住宅展示場は夢の国(中学2年)
私がまだ実家にいた頃、実家はとても古かった。
古民家と言えば聞こえはいい。
築70年越えの家で生まれて育ったは私、「テレビのドラマに出てくるおばあちゃんの家」が、新築に見えるほどだった。
隙間風のせいで冬は寒い。こたつあるのに寒い。
夏はクーラーが二階に一つだけで、そのクーラーも30年以上前のもの。
そのクーラーをつけただけで、ブレーカーが落ちるほどだった。
そして新しいクーラーはなどは今の家の構造上、つけられない。
あちこちガタが来ていた。
廊下も階段も、いつ抜けるか冷や冷やする。
どこからか侵入してくる虫のせいで、虫耐性だけはついた。
屋根裏でネズミが夜中の間ずっと大運動会をしていたことも、一度や二度ではない。
そのため、私は小学生の頃も中学生の頃も、友だちを家に連れてきたことがない。
古い家だと恥ずかしいと思ってしまったのだ。
そんな私は、新築の家へのあこがれが強かった。
なんなら小学校3,4年生ぐらいの頃から、新築の家に住むのが夢だったくらい。
同じように古民家住みのはとこが近所に住んでいた。
同じ中学で同性だということもあり、はとことは、中学校を境に遊ぶ機会も増えた。
ある日曜日。
はとこがこんな提案をしてきた。
「住宅展示場に行ってみない?」
私は快諾した。
住宅展示場。
新しくてオシャレな家がたくさん並んでいて、あまつさえ見学できる場所。
両親とは行ったことがある。
すごく夢みたいな場所だった。
そこに今度は私とはとこだけで行く。
私とはとこは、ワクワクしながら自転車を走らせた。
一番近い住宅展示場は、家から自転車で片道30分くらいの場所にある。
私とはとこは、ドキドキしつつも住宅展示場へ。
しかし、住宅展示場はあまり堪能できなかった。
なぜなら、見学すら断られる場合が多いからだ。
住宅展示場は、一軒一軒、ちがう会社が関わっているのに、大体、対応は似たようなものだった。
「お父さんかお母さんか一緒じゃないと」と言われる。
そりゃまあそうか。
でも、私とはとこだけにも関わらず、快く見学させてくれたところもあった。
住宅展示場の人が、「将来はこういう家に住みたいのかな?」とか、「こんな広いキッチンだといいよね」とか色々と解説してくれた。
帰り際に、「お父さんとお母さんによろしくね」とパンフレットもくれた。
あの、会社、覚えておけば良かったなあ。
絶対に良い会社じゃん。
そんなわけで、私とはとこは、少しだけ大人の世界を垣間見たあと、こう言ったのだ。
「やっぱ新築、いいね」
「本当ね」
そんな私にインテリアブームがくるのは、この少しあとのことである。




