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ふわりか村英雄譚~黒き王と三つの鍵~もふもふたちの戦い  作者: 雨宮ぐみ


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第54話 最後の鍵と、黒き王の真実

第54話 最後の鍵と、黒き王の真実


 ――あと一つ。


 ふわりか村の広場に立つ三人の前で、最後の扉が静かに揺れていた。


 これまでに集めた三つの鍵。


 「勇気の鍵」  「絆の鍵」  そして――「想いの鍵」。


 そのすべてが、目の前の黒い石門に埋め込まれている。


「……これで、開くんだよね?」


 ミルが小さな声で尋ねた。


「たぶん」


 勇者ふわりは、いつになく真剣な顔で答える。


「たぶんって……」


 ミルが頬を膨らませる。


 すると隣にいたモフが、ふわりの足元をぽんぽんと叩いた。


「モフ!」


「うん。分かってる」


 ふわりは笑った。


「ここまで来たんだ。最後まで行こう」


 三人はそれぞれの鍵に手を添えた。


 カチッ。


 カチッ。


 カチッ。


 ――三つの鍵が同時に回る。


 次の瞬間。


 ズズズズズ……!


 大地そのものが震えた。


「きゃっ!」


 ミルがふわりの腕をつかむ。


 黒い石門がゆっくりと開き、その向こうから冷たい風が吹き抜けてきた。


 そして――。


 暗闇の奥に、一人の男が立っていた。


 黒いマント。


 長い銀色の髪。


 そして、深い闇を宿した赤い瞳。


「……来たか」


 低い声が響く。


 ふわりは息をのんだ。


「黒き王……!」


 ついに、三人の前に姿を現した。


 しかし。


 黒き王は剣を抜かなかった。


 ただ、静かに三人を見つめていた。


「三つの鍵を持つ者よ」


「……?」


「お前たちは、何を望む?」


 ふわりは答えに迷った。


 世界を救うこと。


 村を守ること。


 仲間を守ること。


 いろいろな答えが頭をよぎる。


 けれど――。


「僕は……」


 ふわりはモフを見る。


 そしてミルを見る。


「みんなと一緒に、明日を迎えたい」


 黒き王の目がわずかに見開かれた。


「……そうか」


 その声には、ほんの少しだけ寂しさが混じっていた。


「ならば、最後の試練を受けろ」


 黒き王が手を掲げる。


 ゴゴゴゴゴ……!


 広間いっぱいに黒い霧が広がった。


 その霧の中から、無数の影が現れる。


「来るよ!」


 ミルが杖を構える。


「モフ!」


 モフも身構えた。


 ふわりは剣を握り直す。


「みんな、行くよ!」


 ――最後の戦いが始まった。


 だが、その瞬間。


 黒き王が小さくつぶやいた。


「……私を倒せば、すべてが終わると思っているのか?」


 ふわりの動きが止まった。


「……どういう意味?」


 黒き王は答えない。


 ただ、赤い瞳の奥に宿る悲しみだけが、静かに揺れていた。


 そして三人はまだ知らなかった。


 黒き王が、この世界を滅ぼそうとしていた本当の理由を。


 それが明らかになるのは――


 次の戦いだった。

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