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ふわりか村英雄譚~黒き王と三つの鍵~もふもふたちの戦い  作者: 雨宮ぐみ


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第52話 黒き王の真実

第52話 黒き王の真実


壁画が、まばゆい光を放った。


すると――。


神殿の中に、遠い昔の光景が映し出された。


そこには、まだ「黒き王」と呼ばれていない一人の青年がいた。


「……あれが、黒き王?」


ミルが呟く。


白い衣の少女は静かに頷いた。


「かつて彼は、この世界を守る勇者の一人でした」


「勇者……?」


リーダーたちは驚きを隠せない。


映像の中では、青年が人々を守り、仲間たちと笑っている。


しかし、その平和は長く続かなかった。


ある日、世界を覆う巨大な闇が現れた。


三人の勇者は、その闇を封じるために戦った。


だが――。


「彼だけが、闇を自分の身体に取り込んだのです」


「どうして?」


「仲間を守るためです」


映像の中の青年は、倒れた仲間たちを見つめていた。


「俺が闇を引き受ければ……みんなは助かる」


青年は、自ら闇の中へ歩いていく。


その身体が黒く染まっていく。


そして――。


「グアアアアアッ!」


青年は、黒き王へと変わった。


「そんな……」


リーダーは言葉を失った。


黒き王は、最初から世界を滅ぼそうとしていたわけではなかった。


仲間を守るために闇を引き受けた結果、闇に心を蝕まれてしまったのだ。


しかし、物語はそこで終わらなかった。


黒き王となった青年を救おうと、三人の勇者は何度も呼びかけた。


「戻ってこい!」


「一緒に帰ろう!」


だが、闇は青年の心を覆っていった。


最後には、青年自身が仲間を遠ざけた。


「もう……俺に近づくな」


そして三人の勇者は、彼を倒すのではなく、三つの鍵を使って封印した。


映像が消える。


神殿に静寂が戻った。


「……じゃあ」


リーダーがゆっくり顔を上げる。


「黒き王は、本当は……」


「誰かを守ろうとしていたんだね」


ミルの声が震える。


そのときだった。


「……余計なことを知ったな」


低い声が響いた。


全員が振り返る。


そこには黒き王が立っていた。


「黒き王……」


「私の過去を見たところで、何になる?」


黒き王は拳を握りしめる。


「私はもう、あの頃の私ではない」


リーダーは一歩前へ出た。


「違う」


「何?」


「まだ終わってない」


黒き王の目が揺れる。


「俺たちは、お前を倒すだけじゃない」


「……」


「お前を、闇から救う!」


黒き王の表情が初めて崩れた。


「……黙れ」


「嫌だ!」


「黙れと言っている!」


黒い力が爆発する。


ドォォォン!!


リーダーたちは吹き飛ばされる。


それでも、リーダーは立ち上がった。


「お前はずっと……一人で戦ってきたんだろ」


「……」


「だったら、今度は一人じゃない」


黒き王は拳を震わせる。


「私には……もう仲間などいない」


その言葉に、ミルが静かに答えた。


「だったら、今日から私たちが仲間になる」


黒き王の赤い瞳が、大きく見開かれた。


その瞬間――。


虚無の王が咆哮した。


「くだらぬ!」


神殿が激しく揺れる。


「黒き王よ! お前が弱くなれば、この世界は私のものだ!」


黒き王が振り返る。


「……虚無の王」


「お前が闇を恐れている限り、私は何度でもお前を支配する!」


黒き王の身体から黒い霧が噴き出した。


「ぐっ……!」


「黒き王!」


リーダーが駆け寄る。


しかし黒き王は手を上げて制した。


「来るな……」


「でも!」


「私の闇は……私自身の問題だ」


黒き王は苦しみながら立ち上がる。


そして、リーダーたちを見る。


「……もし本当に私を救うというのなら」


赤い瞳に、わずかな光が宿った。


「虚無の王を倒せ」


「そして――」


黒き王は、初めて静かに笑った。


「私を、一人にしないでくれ」


リーダーは力強く頷いた。


「約束する!」


その瞬間、三つの鍵が強烈な光を放った。


黒い闇と白い光が、初めて同じ場所で輝き始める。


――最終決戦の時が、近づいていた。

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