第41話 魂の呪い
少し時間が開きました、美沙もナタールも頑張っています。
ついに激突したショウと魔王、しかし実際は美沙とユカリの戦いが始まっていた。
「ちょとあんたいいかげんにしなよ!いい様に使われて恥ずかしくないの?」
「…駆除します」
「はぁ、そればっか…りっと!」
いつの間にか美沙がドラグヴァンディルを手に持ってユカリと激しい打ち合いをしている。
美沙は自分で作ったスキル、剣聖を使っていた。剣聖は剣スキルと剣術スキルで今存在するスキル全てを体現出来るスキルである。だが、剣聖を使用している美沙に劣ることなく打ち合いをしているユカリもまた剣聖と同じようなスキルをもっていた。
「なかなかやるし、でも私だって負けないもん!」
「…」
喋る暇がないのか、喋る気がないのか、ユカリは黙って美沙と打ち合いをしている、互角と言いたいが美沙のズルすぎるスキルによってユカリは徐々に押され始めている。既存のスキルしか持っていないユカリに対し自分で好き勝手にスキルを使える美沙はちょこちょこスキルに色んなものをプラスし、今や剣聖は剣王に変わっている。剣王スキルは剣聖スキルのは全て×2にするものである。剣のスピード、剣圧、スキルの破壊力等など、きたないスキルである。
「くっ…」
「そろそろ降参したら?」
「排除します。」
「だーかーらー!」
次の瞬間、美沙がドラグヴァンディルでユカリの剣を弾き飛ばし、ユカリが地べたに座った所で美沙の剣が喉に当たらない程度で突きつけられた。
「ミサの勝ちだ!」
ショウが叫ぶ、ディアトが不敵に笑う。
「ふははは、見せ場はこれからだなぁ?ユカリよ?」
ディアトがそう言うとユカリは美沙の剣を片手で掴み一瞬笑った様な表情でぬらりと立ち上がった。
「な、何してんの?!手が切れちゃうじゃん!」
刃物は引かなければ切れないもの、美沙は突然の事ですっかり忘れているが…それでも間違って美沙が剣を引けばか弱い人間の手など一瞬で断ち切れる。しかしユカリは剣を離さない、むしろ通常なら指が切れてもおかしくない位の力を込めたのである。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
呻きとも叫びとも取れる声で美沙ごと剣を投げ飛ばし、ぬらりと立ち上がると、ユカリの体からどす黒い瘴気のようなモヤが立ち上がる。美沙はユカリによって壁に凹みが出来るぐらいの力で吹き飛ばされたが、すっと立ち上がり異様な雰囲気になったユカリをじっと見据えている。
「あんたそれ…」
「グッガガガ…クジョ…スル」
「自分の力じゃないわね…洗脳?違う…魂の呪い…うん、間違いない。」
美沙は確信してディアトを見る。
「よく分かったな、褒めてやろう。」
「あんたに褒められても嬉しくないんですけど。ってかあんたあの子になんて事したのよ!」
「なに、あいつがここに来た時に絶望していたから魂を縛って器だけ使ってやってる、それでも弱くて話にならないがお前達程度には十分だろう。」
「笑えない冗談ね、あんた本当に許さないから!」
「よそ見していていいのか?ほら来るぞ?」
ディアトが言った瞬間に美沙はユカリを見直す、するとユカリがいた場所からユカリが刹那の速さで姿を消す。残っていたのはユカリが発する黒い瘴気だけ、次の瞬間ユカリは美沙の真後ろで手に持った剣を振り上げていた。ユカリの気配を察知した美沙は振り下ろされた剣を頭の上で防ぎ直ぐにその場を移動する。自分が移動した場所から元いた場所を睨むがユカリの姿は既にそこには居なく、美沙の死角の右後ろからなぎ払いの姿勢をとっていた。
「ちょ!な!いきなりそんなの反則じゃない!」
ユカリは反応しない、能面の様な顔でただただ美沙を殺すため行動をとる、美沙も相手が相手なだけに手を出せず困っていると、気配を消して動く影を見つける。ナタールだ、隙をついて何かを狙って動いている、聡子バリの隠密でショウもディアトもユカリもナタールに気がついていない。美沙はナタールの意志を感じ取り激しい戦いの中でユカリを拘束するか、動きを一瞬でもいいから止めようと試みた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
ユカリが叫び美沙に激しい突きを五発打ち込む、五弾突きとでも言うのだろうか?全てが同時に打たれた様に見える。美沙は突き込まれた瞬間に同時に出された様に見える突きを全て弾く、そしてバランスを崩したユカリを足払いで床に倒すと、拘束系光魔法のアークバインドを自分ごと発動させた。その隙を見逃さずナタールがユカリに浄化魔法のソウルリフレクトを発動する。
ソウルリフレクトは相手の呪い等の類をアストラル体と肉体に浄化をかける魔法である。ナタールは知っていた、いや、ナタールがユカリを人形化させた本人だからだ。
「ごめんなさい…」
ナタールは呟いていた、自分でも声に出したわけでも無いのに口から盛れていた。
浄化が終わり美沙に目で合図を送ると美沙とナタールはユカリから離れる、浄化の光がユカリの体の中に吸い込まれ、ユカリが意識を取り戻した、が。
「いやぁぁぁぁ!」
ユカリが今までにないくら位に叫び声をあげた。
「やめて!もういや!私に近寄らないで!」
無表情だった顔も苦痛に歪み、機械のような会話だった時より苦しそうな叫び声で剣を振り回す。美沙もナタールもびっくりしてユカリを凝視している。
「馬鹿なヤツよ、お前が居ない間に何もしていないと思ったか?するに決まっているだろう?なぁ?ユカリよ、奴らを殺せ!」
「いやぁぁぁぁ!私に命令しないで!もう人殺しなんて嫌!誰か私をころしてよぉぉ!」
ディアトの命令でユカリは立ち上がり美沙に剣を向ける。自分の意識ではないのだろう、言っていることと行動が違いすぎていた。
「ちょあんた!意識戻ったな自分で何とかしなさいよ!」
「駄目ですミサ様、彼女の意識はまだ完全に戻っていません、ディアトがより強力な呪いを使っているんだと思います!」
「んもー!何なのあいつ!マジ許せない!」
美沙もユカリに剣を向けるが、今のユカリを見ているのは美沙にとって悲しいものでもあった。
「やめて!私はもう殺したくない!いや!お願い!誰でもいいから私を止めて!」
美沙に向かって剣を振りながら苦悶の表情で、声を枯らせて叫ぶユカリ、美沙はユカリの願いを叶えようとしていた。
今後ともよろしくお願いしま!




