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ふわりか村英雄譚~黒き王と三つの鍵~もふもふたちの戦い  作者: 雨宮ぐみ


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第17話 第二の鍵を探せ!

第17話 第二の鍵を探せ!


山の心臓から伸びた黒い光は、夜空を覆うほど巨大になっていた。


ふわりか村の広場には、村の仲間たちと野獣村の仲間たちが集まっている。


レオンは時計塔の前に置かれた古い石板を見つめていた。


「第一の鍵は、ふわりか村の時計塔にある魔力の通路」


そして、もう一枚の石板を取り出す。


「第二の鍵は……山の中にある」


エラが尋ねた。


「場所は分かる?」


「それが、問題なんだ」


レオンは石板に刻まれた文字を読み上げる。


「『水が眠る場所。光が届かぬ場所。二つの村を結ぶ場所』」


「水が眠る場所……」


リリアが考え込む。


「山の中に地下水路があるのかもしれない」


エドガーが頷く。


「この山には昔から地下水が流れている。だが、どこへ続いているのかは分からない」


ミアが手を挙げた。


「私、知ってるかも!」


全員が振り返る。


「本当に?」


「うん。森の中に、誰も近づかない古い井戸があるよ」


「井戸?」


「そう。水があるのに、音がしない井戸」


レオンの目が輝いた。


「それだ!」


ヴァルターが腕を組む。


「なら、すぐ行くぞ」


「待って」


ノアが止める。


「黒い影がまだ村の周辺にいる」


「……そうだったな」


ヴァルターが舌打ちする。


「なら、二手に分かれよう」


エラが提案した。


「第二の鍵を探す班と、村を守る班に分かれる」


アルベルトが頷く。


「賛成だ」


するとグレゴリーが手を挙げた。


「俺は村を守る!」


エコーが横から言った。


「グレゴリーが守ると、壁が高くなりすぎない?」


「何でだよ!」


「前に土壁を作ったとき、村長の家まで囲んでたじゃん」


「……あれは魔力の調整を間違えただけだ」


「三回ね」


「三回も言うな!」


エラがため息をついた。


「今回はちゃんと調整して」


「任せろ!」


一方、第二の鍵を探す班には、レオン、ミア、エコー、アリス、ノア、リリア、そしてヴァルターが選ばれた。


「俺も行く」


アルベルトが言った。


「お前は村を守る側だ」


ヴァルターが答える。


「村はグレゴリーたちが守る。俺たちは鍵を見つける」


「……分かった」


アルベルトは少し考えてから頷いた。


「だが、無茶はするな」


「お前に言われたくない」


「それはお互い様だ」


二人が睨み合う。


エコーが小声でノアに言った。


「なんだかんだ仲良いよね」


「僕もそう思う」



---


一行は森へ入った。


夜の森は、昼間とはまるで違っていた。


木々の間を冷たい風が抜ける。


「こっち」


ミアが先頭を歩く。


「本当にこの先?」


レオンが聞く。


「たぶん」


「たぶん?」


「森の道って、夜になるとちょっと変わるから」


「道は変わらないよ」


「でも私には変わって見える」


「それはミアが迷っているだけじゃない?」


エコーが笑う。


「失礼だなぁ」


ミアは頬を膨らませた。


そのとき――。


ピタッ。


ミアが立ち止まった。


「……静か」


「どうした?」


ノアが尋ねる。


「虫の声がない」


全員が耳を澄ます。


本当に何も聞こえない。


「……嫌な感じだ」


ヴァルターが周囲を見る。


レオンが地面を調べる。


「ここから先は、誰かが魔法を使っている」


「敵?」


アリスが聞く。


「分からない」


その瞬間。


ザザッ!


木の陰から黒い影が飛び出してきた。


「来た!」


エコーが風を放つ。


しかし――。


黒い影は攻撃せず、地面へ手をついた。


ドクン!


