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アマゾネスにつかまった!  作者: abso流斗
9/22

リザレオの仲間達にしょうかいされたっ! part2







ジャングルは途切れ、俺の眼前に突然、大きな空が現れた。

いきなりばぁっと広がった視界が、あまりに目に新鮮だ。

密林は視界の端に退き、何もなくなった空間を埋めるようにあちらこちらに炊煙を立てる家が建ち並んでいる。

その家々は十分すぎるほどの間隔で散らばっていて、どんどんと遠くまで続いている。

その家々の頭上を青く染める空はどこまでも開いていた。


確かに広い。これは……東京ドーム何個分だろう?

あのまったく実感の湧かない比較対象で言っても仕方が無いのだが。

しかし、言い表す言葉が無いほど、大集落は清々とした空をかぶり、視界の端まで広がっていた。


「さ。会わせたい人がいる……いこー。マキタっ!」

リザレオが俺の腕を取り、ぶんぶんと振りながら嬉々として歩き始める。

家々の間隔は日本の常識とはかけ離れて広く……と言っても田舎はこんなものか……間が田んぼじゃ無いだけだ。

家の構造はリザレオの所と同じか、とても似ている。

違いと言えば、リザレオの所は櫓のような高台が接していた。


おそらく集落の外れなので、監視場所も兼ねているのだと思う。

それを除けば、ほぼ同類。これがアマゾネスの集落における基本建築様式、と言うことで間違いなさそうだ。

煮炊きは外でやるようだ。天気いいからかも知れない。

何かの炊事をしていた女性が、リザレオを目にとめ、わざわざ立ち上がり、一礼した。

それは、武器庫の前のジオヴァーナとは違い、あそこまでかしこまって無く、ただ日頃の感謝を告げるような柔らかいものだった。

リザレオもふわりと頭を下げ、礼を返す。



お辞儀が、頭を下げる形が礼として共通認識となっている、というのはどこまで世界中に広がっているのだろうか。

きっと教授なら、素で、暗記してる頭の中だけで、即答するのだろうが。

くそ。まだ何の連絡も無いぞ。バカ天才め。

この声が聞こえてたら……なんか指示を出せ。左衛門の丞め。

まぁ……心の声まで聞こえてたら、コワいけどっ!


うっ……しかし……あり得なくは無い……なんと言ってもバカ天才。

脳波を読んでモニタリングしているとか……どんな仕組み作ってるかわかったものではない! 

そもそもなんなんだよ! 首裏に埋め込んだマイクロチップとかっっ!

オ・マ・エ・は宇宙人かっ!

俺はアダムスのキーさんかっ!


いきなり独り言でぶつぶつと怒り出した俺を、少し引いているリザレオが心配そうに見つめているのはなんとなく目の端でわかっていた。

「マキタ……?……マキタ?……」

と、小声で呼びかけられているのも耳に届いている。

だが、怒りが収まるものでは無い。


ったく……教授……俺の身体どこまでイジッたんだよ……。

俺は首裏に手を回し、揉んでみる。マイクロチップとやらの手触りは無い。

まず痛みそのものが全くない。しかし、リザレオ達と会話が出来ているのだから、その教授謹製翻訳システムは機能しているのだろう。

どんな手術の手際だ。ヒトが居眠りしている内に!

勝手にヒトの身体をいじり倒しおってぇぇぇ。

マンガの改造ニンゲンじゃ無いんだから。

腕からロケットが出るとか……してねぇだろうな。

うはは。ありえねぇぇぇ……。

……。

……そう言うこともやりそうで怖い気がする……。

アレで結構マンガ好きなのも知っているのだ。

念入りに肘をチェックしてみたが……どこにも痕はないけど……。

言いしれぬ不安でゾクゾクする。

いきなり肘をあっちこっちから眺め始めた俺を不思議そうにリザレオが見上げている。

頭の上に何個も?マークが並んでいる。

俺は……本当に昨日までの俺なのか……?

知らないうちにメカ人間にされてねーだろうな!!

教授のオモチャかっ!俺はっ!



