第23話 美沙の思い、マリの思い
ショウと鬼の戦いが終わり、ダンジョンの最深部に何もないことを確認した美沙一行はダンジョン出口直ぐの所に野営のためのテントを張った。その中になぜかショウと戦った鬼の姿があった。
「うふふ、外の世界なんて初めてでなかなか面白いわね。」
「そうだよね~・・・ってなんで平然といるの!?」
「みさっちといったかしら?少し落ち着きなさい。」
「そうだよ、ミサ。少し落ち着いて。」
「だって!さっきまであんなに敵意剥き出しだったじゃん!危ないじゃん!」
「だいじょぶよ、みさっち。やる気になればここに来る前にやってるだろうし。」
「そうですねぇ・・・ショウさんと戦ってからなぜか一切そんな気にならないのです。」
鬼は戦闘時とうって変わって大人しく頬をポリポリとかいていた。
「そんなことよりお前ら、野営の準備が終わったんだから火を焚いて飯にするぞ。」
「あ、ごめんゼスト、今いくね。」
ゼストとマリのやり取りを感じみんながひそひそと話し始めた。
「やっぱりマリとなんか会ったよね。」
「間違いないのじゃ。」
「これはゼスト様をもう一度簀巻きにしないとだめですね。」
「今までと全然違うしね。」
「そっとしといてあげたほうが・・・」
「何言ってんのショウ?こんな面白いこと見逃すのはもったいないよ?」
「ちょ、みさ!まぁ・・・気にならないことないですけど・・・」
その夜、リナがマリを誘って街に買い物に行っている間にゼストを締め上げよう作戦が決行された。
「マリ、マリ!もっといい肉が食べたいのじゃ!」
「えぇ!?文句言わないでこれ食べなさい。」
「いやなのじゃ!もっと柔らかくってジューシーな肉がいいのじゃ!」
「じゃあさ、マリとリナで町まで行って買ってきなよ!」
「何言ってんのみさっち!」
「あ、ついでにポーションも買ってきてもらえると助かります。」
「ショウまで!ポーションなら買い置きがあるでしょ!?」
「それが、ダンジョン内でのどが渇いていたのでみんな水代わりに・・・」
「あきれた・・・わかったわよ!」
「やった~のじゃ!これでおいしい肉が食べられるのじゃ~!」
こうしてリナとマリは町に向勝ったのであった。
「さて・・・ゼスト?」
「なんだ?みさっち?俺の分もほしいのか?」
「違うよ!なんかあったでしょ!?マリと!」
「え?い・・・いや?なんもないぞ?」
「ゼスト様、大概の人間は何かあった時何もないというものなんですよ?」
「なに!?そうなのか!?」
「・・・ゼストさん、わかりやすすぎです」
「ショウまで何を言うか!」
「まぁゼストだし。」
「フィア!それはひどくないか!?仮にも人間側の王だぞ!?」
結局ゼストはアカネの素早い動きで拘束され、あっけなくも簀巻きの王様に瞬時にされたのである。
「お前ら!ほどけ!おろせ!いつもいつも何しやがる!」
「ふむ、人間とは面白いことをするもんなのですね。」
「てめぇ鬼!のうのうと眺めてんじゃねぇ!」
「で?ゼスト君?君はうちのマリとどういった関係なのかな?」
「変な付け髭つけて何言ってやがるみさっち!」
「話をそらすなんておとこらしくないとおもわんのかね!?」
「くっそ!その変なキャラクターを押し通すつもりか!言わないぞ!俺は何も知らん!」
「ゼスト様?早くしゃべらないとリナ様もマリも戻ってきますよ?そんな姿見られていいんですか?」
「アカネてめー!城に帰ったら覚えてやがれ!」
「・・・・・」
「おい、ショウ?あわれむな、そんな顔するなら俺を解放しろ!」
「いい加減答えたほうがいいんじゃ何のかね?ゼスト君、うちのマリと君はどういった・・・あ。」
美沙の後ろに突如として巨大な魔力が湧き上がる。魔王にも匹敵しそうな巨大な魔力、ゼスト以外の全員が瞬時に戦闘態勢に入る。
「あ~ん~た~た~ちぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
魔力の正体は当然ながらマリである。
「ちょ!リナ!あんたなんで戻ってきたのよ!」
「そ、それはその・・・なのじゃ。」
ササッと近くにあった木の陰に身をひそめ顔だけ出すリナ、そんなことおか前なしのマリが無詠唱でアジ・ダハーカを呼び出していた。
「ちょ!マリちがうの!それしまって!まじごめん!」
「何が違うのか説明してくれるかしら?ミサーラ?」にっこり
「ま、マリさん、僕も謝りますから!すみませんでした!」
「ショウ?あなたも何かしたわけね?」にっこり
色々とドツボにはまるみんなをみてマリは反省しろと言わんばかりにアジ・ダハーカを解き放つ。
勿論みなが死なない程度の威力にはしているがそれでも相当な威力を込めてはなっているのである。
