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番外編その4 キズナの記憶 中編

前後編で終わらすつもりが…もうちょいお付き合い下さい。

ショウ君からの依頼は簡単なものだった。

田舎の村、デービス村に薬を届けて欲しいというただそれだけの以来だった。フライングヒュドラのヒュー君と一緒にサクッと終わらせるつもりが…なんでこんな事になるんだか。


「か、神が降臨なされた!」


「我らは救われた!」


「おぉ!神よ!」


村に着いたらみんながいきなり寄ってきて、石投げられたらどうしょう?とか思ってたんだよね、実は。それが、ヒュー君みていきなり拝み始めて…どうなってるの?


「ガ、ガゥ…」


「おお!神がお声をはしておりますぞ!そこの娘はこの方の従者か巫女ですかな?」


「私ですか?どっちかと言ったら…ご主人様?」


「無礼者!神に対して何たる無礼か!」


「え?だってヒュー君は私のパートナーだし!」


「小娘が!皆の者、この小娘を引っ捕らえろ!」


抵抗する訳にも行かず私は大人しく捕まった。だって傷とか付けれないじゃん?一般ピーポーに。はぁ…どうしよう?

日も落ちてきて大分暗くなってきたなー。村の人達はヒュー君を取り囲んでどんちゃん騒ぎしてるし…まぁヒュー君も神獣だから神様ってのは割かし合ってるのかな?私も出来るなら混ざりたい…


「おい、娘。食事だ、有難く食え。」


持ってこられたのはスカスカのパン?にまっずーいスープ…もうスープじゃなくて白湯だよこれ。美味しい物食べたい!よし!脱出しよう、訳分からないし、暗いし、冷たいし。


「うっふぅ~んお兄さぁん…あっはぁん」


「あ?なんだおめぇ?頭でも打ったんか?可哀想に…」


「ち、違うから!」


ちくしょう、私の色気が効かないだなんて!ちくしょう!ちっきしょーーーーー!…あらやだ、取り乱したわ。仕方ない。


「いたーい!いたいたい!お腹いたーい!」


「今度はなんだべ?ありゃ?!おめぇ大丈夫かぁ?!」


「だめー!むりー!お腹いたーい!出して!トイレ行かせて!」


「すかたねぇ、ほれでれ。」


私の色仕掛け…演技にかかればこんなもんよ、へへん。とりあえずヒュー君呼んでと思ったら…酒飲んで寝てるし…後でお仕置きだね。とにかく隠れなきゃ、お?あそこの家なんかいい感じだね。


「おじゃましまぁーす。」


忍び足ってのは難しいよね。すぐに見つかったよ。こんな時に隠蔽スキルある人が羨ましいとほんとにおもう。


「あ、あなた!牢屋に入れられてた…あ、逃げてきたの?」


「え?あ、うん、通報とかしないの?」


「え?して欲しいの?せっかく逃げてきたのに?」


「出来るならそっとしといてほしいかなぁ?」


「そっとしとけないよ、だってここ私の家だし。」


「だよねー、少しだけお世話になります。」


「私はミーナだよ。」


「私はキズナ、よろしくねミーちゃん」


「ミーちゃん…えへへ、よろしくキズナちゃん、でどうしてこんな村に来たの?」


私はミーちゃんにこれまでの経緯を話した。


「キズナちゃんすごいね!あのアクアモーラルの王様とお妃様と知り合いなんだ!いーなー!私友達なんていないから…それに…」


「何言ってんの?」


「なにって、私に友達がいないって…」


「いるじゃん?」


「いないよ!」


「私たちもう友達じゃない。」


「え?…あはは、うん、友達だね。」


彼女の目から涙が流れた、でも、その涙は悲しみの涙だった。


「私ね、もうすぐ死ぬの」


「へー、そうなんだ。ってなにいってるの?」


「生け贄?人柱っていうのかな?この村に昔から伝わる伝説なの。1度約束を破ったせいで村は滅ぼされて、名前を変えて復興したけど、あいつには通用しなかった…」


名前を変えて?滅ぼされて?それって…


「詳しく話すとね、昔この村の近くに巨大な羽根を生やした獅子の魔物、キメラが住み着いたの。村にいた村長がキメラと交渉した結果3年に1度若い娘を生け贄として差し出すという事だったんだって、ありきたりな昔話だよね。でもね当時はそうするしか出来なかったの、だって誰もアイツを倒せないんだから。そして今から二十何年か前に事件は起きたの。」


