第11話 ゼストラーデ・フォン・バスティーア
なんだかんだと書いていたらいつもより長くなってしまいましたね。まぁ本当はもう少し書く予定でしたが・・・とりあえず今回も楽しんでいただけたらと思っています。
水の都アクアモーラルを出て美沙たちは次の街を目指し街道を歩いていた。今回はリナの背中で行くよりも、道が整地してあるためゆっくりと歩いていこうとみんなで話し合ったのである。取り敢えずではあるが前回ミッチェルから教わった恩恵を剣で試してみることにしてみようということになった。
「じゃあ、僕からやってみますね。」
ショウがエクスカリバーを取り出し頭の中で念じてみる。
『ほう、この我と話すことができるものがこの世に現れるとは。いいだろう、お主をわが主と認めてやろう。』
「あ、ありがとうございます。」
「ショウ君どうしたの!?いきなりお礼なんて言って!頭おかしくなったの!?」
「みさっち、あんた話聞いてなかったでしょ?ショウがエクスカリバーとの対話に成功したんだよ。」
「あ、そっか~、そういえば今そんな話ししていたもんね~。」
「みさっちはクーたんと戯れすぎなのじゃ、だから話を聞いておらんのじゃ。」
「だって~、クーちゃんちょ~かわいいんだもん!」
「キュイキュィ~♪」
クーを撫でまわしながら美沙が頬ずりしたり、両手で抱きかかえてクルクル回ったりしている。そんな中ショウがバリサルダとの対話に集中していた。
『あら?あなたが私の新しいご主人様?ん~・・・しょうがないわね、お姉さんが遊んであ・げ・る。』
「はい!よろしくおねがいします!」
「ちょっとショウ君!いきなりおおきなこえださないでよ!ビックるするじゃない!」
「み、みふぁひぃふぁん、らからといっていきなりなうるのはらめれるよ。」
(み、みさっちさん、だからと言っていきなり殴るのはだめですよ。)
どうやらショウは美沙に思いっきり殴られたらしい。
ショウは剣一つ一つの性格も違うんだなーと考えているが顔がはれている。痛々しい顔をリナがそっとなでると回復魔法で元の状態に治る。美沙もマリもリナも自分の武器を取り出して同じように対話を始める。
「っざっけんな!杖の分際で何命令してやがる!燃やすぞ!」
マリがいきなり吼え始めた。よほど性格の悪い杖なんだとショウは呆れる。
「は?なんでパンツ見せなきゃいけないの?へし折るよ?あ゛ぁ゛?!黙って恩恵だけよこせや!」
時々みさっちさんの背中に般若のような仮面があるような気がするんです、もちろん気のせいですけどねハハハ。とショウは後日語っていた。
「ふむ、よい子たちなのじゃ、今後とも頼むのじゃ。」
リナは意外とまともなのでは?とここ最近の行動でショウは思っている。
全員が自分の武器から何かしらの恩恵を受けとりひとまずは皆落ち着いた。その後、街道を四人と一匹でテクテク歩きながら町に向かって歩いていると、マリが受けた恩恵の一つ先読みでこの通りの先に一軒の休憩所をみつけた、美沙たちはそこに立ち寄ることにした。
「あ~結構歩いたね~!こんなに歩いたの久しぶりかも!しっかしマリの先読みは便利だね!」
「先読みってこういう使い方しかできないの?!普通は敵の攻撃の先読みとかじゃないの!?自分の先に何があるとかって先読みじゃないじゃん!」
「まぁまぁ、まだ戦闘してないんですしこれからそういった場面で効果が発揮されるんじゃないですかね?」
「まぁ、それだったらいいんだけどさ・・・」
「と、とにかくあそこで一休みしようよ~!わたしおなかペコペコ~!」
「私もおなかがすいたのじゃ、早く行くのじゃ!」
そういって四人は休憩所に立ち寄った。