地面から黒い魔力が広がる。


「魔法陣だ!」


レオンが叫ぶ。


「飛んで!」


全員が同時に跳び上がる。


直後。


地面から黒い棘が一斉に突き出した。


「危なかった!」


リリアが水の壁を作る。


ヴァルターが炎を構える。


「今度こそ――」


「待って!」


レオンが止めた。


「攻撃しないで!」


「なぜだ!」


「さっきと同じだ。こいつに魔力を与えるだけだ!」


ヴァルターは炎を消した。


「……面倒な相手だ」


エコーが黒い影の周囲を飛び回る。


「じゃあ、魔力を使わずに捕まえる?」


ノアが頷く。


「やってみよう」


ノアとエコーが左右から近づく。


黒い影が二人を追う。


「今!」


グレゴリーから預かった縄をエコーが投げる。


ノアが反対側から引っ張る。


黒い影の身体が木に絡まった。


「捕まえた!」


だが――。


黒い影は突然、身体を霧に変えた。


縄が地面へ落ちる。


「逃げた!」


エコーが叫ぶ。


「待って!」


ミアが走り出した。


「こっち!」


「ミア!」


一行が追いかける。


黒い影は森の奥へ逃げていく。


しかし、その途中で突然消えた。


「……消えた?」


アリスが周囲を見る。


ミアが地面を指差した。


「違う」


そこには古い石が一枚置かれていた。


石の下から――。


水の音が聞こえる。


「ここだ」


レオンが石をどかす。


ゴゴゴゴ……。


地面が開いた。


そこには地下へ続く階段が現れた。



---


階段を下りると、巨大な地下空間に出た。


天井から水が滴っている。


中央には、静かな地下湖。


しかし、その湖の水面には波一つない。


「これが……水が眠る場所」


リリアが呟いた。


レオンが湖の奥を見る。


「光が届かぬ場所……」


そこには、湖の底へ続く階段があった。


「まさか……」


ヴァルターが眉をひそめる。


「水の中へ入るのか?」


リリアが笑った。


「私がいるから大丈夫」


「……そうだったな」


リリアが水の魔法を使う。


すると湖の水が左右へ分かれ、一本の道が現れた。


「すごい!」


エコーが目を輝かせる。


「これなら濡れずに行ける!」


ミアが一歩踏み出す。


「本当だ!」


その瞬間――。


ズルッ。


「きゃっ!」


ミアが滑った。


「ミア!」


レオンが腕をつかむ。


「危なかった……」


「ありがとう!」


ミアは立ち上がった。


そして、ふとレオンの足元を見る。


「レオン」


「ん?」


「靴……濡れてる」


「……」


「道、水が少し漏れてるね」


「……そうみたいだ」


エコーが笑い出す。


「レオン、かっこよく助けたのに足だけびしょびしょ!」


「うるさい」



---


湖の底。


そこには巨大な石の扉があった。


扉には二つの村の紋章。


その中央に、鍵穴が一つ。


レオンが近づく。


「ここだ」


ヴァルターが黒い鍵を取り出す。


「これで開くのか?」


「たぶん」


「また『たぶん』か」


「古代遺跡だから仕方ない」


ヴァルターが鍵を差し込む。


カチッ。


扉が震えた。


ゴゴゴゴゴ……。


しかし、開かない。


「何だ?」


「もう一つ条件がある」


レオンが扉を見る。


そこに文字が浮かび上がった。


『二つの村の力を示せ』


「またか……」


ヴァルターがため息をつく。


「本当に試練が好きな遺跡だな」


すると、湖の奥から巨大な水の魔物が現れた。


「グオオオオ……!」


水が渦を巻く。


エコーが叫ぶ。


「第二の鍵って、あの魔物の後ろじゃない!?」


魔物の背後には――。


青く輝く巨大な鍵が浮かんでいた。


レオンが息をのむ。


「……第二の鍵だ」


だが、その瞬間。


地下湖の水面に黒い亀裂が走った。


バキッ……!


そして、どこからともなく声が響く。


『第二の鍵に触れるな』


全員が振り返る。


黒衣の人物が、湖の向こう側に立っていた。


「またお前か!」


ヴァルターが叫ぶ。


黒衣の人物は答えない。


ただ、青い鍵を見つめていた。


『それを取れば――第三の鍵が目覚める』


レオンの表情が変わる。


「……どういう意味だ?」


黒衣の人物は静かに言った。


『第二の鍵を取るか』


そして――。


『村を救うか』


その瞬間。


地下湖の奥で、巨大な何かが目を開いた。


青い光ではない。


――赤い光だった。

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