↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
19/38

第18.5話【番外編】謙虚に辞退する

 夕方、プレハブ棟に三浦さん達と共に向かった白石《しらいし》景《けい》。

 会議室では、奥村さん達のパーティーが既に待っていた。

 三浦さんが奥村さん達と明日のバトルロイヤル以降もパーティー同盟を組みたいと提案し、了承してもらえた。

 奥村さん達の〝強者に勝てるパーティーになる〟というビジョンも景には共感でき、是非、一緒にがんばりたいと思った。

 ここまでは良かったけど、問題は室さんが今後、どう取り組むかッス。一筋縄ではいかないだろうと景は考えた。


「今日一緒に室さんと行動してみて、うまく意志の疎通《そつう》ができなかったと思っています。少しでいいのでお話できませんか?」

 奥村さんから室さんへ積極的にコミュニケーションを取ろうとしている。誠実な人ッスね、と景は思った。

「9分で良い」

 無口な室さんが口を開いた。奥村さんの思いが通じたようッス。

 でも、奥村さん達の頭の上に〝?〟がいっぱい出てるようッス。たぶん意味が分からず困惑してるッス。

「9分、時間をくれるみたいッス。急いでください」

 オイラが奥村さんをうながすと、奥村さんがうなずいた。

「ビジョン達成のために室さんのお力を貸していただけますか? お願いします」

「お前、それでいいのか?」

 室さんが返すと奥村さんが黙った。

「ちょっと室君! 何、偉そうにしてるのよ!」

 いつも通り、美穂姐さんが室さんを窘《たしな》めたッス。

「いや、良くないと思うで」

 玲央奈ちゃんが続けた。

「室さんは強者やろ? 強者の力に依存してミッションを進めるのって、ウチらが神崎さん達に依存してたのと同じことになるやん。ビジョン達成の為に、基本はウチらの力でがんばるべきって室さんは考えてるんやと思う」

「なるほど……、そういうことか」

 奥村さんは一応、納得したようッス。

「しかし……室君と一緒に一昨日から行動していて気になるのが、やっぱり消極的だな、と。特に今日、奥村さん達と行動を共にするようになってから更に消極的になってる気がするんだけど、何か理由があるのかい?」

 三浦さんが更に突っ込んできたッス。

 室さんは悟さんを見て言った。

「このパーティーは光と闇が両方存在して最強に見える。しかし大きすぎる力は頭をおかしくする」

 室さんの説明に、三浦さんがポカーンとしてるッス。

「逆に言うと、光と闇が両方存在して無い場合は力を貸してくれる可能性があるってことやな」

「玲央奈ちゃん凄いッス。ムロンティストになれるッス」

 オイラはつい、嬉しくなって興奮してしまったッス。

「ちょっと! 玲央奈ちゃんに変な称号与えないでよね」

 ……美穂姐さんに怒られてしまったッス。

 三浦さんがなんとか立ち直って言った。

「頭をおかしくするとはただ事ではないですね。ちなみにどの程度のリスクがあるのでしょうか? リスクが発生し得る頻度はどのぐらいのイメージですか?」

「稀《まれ》によくある」

 室さんの回答に三浦さんが再びポカーンとなったッス。ここはオイラの出番ッス。

 オイラはホワイトボードで〝稀によくある〟頻度のイメージを説明したッス。みんな、ポカーンとしてたけど玲央奈ちゃんだけは理解したで、って言ってくれたッス。

「できる限り、リスクを回避して室君の能力を発揮できないだろうか? せっかく強い力を持ってるのに、どうしてももったいないと感じてしまうんだ」

 三浦さんがまた立ち直って言った。三浦さん凄いッス。

「俺は別に強さをアピールしていない。俺を強いと感じてしまってるなら確定的に長寿タイプ」

「私は……長寿タイプ……」

 三浦さんの頭が混乱しているッス。これ以上の会話は危険かもしれないッス。

 室さんがおもむろに立ち上がった。

「9分、既に時間切れ」

 そう言って室さんは会議室を出て行った。

「室さんは謙虚に辞退したッス。でも、奥村さんや三浦さんの思いは通じたはずッス」

 オイラはフォローしておいた。

 玲央奈ちゃんとお父さん以外の人は訳も分からず呆然としていたけど、室さんはきっと来るべき時が来たら力を貸してくれると思うッス。

 そろそろ夕食の時間となったため、一同は解散した。




 ※作者注

 本作中の一部表現は2000年代頃、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)発祥のネットスラング〝ブロント語〟として広く知られていた言い回しをオマージュとして使用しています。

 原典となった特定の投稿者や投稿を特定することは困難であるため、ここに敬意を込めて表記します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。