る勘なんだろうけど、
でもそこまでバラすともうさすがに全てを結び付けられてしまう。
(グンタには、もう当分会わせないぞっと)
「アトリちゃんを待ちません?」
「行き来だけで時間がかかるだろう、早く届けたい」
「ええっとカロリちゃん、ウォルちゃん、一緒に運ぼう」
その言葉に少し息を吐くティーナさん。
「なら仕方ないな、私が運ぶ」
と言ってアイテムボックスへ収納し始めた!
(持ってるんかーーーい!!)
と心の中だけで突っ込んでおく、
いや勇者様だからね、あっておかしくない。
「って、じゃあ馬車で運ばなくても全部ティーナさんがアイテムボックスに」
「いや容量というものがあるだろう」「そうなんですか」「そんな事も知らないのか」
いえ、僕やアトリちゃんの容量が無制限なだけです、
だなんて絶対に言えないな、アトリちゃんにも後で話しておこうっと。
「じゃあ僕は」「ついてこい」
「階段の上までですか」「どっちみち夕食はあの研究所だ」
「時間はまだありますが、嫌ですよ全裸でスライム液でぬるぬるにされるの」「何の話だ、行くぞ」
ということで余った僕とカロリちゃんとウォルちゃんで、
薬師研究所までついて行くのであった、階段で魔法を使いたい……
でもティーナさんのことだ、僅かな軽減、異変も気付いてしまうだろう。
(自力で上がるか……)
これも依頼、
クエストっていうことで!
報告遅れましたが『捨てられ貴族の公園造り ~婚約者もメイドも寝取られ危険な荒野に追放された僕は、
前世を閉じ込めた箱を開けて未来型都市公園で暮らします~ ざまぁもあるし地域猫もいるよ!』
番外編も完結しています、評価を沢山いただければ続きが、後日談が早くアップされるかも?!