「マキタ?……マキタ……もうすぐ着くぞ。大丈夫か?」

完全に正気を疑われていた。

イヤ、そうじゃ無いけど。

はふー。

ま、これはこれで今は捨て置こう。俺は教授のことは頭からさっぱりと消し去った。

まずはこのアマゾネス集落のフィールドワークだ。

あっそうだ。メモが無い。ペンも。なんで書いとこうか……。


色々と悩みつつ、俺はリザレオの横を歩き、一際大きな家の前に立った。


それは大きな円形をしていて、背の低いサーカステントのような形をしていた。

たぶん会議場とかでは無いかと思われて、やっぱり集会、会議場だった。

内部からは、わさわさとと大勢の人が集まっている雰囲気と、消して大声で騒がない抑制された音量の会話が漏れ聞こえていた。


「ここはカーマ・リザの集会場所だ。カーマ・ハファはまた別の場所にある。大集落の反対側だな。互いに襲撃に駆けつけやすいようになってる。リザレオのチームはここに集まる。たぶんみんないる!マキタいっぺんに紹介だ!」


低い階段で少し高めの床になっている室内に、意気揚々とリザレオが足を踏み入れる。

土足オッケイなんだな。

俺もワークブーツを脱がないまま、中に足を踏み入れた。



中は大きな円形の一部屋だけで、各所に丸いテーブルが有り、人々が何か談笑していた。椅子は無い。全員立っている。そして、当たり前だが全員女だ。

テーブルの上にはなにやら飲み物のカップのようなものが置いてあるところもある。会社の休憩所の雰囲気だ、と言えばそのものだろう。

屋根はいくつか天窓として切れていて、そこから差し込む光がおぼろに室内を照らす。拠点としての利用も考えられているのか、窓はたくさんあるがどれも細く縦長だ。部屋の隅にはリザレオの家の近くで見たような武器庫のような小屋もある。

人工の灯りの無い室内はどうしても暗い。

しかし、その場に集まっている女戦士達はそんなこと一つも気にしている様子は無かった。

皆薄暗がりの中で、目をギラつかせている。

精鋭が集まった、という感じを醸し出している。

俺を引き連れて部屋に入ってきたリザレオに気付いた一人が、びしっと背筋を伸ばした。

「カーマ・リザ!」

その一言がものの見事に部屋の空気を変えた。

全ての談笑は中断され、全ての目線がこちらを向く。

おおお。戦闘部隊っぽい。そして、その視線の集まる先はリザレオただ一人。

……俺、空気じゃね?

幾人かは俺を見ている、と言うか視界に入れてはいる。

そしてそれは例外なく不審げに眉を顰めていた。


うって変わってリザレオを見つめているアマゾネス戦士達の視線は熱い。

隊長として思慕を集めているというのが傍目にもわかる。

全員若い女性だ。そして同じ格好をしている。

リザレオがしている装備がやはり基本装備だ。革鉢に羽があるかないか、房の大小、アガールの所持の有無、それぐらいしか違いは無い。

つまり……全員超ミニブラ、ショートスカート……そして巨乳である。

眼福もこれだけ集まると壮観すぎる。

和菓子の饅頭の棚をどアップで見た感じ。

デカい。デカい。デカい。超デカい。超デカい。デカい。そうでもない。

そうでもないレベルでも日本の町中で歩いていたらちらちらと注目を集めるだろう。

さすが外人規格。南の国はなんもかんもデカい、と卑猥な俗歌を歌っていたじーちゃんは正しかった。

全員誇り高く胸を張る様は、戦意に満ちていて、またそれが胸を大きく見せるのだろう。アマゾネス巨乳集団は、戦う集団なのだ。


少し嵩を増して高くなっている平台のような所まで、すっと歩いて行くリザレオ。避けずとも自ずから道が開いていくように、女の子達が空けていく一筋の道をすたすたと歩き、平台の上でくるりと振り返った。