私は知っている…その事件を…私は…私は…


「当時村にいた娘は4歳のまだ小さな女の子だけ、キメラは怒り狂い村を、村人を…そして村は滅んだ。生き残った人立ちによって村は建て直されて、キメラはしばらく姿を見せなかったけど、数年後またキメラは村に来た。」


「…うん」


「他に移り住めばよかったのにね、でもねこの村の資源は山と鉱山によって支えられてるから…難しいんだよね。今は国王様が変わったって言っても村役場の役人達は自分の利益しか考えてないからキメラなんて放ったらかしだし、生け贄出しとけば暴れることも無いし。」


何も言えなかった、友達だなんて言って起きながら私はミーちゃんに何も言えなかった。


「今年が前回の生け贄から3年目。この村で決まった生け贄は私…せっかく出来た友達なのに…ごめんね。キズナちゃん。」


「させない、私が絶対!」


「ううん、いいの。パパもママもこの間鉱山事故で亡くなった、私はひとりぼっち。やっとこの辛さから抜け出せる。」


「違う!そんなの間違ってる!私が!」


「間違ってない!もう…悲しむのは十分…それでも私頑張って生きたよ。」


涙を流すミーちゃんを抱きしめて謝ることしか出来なかった。


「私が蒔いた種だから…私がケジメつけるよ。だからね、もう悲しまないで。」


「え?キズナちゃん?」


「この村の昔の名前はね八岐村、当時4歳だった女の子は…私…」


「え?!」


「怖かった、恐ろしかった…私には何も出来なかった…でも今は違う!だから私にまかせて!絶対に何とかするから!」


「うん、うん…」


その日はミーちゃんといろんな話をして一緒に眠りについた。朝起きた私はヒュー君の所に行くと手紙を二つ持たせてヒュー君を飛び立たせた。準備はこれで終わり、昼前になると村人達が私が逃げ出したと騒ぐが気にしない、堂々と村長の家に殴り込みってほんとに殴ってないからね。話をつけてきた。今は自由に村で過ごしてる。キメラの来る日まであと1日明日は決戦の日だ。と思ったら…お節介物達が早速登場。


「ちょとキズナ!あんた何してんの?!」


「キズナさん大丈夫ですか?」


心配してくれたんだねみさっちもショウ君も、でも大丈夫!やるって決めたから!


「僕もてつだいますよ」


「大丈夫、ありがとうショウ君、でも今回は私がやらないと意味ないの。だから見守っててみさっちとミーちゃんと。」


「ミーちゃん?だれそれ?キズナの友達?」


「は、初めまして王様とお妃様。ミーナと申します。」


「初めまして、ショウです。」


「初めまして、ミサーラです。ってキズナの友達でしょ?」


「そうだよみさっち?」


「なら私たちはもう友達だね。よろしくミーちゃん。」


「え?ええ!?そんな!恐れ多いです!」


「ミーちゃん大丈夫、みさっちは昔からこんなだから。」


「あはは、ミーちゃんさん気にしないで大丈夫ですよ。僕ら王様とお妃様って言っても形だけですから。」


「そう思ってるのは二人だけだけだがな。」


「ゼスト!いつの間に来たの!?」


「キズナのヒュドラが手紙持って暴れてたのがついさっきで、マリと一緒にゲートで飛んできたんだ、国民の一大事だからな。済まなかったなミーナ、あとはこいつらに任せとけ。」


気が付くとミーちゃんの笑顔が周りのみんなを巻き込んでいっぱいいっぱい広がっていた。いよいよ明日は決戦、こりゃ気合い入れるしかないよね。キメラなんてひき肉にしてあげる!




次回はキメラ退治、みんな集合しましたがどうなる事やら。

次回 後編(終わる予定)おたのしみください。

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