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ふわりか村英雄譚~黒き王と三つの鍵~もふもふたちの戦い  作者: 雨宮ぐみ


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第50話 虚無の王、第二形態

第50話 虚無の王、第二形態


神殿全体が、激しく揺れていた。


ゴゴゴゴゴ……!


虚無の王の身体を覆っていた黒い霧が、渦を巻きながら天井へと伸びていく。


「な、なんだ……あれ……」


仲間の一人が後ずさる。


巨大な翼が、ゆっくりと開いた。


バサァッ!!


その一振りだけで、強烈な風が神殿内を駆け抜ける。


さらに頭には二本の巨大な角が現れ、身体を覆う黒い霧が鎧のように固まっていく。


「これが……第二形態……」


リーダーは息を呑んだ。


先ほどまでとは、まるで別の存在だった。


虚無の王が、ゆっくりとこちらを見下ろす。


「よくも……私をここまで追い詰めたな」


赤い瞳が、不気味に輝く。


「ならば、こちらも本気を出そう」


「来るぞ!」


仲間が叫んだ。


次の瞬間――。


虚無の王の姿が消えた。


「えっ!?」


「上!」


ミルの声。


リーダーが顔を上げる。


巨大な爪が、頭上から迫っていた。


「うわあああっ!」


ガキィン!!


間一髪。


リーダーは光の盾を展開した。


しかし――。


「ぐっ……!」


ズズズズズ……!


盾が少しずつ押し込まれていく。


「力が……強すぎる!」


「一人で受けちゃ駄目!」


仲間たちが駆け寄る。


大地の力が盾を支え、風の力が虚無の王の腕を押し返す。


そして癒やしの力が、傷ついたリーダーを支えた。


「みんな……!」


「絆の力は、一人で使うものじゃない!」


ミルが叫ぶ。


「みんなの心が繋がってこそ、本当の力になるんだよ!」


「……そうか」


リーダーは頷いた。


「だったら――全員で行く!」


四つの力が一つに重なる。


ドォォォン!!


虚無の王の腕が大きく弾き飛ばされた。


「なにっ!?」


初めて、虚無の王がよろめいた。


「今だ!」


リーダーが走る。


仲間たちも続く。


「大地よ!」


「風よ!」


「癒やしよ!」


「そして――絆よ!」


四つの力が、リーダーの拳へ集まっていく。


白い光がどんどん大きくなる。


「これで……!」


リーダーが拳を振り抜いた。


「みんなの想いを――受け取れぇぇぇっ!!」


ドォォォォォン!!


巨大な光が虚無の王を直撃した。


「グオオオオオオオオッ!!」


虚無の王が叫ぶ。


身体を覆っていた黒い鎧に、無数の亀裂が走った。


「やった!」


「あと少しだ!」


しかし――。


「……フフフ」


虚無の王が笑った。


「そうか……」


黒い霧が、亀裂の中から溢れ出す。


「これほどの力を持っているのなら……」


虚無の王が翼を大きく広げた。


「もっと絶望させる価値がある」


「何を……?」


虚無の王が右手を掲げる。


すると神殿の壁に、巨大な映像が浮かび上がった。


そこに映ったのは――。


ふわりか村だった。


「村が……!」


仲間たちの顔から血の気が引く。


村の上空には、黒い雲が集まり始めていた。


「まさか……村を狙ってるのか!」


「その通りだ」


虚無の王が低く笑う。


「お前たちがここで戦っている間に、私は村を闇で包む」


「やめろ!」


リーダーが叫ぶ。


虚無の王は答えた。


「選べ」


「ここで私と戦うか――」


「それとも、村へ戻るか」


仲間たちは顔を見合わせた。


どちらを選んでも、誰かが危険になる。


リーダーは拳を握りしめた。


そして――。


「……両方だ」


「何?」


「お前を倒して、村も守る!」


その言葉に、仲間たちが頷いた。


だが、白い衣の少女だけは険しい表情を浮かべていた。


「それには……四つの力だけでは足りません」


「じゃあ、何が必要なんだ?」


少女は静かに答えた。


「五つ目の力――」


「勇気の鍵です」


神殿の最深部。


そこに、まだ誰も触れていない――。


五つ目の鍵穴が、ひっそりと輝いていた。

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