「集まってるか! わたしの手足達!」

オォォォー!と気勢が上がる。熱っぽくリザレオを見つめる一同のその顔が昂揚で光り輝くようだ。

「今日も持ち場の監視をしっかりと頼む! 異常は即、伝達をここへ! まぁ、何度も言うまでもないな!私たちは命を捧げしもの!カーマ・リザだ!」

「カーマ・リザ! オォォォー!!」

「私たち全てで一匹の豹だ! どんな敵も食い破る牙であり!引き裂く爪だ!」

「我らの知恵! カーマ・リザ! オォォ!」

「守るものとしての義務の為!今日も頑張ってくれ。戦いは唐突に始まる!各自怠りなきように!いくぞ!カーマ・リザ!」

「オォォ! 遠くを見通す目!カーマ・リザ!導きを!カーマ・リザ!我らに使命をっ!」

スゴい歓声だ。女の子特有の一体感、というか。

「そして最後に新たな客人を紹介する! マキタだ!」

リザレオが自信満々に手で俺を指し示す。


一気に熱が冷めた。

そりゃあもう急降下。急速冷凍。

会場の温度は一気に平熱、いやそれ以下に醒めていく。

はぁ?……という空気が、盛り上がった会場をだだ下がりに冷やしていった。


あれれ……と少しうろたえてリザレオが必死にアピールする。

「マキタは!……マキタは……えっとー?……どっかから来たっ! 強いぞ!ネワザもあるっ……えっと……そんな感じだっ!……未知の生物では無い!……えっと……言葉も通じるぞっ!……あとはー……うーん……」

いや!そこで考え込まないでリザレオちゃん! そこ大事なトコだからっ!

ざわざわと小声で話し込むアマゾネス巨乳軍団。

誰一人として、首を捻っていないものが無い。

ま。そうだよね。うん……知ってた。


率直に言って、歓迎の雰囲気なんか欠片もない。

えーっと。

……女子高、女子大にいきなり入り込んじゃった時の周りの空気、というものをご想像いただければほぼ正解である。

ナニこのヒト……的な視線がバシバシ刺さる、あのいたたまれなさだ。


しかし人生には厚かましさで押し切らねばならない局面が多々あるものだ。

俺も一言スピーチせざるを得まい。

女の子戦士達を押しのけるよう……にする前に、すすすと身を引いていく。

道を空けてくれる、というより……如実に気持ち悪いから離れたい、と言う後ずさりの仕方だった。泣いてイイっすか?

ぽかりと空いた……というか避けられた隙間を苦笑いと共に進み、リザレオが足っている平台に向かった。そしてそのまま。

俺はあえて!あえて、リザレオと平行に並び、出来るだけ闊達な声で話しかけた。

「えー。ごほん。カーマ・リザからご紹介にあずかったマキタだ。フィールドワークをやっている。こちらの集落のこと、皆さんの習慣のこと、色々と教わりたいこともあるかと思うので、その際はよろしくお願いする。しばらく滞在する予定です。以上だ」


おおむね、俺が通じる言葉を喋れていることに驚いているようだ。

本気で未知の生物だと思ってやがったな。

まぁ……今日は顔合わせ程度で。簡単なスピーチでお茶を濁させて下さいよ。


「……で、では、各自解散!監視に向かってくれ!アルニは必ず携帯すること。ではカーマ・リザの目!達よ!隅々まで見張りを頼む!」

「オオォォ!」

少しだけリザレオの声に志気を取り戻し、ばらばらとアマゾネス戦士達が集会所から出て行き、各自の持ち場があるのだろう、三々五々散っていく。

その後ろ姿にもう俺の存在は忘却の彼方だ。

「カノは集合! 会議がある!」

短く命令を伝達すると、その中の幾人かがリザレオの元に集まってきた。

「アルニ、とはなんだ? カノは?」

「アルニ……は、呼び矢だ。空に向けて放つと色と音を出す」

ああ……鏑矢ね。なんかあれば連絡する、と言う用途か。

「カノは……副官だ。カーマ・リザには三人いる。今、丁度来た」

大半が集会所から出て行くのと逆に、リザレオの所に三人の女戦士が集まってきていた。

その中の二人は……最初の襲撃の時にもいたな。なんとなく見覚えがある。

かなり広々と空いてきた集会所の中で、リザレオの、カーマ・リザの副官がざっと横一列に並んだ。

六つの丸い巨乳が横並びしている。

いずれも見事な実り具合だった。




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