「で?結局何をしようとしてゼストは簀巻きにされたの?そして私はなぜあんなアホみたいな買い物を頼まれたのかしら?」
ゼスト・アカネ・リナ・鬼そしてマリを残し美沙・ショウ・フィアは黒こげになりプスプスと煙を頭から出しながら正座していた。
「いえ、それがその・・・」
「歯切れが悪いわね、もう一度食らいたいの?ショウ?」
「マリが悪いんだよ!」
「は?なんで私が悪くなるのよミサッチ!」
「なにもはなしてくれないからでしょ!?ダンジョンの途中から今までと違う雰囲気だったじゃない!」
「それは・・・」
「そうやっていつもはぐらかす!あんた私のこと分析するくせに自分の分析できないじゃん!」
「分析って!したことないわよ!」
「してるの知ってるよ!わたしの生い立ちだって私のことだってすべて分析しようとしてたじゃない!」
「それは・・・し、してないわよ!」
「それなのに何?17年も一緒にいてそれでもまだ心を閉ざすの?知ってるよ私!」
「やめて!」
「やめない!いつも思ってた!わたしたち家族で何かをする時の笑ってるくせにずっと悲しんでたマリをどうしたら楽しませられるか。」
「やめなさい!」
「いつの日か私に心を開いてくれる時が来るって!ずっと思ってた!」
「・・・」
「やっと心の底から見れた笑顔は私ではなくってゼストに向けられていた!この気持ちどうしたらいいかわからないよ!ねぇ!おねえちゃん!」
ぎゅ・・・
マリは涙を流しながら美沙を抱きしめていた。
その姿を全員がだまって見守り、数時間とも思える時間が数分過ぎたときにマリが静かに話し始めた。
「ミサーラ・・・ごめんね・・・」
「ううん・・・」
「みんなにも聞いてもらいたいことがあるの、いいわよね?ゼスト。」
「まぁ・・・話しておいた方がいいだろうな。」
「私には、とても深い過去がある。誰にも話した事の無い、話したくない過去が。それはミサーラも知らない話、いつか話そうと思っているけど今はまだ話せない話なの。」
「そんな!なんで・・・」
「ごめんなさい、でもね、私自身でけりを付けなければいけない事なの。でも私はその話をゼストに話すことにしたの。」
「え?!」
「なぜ話したかというと、私はこの国ができ始めたころに王族の娘として生まれてしまったから。ゼストにも少し関係してしまうことだから話したの、それ以外も少しあるんだけど。」
「マリ・・・」
「そしてこれは私とゼストで決めたことがあるの、ゼストが私を守り私がゼストを守り抜く、どんなことがあっても・・・そういうことよ。」
「そっか。マリさんゼストさんおめでとうございます。」
「「ありがと、ショウ」」
「なんで・・・もっと早くいってよ・・・!」
「ごめんなさいミサーラ、あなたの笑顔を奪いたくなかったのよ。」
「うん・・・今はそれで納得してあげる!マリ泣かせたら承知しないんだからねゼスト!」
「わかった、今ここでお前たち全員に誓う。」
「ふ~、丸く収まってよかったのじゃ~一時はどうなるかと心配したのじゃ。」
何事もなかったかのように出たこの一言がリナの運命とゼストの運命を変えたのである。
「何言ってるのリナ?これから起こるのよ?ゼストも。」
「は?!何言ってるんだお前?俺何もしてないじゃないか!」
「だってこれからマリを守っていくんでしょ?」
「当たり前だ!」
「ならばゼスト様もならなければならいですね。」
「アカネまで何を言っている!?」
「あれはきっついよ~ゼスト。覚悟した方がいいよ。」
「フィア?何を言ってるんだ?何のことだ!?」
美沙の指輪が光、アクアモーラルの水中城へと連れ去られたのである。
結果、ゼストはなんだかんだと人知を超えることもでき、マリと同等不老不死の体を手に入れたのであった。
「お前らこの試練ひどすぎ・・・死んだら化けて出てやるからな。」
「あら、私がゼストを死なせるわけないでしょ?」
「あは、あはははは・・・」
こうしてマリは本来のかわいらしい少女の笑顔を取り戻したのであった。
「ねぇリナ?」
「なんなのじゃ?みさっち?」
「なんで急に戻る気になったの?マリ連れて行ってってお願いしたのに。」
「え?いや、その・・・それはなのじゃ」
「おしえなさいよ!」
「リナがたくらみ話したら最高級肉をたくさん買ってくれるって約束したのじゃ!」
「こんの!バカドラゴン!」
なんだかんだあって一段落。
「なんか私おいてかれてるんだけど・・・」
蚊帳の外の鬼がうっすらと涙を浮かべてはしゃぐみんなを眺めるのであった。
大分時間が開いてしまいました。本当に申し訳ありません。
なんせ、モンハンにPSO2に色々とやっていましてw
此方もがんばって書いていきます。
よろしくお願いいたします。




