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閃光の瞬  作者: KK9996
22/24

第21話 手を繋いで星を見ようね

企業都市で、借金を背負った剣士が日本刀と知略で成り上がっていくSFバトルものです。

テンポと引きを重視して書いています。

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

第21話


「――へぇ、雑魚は一蹴とか、やるねえ!」


最上の周りには、倒れた部下たちが転がっていた。

しかし、座愛は不満気だ。


「…なんであんたには通らない?」


「いい疑問」


最上もがみが答えた。


「撃ってみなよ、ほら」


「っ!」


座愛がスプラッターキャノンを連射する。


ダン、ダン、ダン、ダン!


鈍い連射音。

試しに4発。

だが――。


返ってきたのは、迎撃の連射音だった。


ド、ド、ド、ド!


発射された弾丸は空中で弾け飛び、散った。


「まさか…弾を…撃ち落としてるのか!?」


座愛が驚愕した。


「御名答。普通の撃ち合いじゃ、俺に銃は効かない」


最上はピアスまみれの舌を出した。


「見えてるものは全部落とせるからな」


「それに…その銃!」


座愛が最上の銃を見て更に驚いた。


「そう。お前のと同じ系統さ。携行型ベルト給弾ライトマシンガン。通称“無問題もうまんたい”」

「…威力ではそいつに劣るが、連射と反動、機動力では勝てる」


だが、そんなことでうろたえるほど、今の座愛は弱くなかった。


「ならまさに無問題もうまんたい。こっちはヘビーマシンガン!威力ならこっちの勝ち」


「試してみるかい?」


最上が銃口で前髪を直すと、更に奥から声がしてきた。


「エレベーター、復旧完了!」


「ったく、遅いっての。急いでピリオドさんのところに行け。きっと最後の扉も開かなくて詰まってるはずだ」


これに部下は答える。


「了解。急ぎピリオド様の元へ!」


「ちっ!」


座愛がその部下を正確に狙った。

連射。

だが。


ド、ド、ド、ド、ド!


また全弾落とされた。


「マジ?」


「マジなんだなーこれが」


何度やっても、最上が当たり前のように全弾落とす。


「聞いたことがある…“オートエイム”」

「銃使いなら誰でも欲しがる、幻のモッドモジュール」

「視界に入った標的へ、自動で照準が吸い付くっていう…」


これに最上はニヤつく。


「知ってたんだ。さすが銃使い」

「そう。俺のアイコニックモッドモジュールは、このオートエイム」

「脳と腕に食い込ませてある。視界に入った獲物は、外さない」


最上がニヤニヤしながら辺りをうろつく。


「フラッシュじゃないが、反射神経も盛ってる。だから、飛んできた弾でも間に合う」


そんな最上に、座愛は震える。


「さすがSランク!それくらいじゃないと!!」


座愛が連射を開始する。


だが、全部落とされる。

真正面からの撃ち合いでは勝てない。

それはもう明らかだった。



ダン、ダン、ダン、ダン、ダン!


