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Chapter4私たちはウォー・エンジェルス

翌朝、インファーナル本部の司令官室には、ニキ、ラキ、ターヘルの三人が並んで立っていた。

トーマス・ブルックス司令官は、テーブルの前に立つと静かに口を開く。

「諸君、紹介しよう。バルワーク・レギオン出身のジェイ・カーターだ。今後、彼が我々と共に動く」

ジェイは軽く会釈し、部屋の隅に控えた。


ブルックスはホログラムを起動させ、三つの人物像を浮かび上がらせた。

ダスクフォール全土で最も危険視される三人の大物ギャング――

「まず、ダーク・ファーテル

オナルムス市の中心部に潜伏し、地下トンネル網を使って武器を密輸している。

評議会の命令により、生け捕りが必須だ。裁判にかけるためにな」


次に表示されたのは、軍服姿の厳つい男。

「ディネックス大佐

レボリューションシティに隠れ、年々勢力を拡大しているギャングの首魁だ」


そして最後に、闇に包まれたようなぼやけた映像。

一人の男のシルエットだけが浮かび、両腕にははっきりと龍のタトゥーが確認できた。

ラキが息を呑む。 「……この人は?」

ブルックスは重くテーブルに両手を置き、ラキを見据えた。

「正体は不明だ。だが、記録に残る限り――あの組織間戦争を引き起こした張本人とされている」


ターヘルは無言で拳を握りしめた。

龍のタトゥー。

あの日、夫と息子を奪った者たちと同じ印。


ブルックスはホログラムを消すと、三人に視線を巡らせた。

「ヤツらを特定し、コムリンク・タワーまで連行せよ。それが今回の任務だ」

ブリーフィングが終了し、四人は司令官室を後にした。


廊下に出ると、ジェイ・カーターは茶色の髪をかき上げ、小さく息を吐く。

その様子に気づいたニキが声をかけた。

「どうしたの、ジェイ・カーター?」

ジェイは苦笑交じりに肩をすくめた。

「いや……チーム名でもつけようかと思ってな」

すると、ターヘルが静かに口を開いた。

「決まってるわ」

三人が足を止め、彼女を見る。

ターヘルは遠くを見つめるように、穏やかだが確かな声で続けた。


「私たちのチームは――」

かつて息子が興奮して語ってくれた、伝説の兵士たちの物語。

その名を、今ここで受け継ぐ。

「ウォー・エンジェルス」

彼女は静かに微笑み、決意の瞳で三人を見据えた。

「私たちは、ウォー・エンジェルスよ」

挿絵(By みてみん)


