リザレオの仲間達にしょうかいされたっ! part1
大集落の入り口には大きな門のような大木が控えていた。
太い枝が横に張り、その片一方の大木まで届く大枝は、ここからが集落だと明確に区切っているかのようだ。
そこから音もなく飛んできた矢は、リザレオの俊敏なアガールの一閃で二つに折れ、地に落ちた。
俺はまったく気付かなかった。現代人油断しすぎ。
「ここを通っても、いいことないぞ」
すたり、と大木の枝から飛び降りた長い黒髪ストレートのアマゾネス戦士が声を上げた。
それはリザレオに向けてではなく……明らかに俺に向かって放たれていた。
まぁ、予測の範疇だ。いきなり矢を射かけられる、というのは過激だが。
戦闘集団アマゾネスだ。これくらいのことがあっても不思議では無い。
黒髪ストレート戦士はゆっくりと黒豹のように身体をくねらしながら、歩み寄ってくる。
カーマ・ハファということは、リザレオとは別働隊の隊長なのだろう。
リザレオと同格を示しているのか、その頭の革鉢巻きに挿されている羽はきらびやかで大きく、付いている房もリザレオ並の大きさだ。
腰にはやはりアガールが下げられている。それも堂々と大きなヤツが。
堂々と大きなものはもう一つ。
リザレオより更に大きい(目分量で)褐色爆乳だ。
こんなんばかりか?ここは。
ナニ喰ったらこうなる。ジャングルそんな栄養あるのか。
他にも南米女性名産品のどどん、とした尻に、激しいトレーニングを物語る、あり得ないほど引き締まったくびれ、と恐るべきボンキュッボボンぶりである。
褐色具合はリザレオより更に深く、その肌の色合いといい髪の色といい、黒豹をイメージさせる。
つり目がちな眼の鋭い光り具合。シャープな顎の線。油断というものが一欠片も無い緊迫した面持ち。そして音も無くしなやかに歩く体捌き。
その容貌も相まって、刺し込むような冷たい目線が更にクールな印象を引き立てていた。
「言葉は通じるのか?」
隣のリザレオを一顧だにせず、その鋭い視線は俺だけを貫いて、話しかけられた。
「そのようだな。初めまして。マキタだ」
俺の返答に少し驚いた顔をしたが、すぐにそれもクールな面持ちの中に消えていく。目の光りの尖り具合は一つも変わっていない。
「戦えないものにこの集落は用が無い。ここは戦い、生き延びる為の集落だ。オマエは……何が出来る」
「さあな……それを探りたいから……この集落に用がある」
にやり、と返してやると、黒髪ストレート戦士の眉がひくりと動いた。
右手に持ち構えている弓にはもう長い矢が握られている。矢尻はもう弓弦にかかっている様に見える。あとは弓を左で構えて引けば、いつでも発射出来るのだろう。威圧するようにゆらゆらと揺らして、身体の力を抜き、一瞬に備えている。
思い出した。この空気は似ている。
最初に襲撃を受けたときの殺気に満ちた空気だ。
「役に立たない……つまらん動物は、全て矢で刺し貫いて……丸焼きにでもするところなんだがな……」
「黒い子猫ちゃんの御馳走になるンなら大歓迎だがね……ふふふっ……」
「ふふふっ……何を言ってるのかわからんな……しゃらくさい……ふふっ」
「うふふふふふふっ」
つわもの達の会話は、笑い声すらも威嚇である。
この程度でビビってたら、教授の助手は務まらないぜ。
バカ天才教授は基本、傍若無人な上、ヤバいとこばかり入りたがるからなー。
その上、さりげなく俺を盾にする、と言うこすいワザの上級者だ。
経験が冷静さを保たせてくれた。
一歩、踏み出す。
そのリザレオ以上の褐色爆乳が俺の胸に当たるまで。
「ン!」
驚きは見せても身体は引かない。意味はわからなくても挑発を受けた以上、戦士として引くわけにはいかないのだろう。
ぽにゃん、と超柔らかい感触。
うへへ、と目尻が垂れそうなのを必死でこらえたのは、リザレオも弓を番える体勢を取ったからだ。あとワンアクションで引き絞れるだろう。
目線は少し下。背丈はリザレオとほぼ同じぐらいかな。
刺すような目線が少し下から俺の瞳を射貫いている。
髪からは河の浴場で使ったあの洗濯の実と同じ香りがする。
寄ったのは弓の構えを潰す為。ここまで寄れば、長い矢は引けない。腰のアガールに手を伸ばすにも、身体を下げなければならない。
そして、それはプライドが許さない。
経験が教えてくれたのだ。いつだって活路は前にある、と。
俺の胸元で柔らかく形を崩す褐色爆乳を揉みしだきたくて仕方が無いのは山々だが。
さすがに手を伸ばすとキレそうだ。
目の前の本人も、背後のリザレオも。一気に天秤が傾く。
思いっきり前後ろのアマゾネス戦士を同時に敵に回したら生きていられそうに無い。
自重自重。
「リザレオ、弓下げてもイイぞ」
「でも……ハファエラが!……」
「大丈夫、ここは近すぎて撃てない。マキタつよい。忘れたか?」
「……」
納得いったのか、リザレオの腕から力が抜けていく。
それでも心配そうな瞳に変わりは無い。
「さ……ハファエラ……ちゃんか?……仲良くやろうじゃ無いの。三人でお茶でもどうですかー。両手に花で嬉しい限りですよ。はっはっは」
俺の両手で、ハファエラの両肩をぽんぽんと叩く。
ナニも持ってませんよアピールもかねてだ。これで、あの時のリザレオ隊以外は素手では何も出来ないと考えるはず。
白々しさ極まりないとは思いつつ。
どうせ素直に通じないと知りつつも。
まずは友好の一手。
笑顔から始めないと……ホントに血を見ることになるからな。
間近で超笑顔の俺の顔に詰め寄られ、馴れ馴れしく肩を叩かれ、それでも反撃の距離は取れない。
ハファエラは、困ったようにリザレオに顔を向けた。
「……またヘンなのをくわえ込んだもんだな……カーマ・リザ」
「変じゃない!…………ちょっとヘンなかたち……だが気持ちイイぞ!ハファエラ!」
いいからそこから離れて。リザレオ。
今緊迫した場面だからっ!