――扉を弄る音が聞こえる。


「…まだか」


ピリオドが腕を組み、圧を放っていた。

そして、部下が震えながら扉の前で作業をしている。


「申し訳ございません。今すぐに開けます」


ここは第4階層。

“コベナントコア”がある最後の扉の前。

電子がセキュリティを握ったため、扉は開かない。


「こんな扉も開けられないのか。退けろ。もういい。私が自分でやる」


ピリオドは最後の部下の腹にコンバットナイフを刺して処刑した。


「…ピリオド…様」


――銃声が重なる。


「くそっ!貴重な弾なのに、全弾落とされる!」


座愛が、蜘蛛脚を格納してカバーへ逃げている。


「おーい、女ー!出てきて遊ぼうよ!俺退屈でさ!」


「くそっ!」


その時、瞬から通信が入った。


『はぁ…はぁ…おい、銃声が多いが、大丈夫か!?』


「ああ、その声聞いたら安心した!ヤバいやつが相手だけど、なんとかする!」


『わかった!できるだけ早く合流する!』


それを聞いた最上が舌を回す。


「通信?それが彼氏か何か?いいねぇ。そそるよ!」

「そいつの目の前で、お前を壊してやりたくなる!」


「悪趣味すぎる…こいつ嫌い」


そして、座愛は意を決して、蜘蛛脚を展開し、スプラッターキャノンを連射する。


重い連射音。

…しかし、同じく重い連射音に掻き消され、全弾砕け、輝きになって空中で散る。


「じゃ、今度はこっちの番!」


ライトマシンガンの素早いリズムが空気を裂く。


座愛も蜘蛛脚を格納して、必死に遮蔽物の間を走って避ける。

だが。


「くそっ!」


最上の放つ銃弾が、座愛の脇腹をえぐった。

久しぶりに見る自分の血。

座愛はさすがに動揺した。


「はぁ…皮膚アーマーまで抜くのかよ…」

「オートエイムに強装弾。さすがSランク…!」


「今の避けたって、結構すごいよ!普通なら蜂の巣になってるところだぜ!」


最上は相変わらず、口が回った。

まだ余裕だ。

座愛の方は、最終手段しかない。


「瞬みたいな脳筋作戦だが…オーバーヒートまで全弾撃つ!」


座愛が蜘蛛脚を背中から展開し、スプラッターキャノンを全開にする。


重い重い連射音が地鳴りのように響き、実際に床が少し振動している。


「うおおおおおお!」


座愛が叫んだ。

渾身の連射。

蜘蛛脚があるとは言え、新しい強装弾は反動も増す。

腕に徐々に痛みが走る。


だが、それでも。


「くそっ…オーバーヒート…それでも全弾落とされた!!」

「勝てない…!!なんだこいつ…!!」


蜘蛛脚を急いで格納して、カバーに隠れる。


「おーい、女!またかくれんぼかい?」


その時、座愛が違和感に気付いた。


「あいつ、オートエイムで圧倒的有利なのに追ってこない…なんで?」


――はっ。


座愛が閃いた。


「もしかして…近すぎると反応できないのか?」

「至近距離なら、オートエイムでも撃ち落とせない?」

「近寄ってこないなら…これが使える!」


座愛は、自分の横にある、キャスター付きの巨大なゴミ運搬用カートを見て何か思いついた。


「おーい!そろそろ出てきて遊ぼうよ!」


座愛は、遮蔽物に隠れながら蜘蛛脚を使い、その大きなゴミ運搬用カートを押す。


そして、最上から見て横に転がす。


すると、最上側から見れば遮蔽物から影が飛び出す。

最上は即座にオートエイムで反応して、それを撃つ。


「ちっ、ゴミ箱かよ」

「ゴミ箱を囮にして、俺のロックをそっちに吸わせる」

「その隙に懐へ――だろ?」


最上は鼻で笑った。


「甘いな。もうお前に戻してる」


座愛の閃きは読まれた。


そう思われた。

…だが。


「残念なのはそっち」


座愛が最上の後ろを取った。


「なっ…バカな!?まだあの遮蔽物内に隠れてるはず…テレポートでもしない限り…はっ!」


最上が気付いた。


「まさか…あのゴミ箱の裏に張り付いたまま動いたのか…!」

「遮蔽物から、音もなく抜けた…!」


「御名答。まだあそこにいると思い込んだ時点で、あんたの負け」


座愛が勝ち誇る。


「マジ?」


「マジなんだなーこれが」


座愛が蜘蛛脚を展開して、スプラッターキャノンを至近距離で放った。


ダン、ダン、ダン!


――決着は、3発だった。


「じゃあね、悪趣味野郎」


座愛はその場を去った。


「瞬!Sランクに勝ったよ!早く合流しよう!」


座愛は誰よりも瞬に言いたかった。

嬉しそうに報告していた。


…その裏で。


「…ピリオドさん…はぁ…はぁ…すまねぇ……俺はここまでだ」

「あんたが作る“新しい世界”、一緒に見届けることはできそうにねぇ…」


最上がかろうじて端末を開き、ピリオドに通信していた。


『…最上……わかった。そちらへ向かおう』


座愛は瞬の到着を待っていた。

すると、第4階層へ繋がるガラス張りの透明エレベーターが降りてきた。


中に、人影。


「なっ…ピリオド!?」


座愛の背筋が凍る。


「くそっ!」


座愛が銃を構えた。

ピリオドがエレベーターから降りてくる。

血の海へ倒れた最上を見てピリオドが唸る。


「…最上……女、よくもやってくれたな…」


「っ!」


座愛が蜘蛛脚を即座に展開し、ピリオド目掛けて銃を撃つ。


すると、ピリオドはまた手を動かした。

透明な壁のようなものを自分の前に置く。


しかし、強装弾に強化した座愛のスプラッターキャノンは、その透明な壁のようなものを数発で貫通した。


「何っ…しまった」


ピリオドが初めて戦闘で慌てた。


強装弾は、透明な何かを確かに貫いた。

腹のど真ん中へ入る軌道。

……のはずだった。


次の瞬間、弾道が不自然に曲がる。

横から、見えない手で押されたみたいに。


「なっ……確かに腹を狙ったはず!なんで脇腹に逸れた!?」

「防いだだけでなく、ずらしたのか!?」


初めて、 ピリオドの脇腹から血が滲んだ。

そこを押さえながら、ピリオドが言う。


「…女、私にここまでのダメージを与えたのは、貴様が初めてだ」

「敬意を評して、ここで鎮めてやる」


座愛が渾身の連射。


ダン、ダン、ダン、ダン!


