第53話 三つの鍵と絆の力
第53話 三つの鍵と絆の力
神殿の中央で、三つの鍵がまばゆい光を放っていた。
その光の隣には――黒き王。
つい先ほどまで敵だった存在が、今はリーダーたちと同じ方向を見つめている。
「本当に……私を信じるのか?」
黒き王が尋ねた。
リーダーは迷わず答えた。
「信じるよ」
「私は、お前たちを何度も傷つけた」
「それでもだ」
「私が再び闇に飲まれるかもしれない」
「その時は、俺たちが引っ張り戻す」
ミルも笑った。
「一人で闇と戦う必要なんてないんだよ」
黒き王は、しばらく黙っていた。
そして――。
「……そうか」
小さく呟いた。
その瞬間だった。
虚無の王が巨大な翼を広げた。
「くだらぬ戯れは終わりだ!」
ズドォォォン!!
黒い波動が神殿を走る。
「来るぞ!」
リーダーたちは身構えた。
だが、黒き王が一歩前へ出た。
「この攻撃は、私が止める」
「一人で!?」
「違う」
黒き王は三つの鍵を見つめた。
「今の私は……一人ではない」
黒い闇が、両手に集まる。
リーダーも鍵を握りしめる。
白い光が身体を包む。
そして仲間たちも、それぞれの力を解放した。
大地。
風。
癒やし。
光。
そして――絆。
五つの力が、一つの大きな光へと変わっていく。
「うおおおおおおっ!」
黒き王の闇が、光と重なった。
ドォォォォォン!!
虚無の王の攻撃が押し返される。
「な、何だと!?」
虚無の王が初めて動揺した。
「闇と光が……共存しているだと!?」
リーダーは叫ぶ。
「これが俺たちの力だ!」
ミルが続ける。
「一人じゃできないことも!」
仲間たちが声を合わせる。
「みんな一緒ならできる!」
黒き王も拳を握る。
「私も……もう逃げない!」
五つの力が、さらに強く輝いた。
虚無の王の身体に亀裂が走る。
「馬鹿な……!」
しかし、虚無の王はまだ倒れない。
「ならば、この神殿ごと消し去ってやる!」
天井に巨大な黒い渦が生まれた。
「まずい!」
少女が叫ぶ。
「虚無の王は、自分の力をすべて使うつもりです!」
「だったら――」
リーダーが前を向く。
「俺たちも全部出す!」
黒き王が隣に並ぶ。
「最後まで共に戦おう」
「もちろん!」
二人が拳を合わせた。
その瞬間――。
三つの鍵が砕けるような音を立てた。
「え……?」
光の粒が空中へ舞い上がる。
しかし、鍵は消えなかった。
三つの光が一つになり――。
巨大な紋章へと姿を変える。
少女が驚きの声を上げる。
「これが……三つの鍵の本当の姿……!」
「何なんだ?」
「封印の鍵ではありません」
少女は微笑んだ。
「繋がるための鍵です」
光の紋章が、全員の胸へと繋がっていく。
村にいる人々。
森の仲間たち。
そして、この神殿にいる黒き王。
すべての想いが、一つに繋がった。
遠く離れたふわりか村からも、光が届く。
「みんな……!」
リーダーが驚く。
村人たちが祈っている。
「負けるな!」
「帰ってこい!」
「みんなで待ってるぞ!」
その声が、神殿まで届いてくる。
黒き王は目を閉じた。
「……温かいな」
そして、ゆっくりと目を開く。
「これが……仲間というものか」
虚無の王が叫ぶ。
「やめろぉぉぉっ!」
巨大な黒い渦が完成する。
リーダーは仲間たちと手を重ねた。
「行こう!」
「うん!」
「おう!」
黒き王も手を重ねる。
「共に――」
四つの力と、村から届く想いが一つになる。
「決着をつける!」
巨大な光が、神殿を包み込んだ。
虚無の王が吠える。
「私は消えぬ!」
光と闇が激突する。
――そして。
その中心で、黒き王の姿が静かに変わり始めた。