オナルムス市の地下深く、湿気と埃に満ちたトンネルの中で、ダーク・ファーティルは部下のラスキー・ギャングに鋭い指示を飛ばしていた。

「ボイド・フラックス・ライフルを全部、港まで運べ。一つのミスも許さん」

数十丁もの最新型ライフルが、厳重に梱包されたコンテナに詰め込まれ、暗い通路を次々と運ばれていく。


その時、ファーティルの手首のコミュニケーターが振動した。

ホログラムを起動すると、闇に包まれた金属のシルエット――あの暗い金属の人影が現れる。

「予定通りか?」 ファーティルは恭しく頷いた。

「はい、閣下。すべて計画通りです」 

ホログラムの中の人物は、運ばれていく武器を一瞥し、ゆっくりと口元を歪めた。

「……よし。準備が整い次第、オナルムス市への総攻撃を開始する」



一方、上空――オナルムス港を見下ろす高度で、STSアレクサンドリアが静かにホバリングしていた。

会議室のホログラム画面には、地下トンネルから港へ向かうラスキー・ギャングの動きがリアルタイムで映し出されている。

ラキは眉を寄せ、画面を凝視していた。

ジェイが部屋に入ってくると、すぐにその光景に目を止めた。

「……これは、ただの密輸じゃない。相当大きな作戦だな」

ラキは即座に頷く。

「この量のボイド・フラックス・ライフルがあれば、市の半分を制圧できるわ」

ジェイは無言でフュージョン・フラックス・マシンガンをチェックし、弾倉を装填すると、格納庫ベイへと向かった。


「アレクサンドリアは視界から外しておけ」

格納庫のスライドドアが開くと、そこにはすでに準備を終えたニキとターヘルが立っていた。

二人は機械化された身体を最終調整し、それぞれの武器を点検している。


ジェイの姿を見つけると、ニキとターヘルは姿勢を正し、軽く敬礼した。

ジェイはニキに軽く頷き返し、そのまま横を通り抜ける。

そして、ターヘルの前で足を止め、静かに告げた。

「忘れるな、ターヘル・アナトミア。ダーク・ファーティルは生け捕りだ。

彼はお前の家族と、この街の人々に対して犯した戦争犯罪の裁きを受ける必要がある」


ターヘルは一瞬、瞳を伏せたが、すぐに顔を上げ、はっきりと頷いた。

アンチタンク・ガトリングライフルを肩に担ぎ上げる。


ウォー・エンジェルスの三人――ジェイ、ニキ、ターヘルは、それぞれジェットパックを起動させた。

格納庫の巨大なハッチがゆっくりと開き、夜のオナルムス市の灯が下界に広がる。


三人は互いに視線を交わし、無言で頷き合った。

次の瞬間、ジェットパックの噴射音が轟き、三つの影が闇の中へと飛び立っていった。

ジェットパックの噴射音が響き、三つの影はオナルムス港へと急降下していく。


港が近づくにつれ、ジェイは軍用コートの内ポケットから二発のアクティブ・バンカー・グレネードを取り出した。

安全装置を外し、ピンを引き抜くと同時に、貨物コンテナへ向けて投擲する。

轟音とともに巨大な爆発が巻き起こり、炎と衝撃波がラスキー・ギャングを混乱に陥れた。


すかさずジェイはマシンガンを構え、正確な連射で敵の動きを封じていく。

ラスキー・ギャングは慌てて遮蔽物に身を隠し、ボイド・マシンガンで反撃を開始する。

青白いエネルギー弾が夜空を切り裂いた。


最初に港の地面に着地したのはターヘルだった。

ガトリングライフルを肩に担ぎ、敵の武器を優先して正確に撃ち抜いていく。

銃身が過熱するほどの連射で、次々とラスキー・ギャングの手から武器を奪った。


すぐ後ろにニキが着地。

機械化された脚部を活かした高速の蹴撃が、敵の胸や腹に叩き込まれる。

打撃音が連続し、敵は戦闘不能に倒れていく。


三人は連携しながら、港の奥――ラスキー・ギャングのアジトへと道を切り開いた。

戦闘の合間、ジェイは倒れた敵から奪った地図を素早く広げ、あるマークを見つけて眉をひそめた。


――戦争で壊滅したはずの軍の象徴。

だが、今は考える時ではない。

ターヘルはガトリングライフルを背中に回し、サンストライク・ハルバードを抜いた。

太陽のような輝きを放つ刃が、敵の隊列を薙ぎ払う。

しかし、彼女は決して致命傷を与えない。

手首や脚を正確に斬りつけ、戦闘能力だけを奪っていく。

評議会の命令――生け捕り。

前方を睨み、目標を視界に捉えた。


ダーク・ファーティルが、部下を置いて逃げ出そうとしている。

「ニキ、前へ!」 ターヘルが鋭く叫ぶ。

ニキは即座に反応し、両手を組み合わせて台を作った。

ターヘルは助走をつけ、その手に飛び乗り――

「ニキ キャノンボール!」 

ニキの超人的な腕力が解放され、ターヘルは弾丸のように射出された。

ファーティルが振り返る間もなく、ターヘルはハルバードを投擲。

輝く刃が彼の足元を貫き、動きを封じる。


次の瞬間、ターヘルのキャノンボール・ニー・ストライクが、ファーティルの胸に直撃した。

重い衝撃音が港に響き、ダーク・ファーティルは地面に叩きつけられ、意識を失った。


ターヘルは着地と同時にハルバードを引き抜き、倒れた男を見下ろす。

息は荒いが、瞳は冷たく、揺るぎない。

「……これで、一人目」


ファーティルは地面に倒れたまま、口元に溢れた血とオイルを乱暴に拭った。

ゆっくりと立ち上がり、冷たい笑みを浮かべると、腰の鞘からトリニティ・フュージョン・ソードを抜き放つ。

刃が青白く輝き、周囲の空気を震わせた。

「死ね!」 

一瞬の静寂の後、激しい剣戟が港に響き渡った。

挿絵(By みてみん)

ファーティルは怒涛の斬撃を繰り出し、剣閃が夜を切り裂く。

だが、ターヘルは優雅に、まるで舞うようにそのすべてをかわした。

隙を突き、彼女は一気に間合いを詰め、鋭い右ストレートをファーティルの顎に叩き込む。

続けて剣を弾き飛ばし、掌底を腹に深く沈めた。


その頃、ニキは残りのラスキー・ギャングを片付け、素早くターヘルの戦場へと駆けつけた。

だが、戦況は一変していた。

ファーティルの中段蹴りがターヘルの脇腹を捉え、彼女の身体は大きく吹き飛び、近くの倉庫の壁を突き破って内部へ叩き込まれた。

コンクリートが崩れ、埃が舞う。

ファーティルは落とした自分の剣を拾い上げ、ゆっくりと瓦礫の中へ歩み寄る。

「終わりだ……」

瓦礫を這いながら出てきたターヘルは、頭を押さえ、よろめきながら立ち上がった。

視線の先、ファーティルが剣を構えて突進してくる。

ターヘルは咄嗟に近くに転がっていた太い金属パイプを掴み、全力で投げつけた。


ファーティルは一閃。

パイプは真っ二つに両断され、切断面が赤熱して落ちる。

そのまま上段から振り下ろされる一撃。

ターヘルは横にステップし、剣を辛うじて避ける。

背後を取ると、ファーティルの首と腰を掴み――ジャーマン・スープレックス!地面が揺れ、ファーティルの背中が激しく叩きつけられた。


ターヘルは即座にガトリングライフルを構えるが、ファーティルは素早く立ち上がり、剣閃一閃。

銃身が根元から綺麗に斬り落とされた。

続けて腹に蹴りを叩き込み、ターヘルをよろめかせる。

今度こそ、とどめを刺すべく剣を振りかぶるファーティル。


その瞬間――ニキの足が閃き、ファーティルの脚を刈った。

バランスを崩したファーティルが地面に倒れる隙に、ニキは倒立し、両膝を胸に全力で叩き込む。

重い衝撃にファーティルが苦悶の声を漏らす。


だが、すぐに立ち上がり、怒りに任せてニキへ斬りかかる。

剣が縦横無尽に舞う。

ニキは軽やかなフットワークでそのすべてをかわし、隙を見て鋭い蹴りを胴体に連打で打ち込んだ。

蹴りのたびにファーティルの動きが鈍り、息が荒くなっていく。

二人の戦いは、まだ終わらない。

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