強装弾は見えない何かを貫き、なおピリオドの腹の中央を打った。

外骨格アーマーが鈍くへこみ、ピリオドが初めて大きく体勢を崩す。

だが、追撃は逸らされた。致命には届かない。


…そしてピリオドは体勢を立て直す。

ピリオドの周囲の何もない空間から、銃弾の雨が座愛に降り注いだ…。


乾いた連射音。


「っ!」


座愛は蜘蛛脚を前に出して一部を弾く。

だが、全部は間に合わない。


腹。脇腹。肩。脚。


「くそっ…」


強装弾で削ったピリオドの血と、自分の血が床に混ざる。

座愛の体が大きくよろめく。

それ以上、銃は撃てない。


……ピリオドはそれ以上追撃せず、ガラス張りのエレベーターへ向かった。


「女。貴様はよくやった。だがもう遅い」


扉が閉まる。

ピリオドは第4階層に上がっていく。


――少しして、瞬が第3階層に着いた。


そこには、蜘蛛脚に身体を預け、足元に血溜まりを作っている座愛がいた。


「…おい!座愛!大丈夫か!?」


瞬が即座に座愛の元へ駆け寄る。


その時、ピリオドがガラス張りのエレベーターに乗って、第4階層へ登っていく。


瞬は、それを睨むことしかできない。


「…座愛!今手当を!死ぬな!!」


…座愛が瞬の手を握って、首を横に振る。

自分がどういう状態か、もうわかっていた。


「…蜘蛛脚、クイックリリース」


背中の機構が外れ、座愛の身体がそのまま瞬の腕へ崩れ落ちた。


「座愛!頼む!死なないと言ってくれ!!」


「あー…それ、ちょっと無理そう…」


瞬の腕の中で、座愛の生きている証…呼吸が、どんどん弱くなっていく。


瞬は急いで止血剤を取り出し、座愛の撃たれた腹に塗り込もうとするが…。


「…最後に感じるのが、止血剤の痛みって嫌だな…瞬の腕がいい」


座愛は血まみれの手で、瞬の手を止め、自分の肩を抱かせる。

止血剤は床に落ちた。


「…瞬、聞いて…ピリオドの秘密がわかった…」

「ピリオドの能力は…磁力操作だよ。……も使って、…強さを演出してる」


「…わかった、もういい。喋るな」


「…瞬……私の装備使って…」

「スプラッターキャノンも、蜘蛛脚も…今度は、瞬が撃って」


「…でも座愛、俺は…銃を撃てない…」


瞬はまたトラウマを思い出し、手が震えた。、


「…瞬なら…大丈夫だよ」


座愛が息を弱らせながら続ける。


「…ねぇ、瞬……」


「どうした…?」


腕の中で、座愛の体温と心拍数が一瞬高くなるのを感じた。


「…好きだよ。…言うの、遅すぎだよね……」


「…ああ、俺もだ…!今まで言えなくて、ごめん…」


座愛は、瞬の腕の中で顔を瞬の胸に埋め、甘えた。


「…嬉しい……私、今…最高に幸せだよ」

「…さぁ、行って…“閃光の瞬”…」

「ピリオドを止めて…都市を守って…」


座愛の目の光が弱くなっていく…。


「…はぁ…はぁ…もし生まれ変わったら…また出逢って……今度は…もっと早く言うね……」

「手を繋いで…星を見ようね」


「…座愛!座愛!!…ああ!そんな…頼むよ…!神様とやら…!!」


…座愛が目を閉じた。

笑顔だった。

握っていた手は、力を失い、垂れ下がった。


同時に瞬の体からも力が抜けた。


――瞬の涙が座愛の顔に落ち、頬をつたい、冷たい地面に落ちた。



読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、次話も読んでいただけると嬉しいです。

感想・ブックマーク・評価、とても励みになります。


次回更新は5/2 19:20を予定しております。

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