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ふわりか村英雄譚~黒き王と三つの鍵~もふもふたちの戦い  作者: 雨宮ぐみ


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第48話 虚無の王、目覚める

第48話 虚無の王、目覚める


――ゴゴゴゴゴゴ……。


巨大な怪物が、ゆっくりと立ち上がった。


その身体は黒い霧に包まれ、輪郭さえはっきりしない。


ただ、赤く光る二つの目だけが、暗闇の中に浮かんでいる。


「これが……虚無の王……」


リーダーは息を呑んだ。


あまりにも大きい。


見上げても頭が見えないほどの巨体だった。


「グオオオオオオオオッ!」


虚無の王が咆哮すると、神殿の天井から石が次々と落ちてくる。


「危ない!」


仲間たちは慌てて走った。


ドガァン!!


さっきまで立っていた場所に巨大な石柱が落下する。


「このままじゃ神殿ごと潰される!」


「どうする!?」


誰も答えられない。


そのとき――。


三つの鍵が一斉に光り始めた。


キィィィン……!


リーダーの身体にも白い光が宿る。


「また鍵が……」


すると、先ほど目覚めた三つの力が、さらに強くなっていく。


大地を操る力。


風を操る力。


傷を癒やす力。


そしてリーダーの光の力。


四つの力が共鳴し、巨大な光の盾を作り出した。


ドォォォン!!


虚無の王が振り下ろした腕を、盾が受け止める。


「ぐっ……!」


リーダーの足が地面にめり込む。


「一人じゃ無理だ!」


「なら、みんなで支える!」


仲間たちが次々と力を重ねる。


大地が盛り上がり、虚無の王の足を拘束する。


風が渦巻き、巨大な腕の動きを鈍らせる。


そして癒やしの力が、傷ついた仲間たちを立ち上がらせる。


「今だ!」


リーダーが叫んだ。


「全員で押し返す!」


「うおおおおおおっ!」


四つの力が一つになった。


――ドォォォォン!!


強烈な光が神殿を包み込む。


虚無の王の巨体が、初めて後ろへ押し戻された。


「効いてる!」


「やった!」


仲間たちから歓声が上がる。


しかし――。


「……フフ」


低い笑い声が聞こえた。


「え?」


リーダーの顔から笑みが消える。


虚無の王が、ゆっくりと顔を上げた。


「その程度の力で……私を倒せると思うか?」


赤い目が、さらに大きく輝く。


「な……」


次の瞬間。


虚無の王の身体から、黒い波動が一気に広がった。


バァァァン!!


光の盾が砕け散る。


「うわぁぁぁっ!」


仲間たちは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。


「みんな!」


リーダーも地面を転がった。


手の中を見る。


三つの鍵の光が、弱々しく点滅している。


「そんな……」


そのときだった。


神殿の奥から、別の声が響いた。


『まだ……諦めてはいけません』


リーダーが顔を上げる。


「誰だ!?」


光の中から、一人の人物が現れた。


白い衣をまとった、謎の少女。


彼女は三つの鍵を見つめ、静かに告げる。


「その鍵は、四つ目の力を呼び覚ますためのものです」


「四つ目……?」


少女は頷いた。


「はい」


そして虚無の王へ視線を向ける。


「それは――」


少女の言葉を遮るように、虚無の王が咆哮した。


「その者の話を聞くな!」


神殿が激しく揺れる。


少女はリーダーへ手を伸ばした。


「急いでください」


「何をすればいい?」


少女の瞳が、まっすぐリーダーを見つめる。


「あなた自身の心を、鍵にするのです」


「俺の……心を?」


「そうすれば、最後の力が目覚めます」


リーダーは拳を握った。


怖い。


逃げたい。


それでも――。


村のみんなの顔が頭に浮かんだ。


「……分かった」


リーダーは三つの鍵を胸の前で握りしめる。


「俺は、逃げない!」


その瞬間――。


三つの鍵が、これまでとは比べものにならないほど強く輝いた。


そして神殿の奥で――。


もう一つの封印が、ゆっくりと砕け始めた。

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