第19話 第3787278回青空ほのぼの会議~!!
ダンジョンに行かせるつもりがなかったわけではないのです!
ダンジョンの構想も考えていたんです!
・・・・ご、ごめんなさい。
どこかの異世界の魔王を倒したショウたちは、事の顛末をまとめるべく一時的に休憩と称して、会議を行っていた。
「第3787278回青空ほのぼの会議~!!」
美沙が渾身のボケを発するが、全員スルーでしてしまったのがいけなかった。
「もう知りません!わたしはこんなダンジョンはいらないもん!」
「ほらほら、ね、ミサ。機嫌直して、ね?ね?」
「ショウのバカ!いつもなら爽快な突っ込みいれてくれるのに!恥ずかしかったし!滑ったし!」
「いやいやいや、なんというか、その、片手を上にあげて思いっきり叫んでるミサがかわいくて突っ込みを忘れていました。」
「やだ・・・もう・・・バカ。」
そんないちゃいちゃしている二人にゼストがどこから出したかわからないハリセンで豪快に二人に突っ込んだ。
「っていうか、お前らが結ばれたとかはどうでもいいんだよ!せっかくお前らがダンジョンに挑むときに隠れて手助けをするという俺の楽しみが台無しになったじゃねぇか!」
「ゼスト様、今はそのことよりも先ほどの魔王のことの方が・・・」
「あぁ、確かに、アカネの言うとおりだな。さっきの化け物はいったいなんなんだ?」
「あら、聞いてたんじゃないの?尻敷かれ王?」
「あぁ?そんな名前で呼ぶな深淵卿、一応聞いてたがな。異世界の魔王だということも。」
「確かになんでかね?私も知りたいと思ってたんだよね。パパ以外に魔王がいるなんて聞いたことないし。」
「そりゃそうでしょ、あんな化け物そう何人も現れたらみが持たないよ。ショウの。」
「っちょ、フィアさん?毎回僕だけで戦わせるつもりですか?!」
「大丈夫なのじゃ、ショウたんには私がついてるのじゃ。」
「は?何ちゃっかり彼女面視点だこのトカゲ?ショウは私のものだし。」
「はいはい、二人ともありがと。それよりも今後あんなことが起こる可能性があるかどうかを確認したほうがいいんじゃ?」
「ん~そうだね、じゃあ一回だけ家に戻ろうか?パパとママなら何か知ってるはずだし。」
「「「「はい?!」」」」
そんなことありなの?という全員の意見を無視して美沙はゲート召喚を使い魔王城の自分の部屋にゲートを召喚したのである。
「これってさ・・・反則だよな?」
「ゼ、ゼスト様、とりあえずここは一国の主として慎重に。」
「ちょ、アカネ、目が血走ってるし剣を鞘に納めてよ!パパもママも無害だから。」
落ち着いているマリ、ショウ、リナに比べ、フィア、ゼスト、アカネは今にも暴れだしそうな位の勢いで全員が、武器を鞘から抜いている。もちろんここは魔王城、本来の目的打倒魔王の本丸にいきなり放り込まれたものなのである。
そんな騒ぎを聞きつけて遠くの方から誰かが走ってくる足音が聞こえた。
「うるせーぞ!誰だ娘のいない間に娘の寝室に入り込む愚か者は!そんなことしていいのは父親である俺だけしか許されないんだぞ!」
わけのわからないことを叫びながら一人の人物が現れた。美沙の部屋を娘の部屋と呼ぶこの人こそ魔王であった。
「ちょ、パパ。そこに正座。」
「み、ミサーラたん。」
「うるさい、正座。」
「はい。」
娘のいない間に娘の部屋に入ってやりたい放題やっていた父親を振るボッコする娘。これは見てはいけないものだろうと、全員目をそらし別のところを見ているともうひとり部屋に入る人影があった。
「あらあら、みなさんはミサーラのお友達かしら?ようこそおいでくださいました。ゆっくりしていってね。」
父親と違い気品あふれるこの人こそ魔王の妻にして美沙の母親である。
「初めまして、私はエミーラ。ミサーラの母親でございます。」
丁寧なあいさつに、全員がしっかりとした挨拶を返し。後ろでフルボッコにされた父親がよろよろとエミーラのそばに近寄ってくる。
「み、皆さんよくおいでくださいました。私が現魔王城の主でミサーラの父親のミッドガルドだ以後よろしくしてくれ、人間の王ゼストラーデ殿。」
「お、おれのことを知っているのか?」
「もちろん知っている。そこの真の勇者ショウ(殺す)のこともな。」
「なんで僕だけ行き成り(殺す)がついてるんですか?!」
「そんなの決まってるだろ!俺のかわいいかわいいミサーラと!」
「ちょ!なんでその事パパが知ってるの!?」
「やべ!」
この後の惨劇は見たものみんながのちに語っていた。
もう魔王は倒されたのではないか?と。
「あなた、ふざけてないでちゃんとしてください。」
「ふざけても何もこんな短時間に娘に2回も虫の息にされてるんだぞ!」
「とりあえず皆様、ここではなんですので。応接間にお移りください。」
エミーラの案内で全員が応接間に移動する、場内は細かい細工をされた見事な柱が何本も立っていたり。見るからに国宝級じゃないか?と思われる壺や絵画がずらりと並んだ廊下、足元はふっかふっかのじゅうたんでゼストの王城でもここまでのものは使っていないほど高級なものだとすぐにわかった。
