第61話 ゼストの思い
今回で船の旅は終わりですー
三人が元に戻ったところをゼストも物陰から観察していたわけだが、自分のシナリオと違うことに慌てて飛び出してくる。
「どうした?何かあったのか?ってショウなんだその恰好は、お前やっぱりそっちのけがあったのか?」
「ち、ち、違いますよ!」
「あらゼスト。あんた今までどこにいたの?みさっちがあんだけ騒いでるのに出てこないなんてあんたらしくないじゃない。」
「え?あ?いや、トイレに行っててだな、その、気が付かんkったんだ。」
「ふーん。そうなんだ。」
「聞いてよゼスト!ショウ達の中身が入れ替わっちゃったんだよ!」
「そ、そうだったのか、大変だったな。」
美沙の慌てようにゼストはニヤッとする。その笑いをマリは逃さなかった。
「あぁ、そのことなんだけどね。それ全部ゼストの仕業だから。」
「え?!ほんとに言ってんの!?」
ゼストは目を見開いて何言ってんだこいつといった表情でマリを見る。
「これが証拠ね。」
マリは懐からまた水晶玉を取り出した。魔力を浸透させると水晶玉からある映像が映し出される。
「この魔法の薬であいつらの中身を入れ替えてやる。みさっちの驚く顔が楽しみだぜ!アハハハハハ!」
水晶にはゼストが三人にドリンクと称して怪しげな薬を飲ませているシーンが映っていた。もちろんでっち上げの映像でこんな場面本当にあったわけではない。以前の宴会でゼストがやった行為といろんなものを組み合わせて作り上げていた。
「なんだこの映像は!?マリ!」
「え?証拠映像よ?ねぇ?ショウ?」
「そうですね、確かに僕らみんなゼストさんからうまい飲み物があるからと言って渡されて飲みましたよ。」
美沙のほうは無言でゼストをじーっと見ている。一言もしゃべらず、瞬きもせず。ただ単にじーっと見ている。その行為が逆に怖い。何を考えているかもわからない本当にただゼストを見ているだけ。
「ち、違うぞみさっち!俺はこんなことしていないぞ!?なぁ?ユカリ、カオス。」
カオスとユカリはもうすでに我関せずの状態であったのだがこの状況は明らかにゼストが不利だと感じた二人はショウとマリのほうに乗っかることにした。
「え?あの飲み物のそうだったの!?知らなかったし!ゼスト許さないし!」
「わ、私もまさかそんなものを飲まされてるとは思いませんでした。」
「な!?二人ともどういうことだ?!」
「ゼ~ス~ト~!結局あんたのせいだったののね!許さないんだからこの簀巻き王!」
美沙がキレてゼストに向かって手のひらを向けると近くにあった荒縄がゼストに向かって伸びていく。逃げるゼスト、追いかける荒縄。最終的にゼストが簀巻きにされて今回は船首のところの船首像のように括り付けられた。
「みさっち誤解だ!こいつら全員グルだぞ!」
「うっさいバカゼスト!そこで反省してなさいよ!今回は絶対ほどかないから!しまにつくまでそこにいなさいよ!」
こうしてゼストの目論見は全てついえた。美沙の悔しがる顔含め美沙を貶められる実力があるぜすとさんスゲー!計画は幕を閉じるのであった。
「みんなももとにもどってよかったね!」
「う、うん。そうだねカオス。」
「そ、そうだねパパ。ユカリもね。」
「そ、そうですね。」
あはははははと笑う四人の横でマリは一人ゼストのところに近寄っていく。
「あんたじゃ無理よみさっちには勝てないから。」
「いつか見返してやるんだよ。あいつらが困ったときに俺に頼ってもらえるようにな。」
「あら、あんたにしては優しいじゃない。」
「あいつらには世話になってるからな。」
「でも、そんな必要ないと思うわよ。」
「なんででだ?俺は必要ないのか?」
「ちがうわ、あの子たちはあんたにそんなこと望んでいないし。もしそんなことになったら当り前のように事件に巻き込んでくるわよ。」
「のぞんでない・・・」
「あんたの気持ちもわからないわけではないけど、分からない?私たちもう対等なのよあの子たちと、仲間なの。」
「仲間なのは俺もわかる。」
「だからね?困ったことがあれば自分たちから頼ってくるわ。だって仲間なのよ?」
「そうだな、こんなことしなくてもいいんだな。仲間だもんな。」
ゼストは船首像として遠くに見えてきた島を眺める。
「なんてね、あんたみさっちにはどうやったってかなわないんだからやめときなさい。また簀巻きにされるわよ。」
「されるわよ!じゃねぇ!もうなってるんだよ!やっぱりいつか絶対に見返してやる!」
「ま、頑張んなさい。」
二人は顔を合わせて笑いあった。
「ねぇショウ?」
「なにミサ?」
「いつまでその恰好でいるの?むしろそれが本当のショウなの?」
「な?!え!?ちが!これはさっきまでユカリさんだったからだよ!」
「あ、そっか、じゃあそう言うことにしておいてあげる。」
「あー。ミサにはやっぱかなわないね。」
「どうせマリに無理やりやらされたんでしょ?」
「う、うん。まぁそんなとこかな?」
「じゃあ、罰として今日はそのままで一緒にいようね。」
「え?いや着替えてくるよ。ちゃんとした格好でミサの隣にいたいからね。」
いまだドレス姿のショウをニヤニヤ見て小悪魔的な笑顔を見せる、ショウはこの笑顔に弱い。
「じゃあ、着替えに行くから一緒に行く?」
「うん、行こ。カオちゃんもね。」
「う、うん。」
二人の会話に乗り遅れたカオスと空気になったユカリが乾いた笑いをしながらこの後に自分たちのお仕置きのことを考えると楽しく笑えなかった。
その後ショウは着替えに、カオスとユカリは黙って美沙を恐れながら部屋に待機していた。
「ちょっとみさっち。」
「なにマリ?」
「あんた全部もうわかってるんでしょ?」
「うん。」
「ならもういいじゃない。」
「そうなんだけどね、ま、お仕置きってやつ?」
「あんたのそれがみんな一番怖がってるんだって。」
「仕方ない。ゼスト以外は許すか。」
「ゼストもよ。アンナンでも一応あんたたちの子と思っての行動らしいよ?」
「知ってる。」
「じゃあなんで?」
「・・・もっと信用してくれればいいのに。」(ボソ)
「え?なんて?」
「何でもない!」
えへへ!といって部屋に戻りカオスとクーと一緒にベットに入る美沙。
デッキから夜の海と簀巻きにされたゼストをマリは眺めていた。
「ミサもわかってるんですよ。」
「ショウ・・・」
「ゼストさんがミサにちょっかい出してくる理由をミサなりにわかってるんです。」
「そっか。」
「まぁ、楽しんでるのも事実ですからね。」
「そうね。」
こうして船上の最終日の夜は更けていった。ただ一人を除いて・・・
「わたし・・・この先どんなお仕置き受けるのか不安で眠れないよ!」
頑張れユカリ。
いろんな思いがあるようです。




