第51話 ふわりか村への危機
第51話 ふわりか村への危機
「……両方だ」
リーダーは、はっきりと言った。
「ここで虚無の王を倒す。そして、ふわりか村も守る!」
その言葉に、仲間たちは力強く頷いた。
しかし――。
神殿の壁に映し出されたふわりか村では、黒い雲がどんどん広がっていた。
「村が……!」
ミルが青ざめる。
村の上空を覆う黒雲から、無数の黒い影が降り始めていた。
「虚無の王が、魔物を送り込んでいるんだ!」
「このままじゃ村が危ない!」
リーダーは三つの鍵を見つめた。
「俺たちがここから離れたら、虚無の王はどうなる?」
白い衣の少女が答える。
「この神殿を出れば、虚無の王は封印から完全に解放されるでしょう」
「じゃあ、ここで戦うしかないのか……」
そのとき。
「待って!」
ミルが突然叫んだ。
「三つの鍵が……まだ何かを伝えようとしてる!」
キィィィン……。
三つの鍵が淡く輝く。
すると、リーダーたちの前に光の道が現れた。
「これは……?」
「村へ続く道だ」
仲間の一人が驚く。
白い衣の少女が目を見開いた。
「まさか……三つの鍵が、距離を越えて力を届けようとしている……?」
リーダーは拳を握った。
「だったら、できる!」
「ここから村を守るんだ!」
四人は、それぞれの力を鍵に集中させた。
大地の力。
風の力。
癒やしの力。
そして、すべてを繋ぐ絆の力。
すると――。
ふわりか村の中央に、巨大な光の柱が立ち上がった。
「な、なんだ!?」
村にいた人々が空を見上げる。
黒い影たちが一斉に村へ襲いかかる。
だが――。
バァァァン!!
光の壁が村全体を包み込んだ。
「入ってこられない!」
「村が守られてる!」
村人たちから歓声が上がる。
しかし、神殿ではリーダーたちが膝をついていた。
「はぁ……はぁ……」
力を遠くへ届けるだけで、身体が限界に近づいていた。
虚無の王が笑う。
「愚かな……」
巨大な翼を広げる。
「村を守れば、その分だけお前たちの力は削られる」
「そして最後には――」
虚無の王が拳を振り上げた。
「誰も守れなくなる!」
ドォォォン!!
神殿が大きく揺れる。
リーダーは必死に立ち上がった。
「……それでもいい」
「何?」
「守りたいものがあるなら、最後まで諦めない!」
仲間たちも立ち上がる。
「そうだ!」
「一緒なら戦える!」
その瞬間。
神殿の奥から――。
ガタン。
小さな音がした。
全員が振り返る。
そこには、古びた壁画があった。
今まで黒い霧に隠れていた壁画が、少しずつ姿を現している。
そこに描かれていたのは――。
黒き王と、三人の勇者。
そして、その隣には――。
今のリーダーたちとよく似た姿が描かれていた。
ミルが息を呑む。
「これって……」
白い衣の少女が呟いた。
「そうです……」
「すべては、最初から決められていたのかもしれません」
壁画の下には、古代文字が刻まれていた。
その文字が、ゆっくりと光り始める。
そして――。
そこに記されていた黒き王の過去が、少しずつ明らかになっていった。