休憩所は入口に腰ぐらいの両開き扉がついている、西部劇などに出てくる酒場の入り口と思っていただいてもらっていい。カランカランと音を立てて中に入るとカウンターと4席のテーブルのある小さな店であった。お客は2組、店の一番奥のテーブルに3人組のパーティー、カウンターに2人組の男女が1組が座っていた。店主は熟年女性で、入ってきた美沙たちをみて座るテーブルを案内した。
「ねぇねぇ、なんかさびれてる感じ?」
「ちょ!みさっちさん!失礼ですよ!」
「まぁ~確かに繁盛はしてなさそうだね。」
「マリさんもそういうこと言わないでください!」
「でも、お店の奥からはとても良い匂いが漂っているのじゃ。」
「リナは食いしん坊だけど、その鼻は思いっきり信用できるからね~!マリ、いっぱい食べちゃおうね!」
そんな話をしていると店の奥の方から若い女性がやってくる、銀髪で耳が長い、そう、エルフだ。
この世界のエルフは非戦闘種族でこういった店で出稼ぎをしたり、中立の立場をまもりどの国にも属さず森から出ないで一生を過ごすものがいたりと、結構閉鎖的な生活を送っている。
「お客さんたちさーさっきから聞いてたらちょっと失礼じゃない?お姉さん怒っちゃうよ?つまみ出しちゃうよ?」
「す、すみません!初めて立ち寄ったもので、あとでよく僕が言い聞かせますので!」
「な~んてね、冗談だよ!ようこそ、星の箱亭へ!ゆっくりしていってね!」
「ご、ごめんなさい、嘘がつけないたちで(笑)」
「ちょ!みさっちさん!」
「へ~いい度胸してるじゃない!気に入ったよ、ママ!この子たちにあれだして!あれ!」
エルフのお姉ちゃんは奥にいる女将さん的な人になにか指示を出している。
「ところであんたたちどっから来たの?もしかしてアクアモーラル?」
「そうよ、今日朝からずっと歩いてここまで来たんだから。おなかペコペコ。」
そういってマリがおなかの所に手を持っていく。
「そっかー、あんたたちがおねぇの言ってたみさっち一行だね!とーってもおいしいごはんたべさせてあげるから!」
「ほぇ?おねぇ?だれそれ?ショウ君わかる?」
「いえ、この旅でエルフの方にはまだあったことがないですよ?マリさんわかります?」
「あたしが知るわけないじゃない、ってかリナだったら匂いでわかるんじゃないの?」
「さっきからサーチしているのじゃ、たしか・・・シェリーだったか、彼女と似たようなよい匂いがするのじゃ。」
「あら、よくわかったわね。あんたたちのことはお姉からきいてるよ。」
「「「「コンシェルジュ最強伝説再び!」」」」
「ってことだから、ゆっくりくつろいで行ってね。あと、水中ダンジョンの話聞かせてよ、私すごっく興味あるんだ!ほんとは自分で行きたいけど、エルフは非戦闘種族だから戦うこと苦手だし。」
「エルフのおねーさんもコンシェルジュなんでしょ?」
「そうよ?アクアモーラルにいたけどあそこつまんなくってこっちに移動してきたの、おねぇには散々ブウブウ言われたけど、あたしこんな性格だし、こっちの方が性に合ってるんだよね。」
「ふーん、で、私たちのこと話せばいいの?」
「是非教えて!教えてくれたらここの食事代只にしてあげる!」
「ほんと?!話す話す!いいよねみんな!」
「やったー!ありがとう!わたしの名前はフィアよ、よろしくね!」
美沙たちは同じ席に着いたフィアに今まであった出来事を一から話し始めた。
それを見ていた二組のパーティーがちらちら見てくるが美沙もフィアもそんな気にせず時にはみんなで大笑いしたり、フィアがドキドキした目で美沙やショウを交互に見たり、実はつれているクーがエンシェントクリスタルドラゴンだと知って気絶したり、リナの正体が神獣ワイグラーノとしって感激したり。大忙しだったのである。おかみさんはフィアのことを娘のような目で見ており楽しそうにしているフィアを見て微笑みながらどんどん料理が運ばれてくる。ボアビート《豚》の丸焼きやらハニー蝙蝠《食用》のムニエルなどなどこの世界の名物と呼ばれる料理が運ばれてくる、さっきまで静かだった休憩所は瞬く間に宴会場になった。その時3人組のパーティーが近寄ってきてフィアに話しかけた。
