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【番外編】ソロキャンプは乙女の憩い 7

******



 中戸園子のピンク色のキャンピングカーから800メートルくらい離れたところに、南条が待機していることを、中戸は知らない。

 が、南条は迷彩柄のテントを張って、ファスナーの隙間から、迷彩柄の望遠鏡が中戸の様子を確かめていた。

「……ん? あの男は誰だ?」

 今、南条の目に飛び込んできたのは、身長の低い中戸と並んで歩く、長身の男……

 何とも仲良さげな様子で、中戸のキャンピングカーへと向かっている。

「……容疑者か?」



******



 南条が見つめる、二人はというと……

「僕は、田中すぐると言います。あなたは?」

「あ、私は中戸園子です」

「中戸さんは、もしかして関東の人?」

「そ、そうです! どうしてわかったんですか?」

「イントネーションだよ。僕も東京だから」

「そうなんですね!」

 ……何と、すでに仲良くなっていた。


「それにしても、本当に助かりました。調味料なんてもの、考えてなかったから」

「ふふっ、田中さん。塩コショウくらいかけないと美味しくないですよ?」

「だよね~」

 中戸は、保冷バッグの中からハーブソルトの袋を1つ取り出すと、それを田中へと手渡した。

「これ、何でも美味しくしちゃうハーブ塩なんです。差し上げます」

「いや、使ったら返しに来るよ」

「いいんです。私、食材全部、味付けして持ってきてるので」

「すごいね。中戸さん、料理得意なんだ」

「あはは……」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」と、田中は中戸にお礼を言うと自身のテントへと帰っていった。

 その時に、すかさず車の中で無線が鳴ったので、中戸はイヤホンをつけた――


『中戸! 大丈夫か!?』

 南条の慌てた心配そうな声が、飛び込んでくる。

「大丈夫ですよ。あ、今の人は田中すぐるさんと言って、調味料がないと言っていたのでおすそ分けしたんです。落として砂まみれの肉を洗って、調味料なしじゃ、味気ないですよね」

『……なっ。おま……』

「どうかしたんですか?」

『どうかした?じゃない。呆れているんだ。いいか、もし、犯人だったらどうするんだ!!』

 中戸の耳がキーンとしたのは、言うまでもない。

「今の人、犯人じゃないと思います。だって、ソロキャンプ初心者だって……」

『そういう問題じゃない。いいか、全ての男が犯人だと思え!』


 プツッと途切れた無線。

 まあ、確かに南条の言う通りだと思う。

「……そうよね。南条さんの言う通りだわ。もう一度、気を引き締めていかなくちゃ……!」


 そして――

 綺麗な夕焼けが、能勢のキャンプ場を染めるころ、中戸はカセットコンロへと火をつけ、網の上に北堂が作ってくれた食材を入れてキャンディ包みにしたアルミホイルを乗せた。

「今のうちに、北堂さんとカイリさんにLINEしておこう。たぶん、心配しているよね」


 スマートフォンのわずかな明かりが、中戸園子の顔を照らす。

 ちょうどその時、背後から中戸を呼ぶ声が聞こえてきた――



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