ハファエラちゃん、ノーリアクションじゃん!
納得はいかないまでも、打つ手が無いハファエラは渋々と一歩引き下がった。
その手には射かける力は込めていない。
はー、と一息つき、まいった、と言わんばかりに両肩を上げた。
このゼスチャーは共通なんだな。
俺は満面の笑みで、闘気が解けていくハファエラを眺めていた。
「何を探しに来たのか知らんが……ここには無い。何を求めてここまで来たのか知らないが……与えられることは無い。この先でオマエが見るのは落胆だけだ」
「……かも知れないが……それはこの目で見て確かめるよ。ご同行願えるのかな?」
「断る」
一言クールに言い捨てると、くるりと振り向き、集落から離れていく。
どこに行くのか知らないが……見事な濃いめ褐色美尻がくわんくわんと揺れている。それはもう一足ごとに。見事なほど。
どうしてこう……どいつもこいつも無駄にエロいかね。
目の正月だらけなのが時々つらい。
あー……溜まるモンがあるよなー。悶々とー。
全部今夜に発散させてやるがな!リザレオで!
「もう……ごめんマキタ……ハファエラ……悪いやつじゃ無い……ただすごいマジメで……クールぶるの大好き……もう。ワルいくせ!……」
ぶははっ、と吹き出しそうになる。クソ教授翻訳システムの間違いで無きゃ、すごいこと言ってるぞ。リザレオ。
「ってことはそうじゃないハファエラを知ってるんだ。リザレオは」
「ン……アザルーゾからずっと一緒。ちっちゃいときから……すごいマジメだから……何でも一生懸命。すぐうまくなる。弓もアガールも……」
「ライバル関係?」
「そうでもない。リザレオもっとうまいからっ!」
と胸を反らすが、言う口調は、まったく意識しているとしか思えない。
同期で、同じ隊長にまで登用されたのだ。競い合いはあったのだろう。
「カーマ・ハファになってから、もっとクールぶるようになった……人前だともっともっと……すごい警戒している。一人で見回りとか。ちょっと張り詰めすぎてて……心配だな……」
「……ふうん」
遠目にも去って行くハファエラのお尻の雄大な揺れ方は……いやいや……もうちょっと上見ろ俺。
……その背筋を伸ばし歩き去って行く肩には、使命感、緊張感が漂い、誇り高き戦士であろう、と言う決意が漲っている。
「仲いいんだ。リザレオ」
「相談は、大概ハファエラとする……リザレオ達が連携が取れてないと……マークル・ガンツォは……絶対勝てない……」
リザレオの瞳が昏く沈む。また出た。マークル・ガンツォ。
話したくなさそうな雰囲気はまだありありだが……それを押しても聴かねばならない時がいつか来るか?……それは今か?……
「っていっても……話はそれだけじゃないけどねっ……いろいろっ」
明るく話を切り替えるのもリザレオの心遣いなのだろう。
「女の子二人だからなー……それも幼なじみの。なんか騒いでんだろー」
「んふふっ……ハファエラのおっきなおっぱい……もみもみするとすっごい……かわいくなる……んふふふふっ……他にも弱点いっぱい知ってる……くすぐりっこスゴく弱い……外ではあんなに強そうなのにっ……くすすっ……」
何してるんですかリザレオさん。オンナ二人で。
「そういうとこも見せちゃえばいいのになー……カーマ・ハファだけでなく」
「リザレオもあの武器庫の時、すっげえエラそうだったぞ」
「あれはイイのっ! 隊長はぴしっとしてないと。エラいからぴしっと!」
風の軽さが戻ってきた。
俺とリザレオはじゃれ合うように話しながら、ハファエラが去ったあとの、大きな木の枝が作り出す門を潜り、並んで集落の中に入っていった。