「このような形で、いきなり押しかけてしまい誠に申し訳ないと思っている。もうご存知ではあると思うが私が人間側の王、ゼストラーデ・フォン・バースティアだ、以後良しなに。」
「で?人間の王様が、うちの娘と勇者(絶対に殺す)をつれて何の用だ?戦争でもする気か?」
「パパ!いきなりなんてこというの?!」
「ミサーラは少し黙っていなさい。で、どういうつもりだ?ゼストラーデ殿?」
「正直にお話しましょう。実は・・・」
「実は?」
「いきなりこのような所に連れてこられて私も困ってしまっている状態です。先日初めてミサ、いえ、ミサーラ様の素性をお聞きしまして、びっくりしているところにまさか魔王殿本人にこんな形でお会いすることになるとは、困った以外何もないのですよ、こちらは。」
「ふむ、そうであったか。」
「時に魔王殿?少しお尋ねしたいことがあるのだがよろしいだろうか?」
「申してみよ。」
「お聞き入れありがたく思う。魔王殿は人間界に対して侵略や略奪などそういったことをこれからするつもりはあるのか聞いてみたいと思っていた。世界征服ということをして、人間に敵対することはどうなのだろうか?」
「・・・そうだなぁ、それも面白いかもしれんなぁ。世界征服か・・・フハハハ。」
「クッ!なんて魔力だ・・・」
「なんてな、下らん。そんなことしてなんになる?」
「いやしかし、現在も魔王軍と呼ばれる軍勢が町を襲ったり・・・」
「それは、人間側も同じではないか?」
「どういうことだ?」
「魔族が居れば退治して、魔族の村を問答無用に襲う。お前の言う侵略や略奪だ、違うか?」
「そういわれると、確かにそうだ。」
「俺は、きれいな妻がいて、元気でかわいい娘がいて、町が平和ならそれで十分だ。人間の住む場所を奪ってまで、戦争してまで領地を拡大して何になる?お前も人の親になればわかるはずだ。」
「そのような考えをお持ちであったのですか魔王殿。私はあなたのことを大分誤解していたようだ。ここで謝罪させていただきたいと思う。そしてできれば停戦協定ののち国交を結びたいと思うのだが、いかがだろうか?」
「構わん、といいたいところだがすぐには難しいだろう。時期が来たらそういうこともできると思うぞ?」
「その時期とは?」
「魔王の娘と人間の勇者が本当の意味で祝福され結ばれる時だな。だが俺の目の黒いうちはそんなことは許さん。というわけだ勇者よ、娘がほしければ俺をぶっ飛ばせるぐらいに強くなれ。あんな異界の生まれたてのゴミ屑魔王にてこずってるようでは全然だめだがな。」
「はい!心していどませていただきます!」
ショウの気合の入った返事で一度会議がお開きになった。
ここからはの目や歌えやのどんちゃん騒ぎで夜中までバカ騒ぎが続いた。
「ショウさん少しよろしいかしら?」
「エミーラさま、はい、大丈夫です。」
二人はテラスに出るとさわやかな風に包まれ、エミーラが静かに話を始めた。
「あの子は、ちょと特別でしてね私たち夫婦の特徴を余すと来なく受け継いで生まれてしまいました。私の力も、ミッドガルドの力もすべて。それが悪いとは言いませんが、もしかしたら暴走をしてしまう可能性があることをあなたには知っておいてもらいたいのです。私たちはいろんな魔物や魔族からあなたたちの行動をお聞きしています、先日の異界の名も無き魔王の件もです。この世界にはあのような異界の魔王があと8人ほど封印されています、勇者の使命を持ってしまったあなたは残りの8人とも縁が強まっています。今後この者のたちとも戦わなければならないのはあなたの運命とでも言いましょう。しかしそこであなたが倒れてしまうと、あの子は確実に暴走してこの世界を破滅に向かわせることでしょう。」
「そ、そんなん強い力を持っているのですかミサは。」
エミーラはコクンと一度だけ頷く。
「あなたにはつらいことだと思います。全戦事なきを得ればよいのですが、あなたが倒れ、死すときこの世界はあなたが最も愛する者に壊されることになるのですから。だからと言って希望は捨てないでくださいね。私からあるスキルをあなたに託させていただきます。このスキルは本当に必要になった時にだけあなたの願いを一度だけ叶えるスキル。できれば使われないことを願いますが。」
ショウはエミーラの瞳をまっすぐ見つめていた。
「あなたとミサーラの未来に明るい未来を作ってくださいね、私も陰ながら応援致しますので。頑張りなさい男の子。」
女神のような微笑みでエミーラはショウを見つめこの先の未来を全てあなたに託しますと、言葉ではなく心で語っていたことをショウは悟った。自分には魔物や魔族の未来も人間の未来もすべてが託されたのだと、
とてつもなく重く、大切なものであり、絶対に成し遂げなくてはいけないものであるとショウはエミーラの笑顔に誓うのであった。
次回は必ずダンジョンに!!




