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第27.5話【番外編】主役は遅れてやってくる

 応竜との決戦の日、ホワイトストーンは集合場所である商業都市の酒場にいた。

「ムロトー君、遅いわね……」

 ギルドチャットでオガミ姐さんがイライラしてるッス。

「きっと何か事情があるッス。もう少し待つッス」

 オイラは姐さんをなだめた。

「ナオさんにムロトー君を推薦した自分の立場ってモノがあるのよ! もう!」

 やばいッス。姐さんキレそうッス。

 あ……ムロトーさんからオイラにメッセージが来たッス。

「オガミ姐さん、ムロトーさんから連絡来たッス。見知らぬ冒険者が困ってるからちょっと手伝うので遅れるそうッス。ムロトーさんは現地に直接行くから、先に出発しておいて欲しいみたいッス」

「はぁ!? もともと予定してた用事があるんだから、そんなの後にしなさいよ! こっちの方が優先でしょ!」

「オイラに言われても……」

「もう……本当に仕方がない人ね」

 オイラはナオさん達に事情を説明して、みんなと荒野への移動を開始したッス。


 荒野をみんなで移動途中、姐さんがムロトーさんにギルドチャットに早く入るように伝えろってオイラに頼むので、ムロトーさんに連絡したッス。

「なんでオイラに頼むッスか。直接、オガミ姐さんからムロトーさんにチャットして伝えればいいと思うッス」

「なんだか、白石君から伝えたほうがいつも上手くいくじゃない。か弱い女性の為にがんばって欲しいわけよ」

 全然、か弱くないッス、って言うと怒るので、黙って従ったッス。

「あ! ムロトーさん、ギルドチャットに入って来たッス!」

「え? ほんと、白石君ナイス!」

 でもムロトーさんがいきなりとんでもないことを言い出したッス。

「俺はこのままタイムアップでもいいんだが」

「タイムアップでいいわけないでしょ! さっさと来なさいよ。うちのギルドの恥になってるわよ!」

「俺はこのギルドにはおさまらぬ存在だろう。ギルドを抜けることにする」

 大変なことになったッス。

「はぁ!? この状況で何言ってるのよ! 抜けるのは勝手だけど、それなりの段取りがあるでしょう?」

「お手本がいなくなるッス!」

「こんな非常識なヤツがなんでお手本なのよ、ふざけないで!」

 ムロトーさんを抜けさせるわけにはいかないッス。

「聖騎士がいないギルドに未来は無いッス」

「……。頭痛くなってきた……。ムロトー君、バカ言ってないで早く来て……お願い」

 オイラからも頼むッス。

「早く来てッス、早く来てッス」


 しばらく荒野の集合場所で待ってたら、ついにムロトーさんが来たッス!

「もう着いたッス! 早いッス! 来たッス! メイン盾来たッス! これで勝つる!」

 オイラは興奮してつい、叫んでしまったッス。

「全然早くないわよ! もう……」

 姐さんがムロトーさんの代わりにナオさん達に謝った後、いよいよ応竜と戦うことになったッス。

 そしてムロトーさんは見事にメイン盾の役目を果たして応竜は飛び去っていったッス。

 さすがはみんなのヒーローッス。

 ……ホワイトストーンはムロトーにますます心酔《しんすい》したのだった。




 ※作者注

 本作中の一部表現は2000年代頃、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)発祥のネットスラング「ブロント語」として広く知られていた言い回しをオマージュとして使用しています。

 原典となった特定の投稿者や投稿を特定することは困難であるため、ここに敬意を込めて表記します。


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