「フィア!なんで僕たちの話なんかは聞いてくれないのに彼女たちと仲良くしてるんだ!」
嫉妬である。このパーティーはフィアが目当てで、毎日ここに通っているがフィアにまったく相手にされていない、それなのにぽっと出の美沙たちと仲良くするフィアが許せなかったのだ。
「またなの?私が誰と仲良く使用がかんけいないし、あなたたちが彼女たちぐらいの冒険をしているとは到底思えないの。」
「そんなことはないと思うよ!だって彼女たちは女の子ばっかりのパーティーじゃないか!」
「もーうるさいなー、今いいところなんだから後でにしてよ。」
「なんだと!僕たちの誘いをいつも断ってるのに!」
そんなことを言いながら三人組のリーダーと思われる男がフィアの方をぐいっと引っ張る。
「きゃ!なにするのよ!はなして!」
「君にふさわしいのは僕たちのパーティーだ!こっちにくるんだフィア!僕たちがいろんなところに連れて行ってあげるよ!」
このリーダーもいつかノアの勇者モドキと同じような頭の作りになっているようだ。フィアが腕をつかまれて連れて行かれそうになったときに、その行為を止めたものがいた、もちろん我らがショウ!っとおもいきや、カウンターに座っていた男が勘違いリーダーに声をかけた。
「おいおいおいおい、その辺にしとけよ?フィアが嫌がってるだろ?」
「なんだおまえ!僕たちはこれからフィアを水中ダンジョンに連れて行ってあげるんだ!邪魔しないでくれ。」
「嫌がる女性を無理やりってのは感心しないぜ?仮にもお前はそのパーティーのリーダーだろ?」
「そうだ!あんな水中ダンジョン僕たちが潜ればすぐに攻略できるさ!」
「あんたたちもこんなリーダーで大変だな。知らないのか?あの水中ダンジョンには魔王がいて未だにだれもクリアできず難攻不落と言われているんだ、しかも水中にあるから入ることもできない、そんなダンジョンにお前さんみたいなのが行けるとは思えないがな?」
「なんなんだお前は!やってみなきゃわからないだろ!表に出ろ!一対一で勝負だ!」
「いいだろう・・・」
何故かフィアの取り合いというより男の意地の張り合いになり始めわけわからない方向に向かう流れになっていた。
「僕の職業は勇者!お前みたいなやつすぐにたおしてやるさ!」
「そうか、俺の名前はゼストラーデ、ゼストって呼んでくれ。」
「ちょっとあんたたち!やめなさいよ!うちの店の前でそんなことしないで!」
さすが商売人のフィア、自分のことよりもお店が大事!と叫び始めた。
「ちょっとショウ君、あれ何とかしてあげれば?」
「え?僕がですか?・・・そうですね、フィアさんにはおいしご飯ごちそうになりましたし。」
そういってショウが二人の間に立ち剣を収めるように指示をする。それを見て美沙、マリ、リナがやっちまえショウ!などと叫んでいるが気にしない。ショウは動かない。
「なんだお前!やっぱり僕にフィアを取られるのが嫌なんだえろ!」
「え?いや、そういうわけでは・・・」
「おいおい、覚悟もないのに俺の前に立つなよ!」
「か、覚悟と言われましても・・・」
「だったらこの三人で勝った人間がフィアをつれていく権利をかけよう!じゃないか!」
「「「「女将さん!?」」」」
突然の女将さんの乱入に一同がびっくりする、ハラハラしながら見守るフィア。どうせ勝つのはショウに決まってると決め込み食事をする三人と一匹。勝負は一瞬、女将さんの鍋が鳴る!
