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【番外編】ソロキャンプは乙女の憩い 5

******



 いよいよ、おとり捜査の当日。

 朝から、ピンク色の軽自動車に乗った中戸は、高速を使い、一路能勢へと向かっている。

 その後を一定の距離を保ち走行している警察の車が一台……しかし、ちゃんとカムフラージュされていて、はた目には荷物を運んでいるバン、冷凍車だ。

 冷凍車の中身は荷物ではなく、南条たちの捜査本部となっている。ここから、ピンクの車の中戸と無線でやり取りをしていた。


『中戸、次の出口を降りてくれ』

 無線から南条の声が軽自動車内に響く。

「わかりました。次の出口ですね、了解です!」



******



「ああああああ……なあ、カイリ。俺ら、ホンマについていかんで良かったんか?」

 留守番組の北堂とカイリは、淀屋橋の事務所で朝食を食べていた。

 落ち着かない様子の北堂と、黙々と美しく食事をしているカイリ。

「なあ! お前は中戸さんのことが心配じゃないんか!?」

 カイリは、ナイフとフォークを置くと、静かに顔をあげた。

 ちなみに、今朝は北堂特製フレンチトーストとミルクティーというメニューだ。

 ふわふわのフレンチトーストは、バニラの香りがして、事務所の空気を甘く満たしていた。

「おまえなぁ……黙って応援するんちゃうかったんか?」

「それは……」

「まあ、大丈夫や。れみさんも、みんなおるんやから」

「うぅっ」

 きっと北堂は、自分もついていけば良かったと思っているのだろう。

 それをカイリもわかっているが、半ば呆れているようにもみえた。

「ほら、ちゃんと朝食は食べんと。なんかあった時に動かれへんで?」

「え? カイリ、それって……」




******



 その頃。

 中戸の車は高速を降り、能勢のキャンプ場へと到着する。

『中戸、お疲れさん。だが、これからが任務だ。頼むぞ』

「わかりました」

『何かあれば、スマホで連絡してくれ。私も500メートルくらいの場所でテントを張って様子を見ているから』

「それは、心強いです。ありがとうございます!」

 南条との無線でのやり取りが終わると、中戸は車を降りた。

 天気も良く、少々暑いくらいだが心地よい風が吹いている。

「んーっ! やっと着いた!」

 

 車の側に、小さなテントを張って日よけのテントも設置する。

 ソロキャンプ初心者なので、炭などで火を起こすようなことはせず、カセットコンロを取り出した中戸。

「さすが、北堂さん。仕込んできたお肉を焼くだけなんて、楽ちん」

 中戸は、食事の支度をしながら、昨日、西刑事から聞いていた犯人の目撃情報を思い出していた。

 それは、暗闇で襲われた女性たちから集められた非公開の情報だった。



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