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声
看板通りの不貞腐れた子猫
クラクションで飛び起きて
どこかに行った
殺風景だった束の間の風景を
口笛を吹きながら気ままに歩いた
風が戦いだ 君の着信だ
誰よりも好きな音だ
金の実った
上手い話はそこらにほっぽって
君の声でお気楽になる
辻褄合わせでつまらない政治が
街頭で高らかに何かを言っている
側を流れたベビーカーの子どもが
少しだけ耳塞いで泣き出していた
通り過ぎた 世界の事情は
あんまり覚えてないけど
君と過ごした
瞬間も楽しいこともあるけど
それとなく覚えていない
公園の縁とスナックななせ
忙しなく走り出した配達マン
住宅街を鼻歌が滑っていく
あれもこれもすべていく
思い出して また忘れた
風の戦ぐ道にも
君を過ぎた
思い出噺しをほっぽって
僕の声でお気楽になる