カァァァァァ~~~~~~~~~~~~~~~ン!!!!
合図とともに勇者(勘違い野郎)とゼストがショウに向かって剣を構えて突進してくる、ここは勿論スキルの勝負になる。
「僕のスキルをくらえ!バーストソード(ただの突進突き)!」
「おぉぉぉぉ!オーラバースト(無性に体が輝く目くらましの斬撃)!」
「・・・はぁ。」
ショウに剣がぶつかる瞬間ショウの斬撃が二人の剣を弾き飛ばす。
「な!なんだと!?」
「そ!そんなまさか!僕の勇者の剣だぞ!」
「はいはい、終了だね、勝ったのはそこのお兄さんだ。」
「いやぁ・・・」
信じられないという目で二人がショウを見る。ショウの手にある魔剣エクスカリバーと魔剣バリサルダを見てゼストがさけぶ。
「お!おまえ!そんな剣装備してられるほどの冒険者だったのか!?」
偽勇者は何が何だかわかっていない。
「はぁ、負けだ負けだ、おれの負けだ、おいお前、俺たちもお前らの飲んでる席に座らせてもらってもいいか?」
「はい、大丈夫だと思いますよ?暴れさえしないでいただければ。」
「く!覚えてろ!絶対に公開させてやるんだからな!」
あほはむなしく負け犬の遠吠えを吐き、パーティー一同森に消えていった。
ゼストをつれて休憩所に戻ったショウは美沙たちが泥酔しているのを見てまたため息をつくのであった。
「おい、えっと、ショウといったか?俺のことはゼストって呼んでくれよ。」
「あ、はい、ショウって言います。よろしくお願いしますゼストさん。」
「ところでショウ、お前の剣って二本とも魔剣だよな?」
「えぇ。この二本は魔剣です、魔剣エクスカリバーと魔剣バリサルダです。」
「おいおい、安易にそんなもん信用もできない人間にホイホイ説明するもんじゃないぜ?」
「いや、まぁ・・・ゼストさんはだいじょうぶだな~って気がしまして。」
「ありがとよ、しかしお前、とんでもないもん持ってるんだな。さっき言ってた水中ダンジョンの攻略の話もまんざら嘘ではないじゃねぇか?」
「まぁ、あ、でもこれは内緒にしてくださいね、目立つのが嫌いなんで。」
「誰にもいやぁしねぇし、言ったところで誰も信じないさ。で、お前の本当のジョブはなんなんだ?」
「え?言わないとだめですか?」
「教えろ。」
ショウはスッと冒険者カードをゼストに見せた。冒険者カードを見たゼストはマジか!?と声を上げたがその後の突っ込みと書かれたところを見てブッと噴き出した。
「おまえが本物の勇者だったとは・・・あの偽物じゃ到底勝てないし俺でもかてねぇのが納得した。しかも人知を超えた存在になっやがる・・・初めてであったぞ俺は。ってことはお前のお仲間も・・・。」
「えぇ、まぁ。絶対に内緒にしてくださいよ!」
「わぁったわぁった!こんなもんばらしてお前らの恨み買いたくないからな!そうだ、俺のちゃんとした自己紹介してなかったな、これはこの先の町『デガルーダン』の城の城主、ゼストラーデ・フォン・バスティーアだ。今後ともよろしくな!」
ぶっ飛んだことを笑顔で言い放つゼスト、隣にいたゼストの仲間があちゃ~とてで顔を覆う。
びっくりしたショウが美沙たちを正気に戻そうとするも泥酔しきっているものに怖いものはない。とりあえず今夜は俺たちも飲もうとゼストが酒を飲み始めて女将さんも含めた宴会が今夜も夜遅くまで続くのであった。
いつもいつもお読みいただきまして誠にありがとうございます。
7月から少し時間ができるのでもう少し各ペースをUPしていきたいと思います。




