↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふわりか村英雄譚~黒き王と三つの鍵~もふもふたちの戦い  作者: 雨宮ぐみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/55

第4話 森の奥に潜む黒い影

第4話 森の奥に潜む黒い影


 ふわりか村の外れに広がる深い森。


 青白い光を放ちながら走る魔法石を追って、ふわりか村の仲間たちと野獣村のノアは、木々の間を駆け抜けていた。


「いた! あそこ!」


 木の枝の上を走っていたエコーが叫んだ。


 前方――。


 大きな岩の向こうに、青い光が一瞬だけ見えた。


「魔法石だ!」


 エラが剣を構える。


「待って。何かおかしいわ」


 レオンが足を止めた。


 キツネの耳が、ぴくりと動く。


「……音がしない」


「音?」


 アリスが首をかしげる。


「盗んだ魔法石を運んでいるなら、普通は魔力の揺れがもっと大きい。あれは……」


 レオンが目を細めた。


「誰かが魔法石を、遠くから動かしているように見える」


「つまり?」


 グレゴリーが尋ねる。


「囮かもしれない」


「囮……」


 その言葉に、全員が警戒した。


 ノアも周囲を見回す。


「……やはり罠だったか」


「ノア、何か気づいたの?」


 アリスが聞く。


「ああ」


 ノアは地面に鼻を近づけた。


「さっきまで俺たちが追っていた足跡は、ここで突然消えている」


「消えた?」


 ミアが地面を覗き込む。


「本当だ! ここまでしかない!」


「魔法で消したんだろうな」


 ノアが答えた。


 その瞬間――。


 ズズズズズ……。


 森の奥から、低い音が響いた。


「な、何!?」


 ミアが驚いてグレゴリーの背中に飛びついた。


「ミア、俺の背中は木じゃないぞ」


「今だけ木になって!」


「無茶言うな!」


 そんなやり取りをしている間にも、地面が小刻みに揺れている。


 グレゴリーが手を地面につけた。


「……地下に何かある」


「地下?」


 エラが尋ねる。


「かなり大きい。しかも魔力を吸い上げている」


 レオンの表情が険しくなった。


「魔力を吸い上げる……?」


「まさか――」


 ノアが森の奥を見た。


「ふわりか村の結界から流れ出た魔力を、地下で集めているのか?」


 全員が息をのんだ。


 魔法石を盗んだだけではなかった。


 誰かが、ふわりか村の結界そのものを利用して、大量の魔力を集めている。


「じゃあ、魔法石を盗んだのも……」


 アリスがつぶやく。


「結界を弱らせるため」


 レオンが続けた。


「そして、野獣村からも魔法道具を盗んだのは……」


「両方の村を戦わせるためだ」


 エラが言った。


 森の奥で、何かが動いた。


「……誰かいる!」


 エコーが一気に飛び出した。


「待て、エコー!」


 しかし、エコーはすでに木々の間へ消えていた。


「もう……!」


 アリスがため息をつく。


「エコーらしいけど、今は単独行動しないでほしいわね」


「俺が追う」


 ノアが走り出した。


「俺も行く!」


 グレゴリーも続く。


「じゃあ私はエコーたちを上から追う!」


 エコーを追って、ミアも木の上へ飛び乗った。


「……全員、勝手に動くなよ」


 エラが頭を抱えた。


「この村、作戦会議が苦手すぎる……」


 レオンが苦笑する。


「でも、悪くない」


「何が?」


「全員が、自分で考えて動いている」


「それを勝手に動いているって言うんだけどな」


 エラはため息をつきながら、仲間たちを追った。


     ◆


 森の奥。


 エコーは黒い影を見つけていた。


「止まれ!」


 木の枝から飛び降り、目の前に着地する。


 黒いローブをまとった人物が振り返った。


「……!」


 顔は仮面で隠されている。


「お前が魔法石を盗んだのか!」


 エコーが風魔法を放つ。


 しかし――。


 シュンッ!


 黒い影は風をかわした。


「速い……!」


 エコーが追いかける。


 黒い影は木々の間を抜け、地面に手をかざした。


 すると――。


 ゴゴゴゴゴ……!


 巨大な岩が地面からせり上がった。


「うわっ!」


 エコーは慌てて飛び退いた。


 その隙に黒い影は走り去る。


「逃がすか!」


 そこへノアが飛び込んできた。


「エコー!」


「ノア!」


 二人で黒い影を追う。


 だが、影は突然姿を消した。


「……消えた?」


 エコーが周囲を見回す。


 ノアは地面を見た。


「違う」


「え?」


「地下だ」


 岩のそばに、小さな魔法陣が描かれている。


 ノアが触れた瞬間――。


 地面が開いた。


「うわあああっ!」


「エコー!」


 二人はそのまま地下へ落ちていった。


     ◆


「いた!」


 後から追いついたアリスたちが、開いた穴を見つけた。


「エコーとノアは?」


「中だ!」


 グレゴリーが答える。


 その時だった。


 地下から、エコーの声が響いた。


「みんな! 早く来て!」


「何があるの!?」


 アリスが叫ぶ。


「魔法石だけじゃない!」


 エコーの声が返ってくる。


「ここに――」


 一瞬、声が途切れた。


 そして。


「ふわりか村の結界の魔力を、集めている装置がある!」


 全員の顔から笑みが消えた。


 これは単なる魔法石泥棒ではない。


 誰かが、ふわりか村の魔力を奪い、さらに野獣村まで利用している。


 そして地下には、まだ見ぬ巨大な魔法装置が眠っていた。


 レオンが静かに言った。


「……犯人の目的は、村を襲うことじゃない」


「じゃあ何だ?」


 グレゴリーが聞く。


 レオンは地下を見つめた。


「この土地に眠る、もっと大きな魔力だ」


 その瞬間――。


 地下の奥から、巨大な獣のような唸り声が響いた。


 グオオオオオ……。


 全員が凍りつく。


 ノアが低い声で言った。


「……あれは、魔法装置の音じゃない」


 森の地下深く。


 何かが、目を覚まそうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。