リザレオに色々おそわったっ!part3
河の水でなんとか頭を冷やし、階段状の敷石を上がっていくと、もうリザレオは上がって身体の水を切っていた。
「もうっ。リザレオほったらかし、ダメだぞっマキタっ」
「はいはい。あーとーでー。後でいくらでもなっ」
ぶーと頬をふくれさせるリザレオも可愛すぎて近寄りがたい。もう少しでも触ったら、理性がくじけそう。とにかく早く服着てくれっ!!
髪はぷるぷると振って、そのまま。犬みたい。ま、それしかないわけだが。
長い髪の娘がいないわけだ。タオル的なものがない。
こんど作ってやるかな?何か工夫して。
「リザレオ。髪短いのはそういうわけか」
「んーん。長い人もいる。あまりいない。めんどくさい!」
意外と大雑把な理由だったね。
「長く伸ばすのは……戦士じゃ無くなった人が多いかな。したい人だけ。戦士でいるうちは短くするのが多い。リザレオもその方が戦いやすいと思う」
「どうやって切ってるんだ?」
「アガールで。こう……耳押さえて」
リザレオが耳たぶを下げて手で押さえる形をする。
鉈でか。ワイルド!……って、それしかないのか。
そういえば刃物的なものは、このデカい鉈しか見なかったな。
金属加工の施設的なものはあるのだろうか?
俺も服を洗濯したかったが、なんせ一張羅だ。教授にラチられたせいで!!
まだ洗っちゃうと次の服がない。ま、いいか。もう1日ぐらい。
と言うことで、脱いだ服をそのまま着ていく。
パンツからシャツから何枚も着ていく俺をリザレオが不思議そうに見ている。
「マキタ……いっぱい着る……よろい?……でもなさそう……???」
「ただの習慣の違いだ。代わりの服、作らないとな。ここ向けの」
「リザレオが作ったげる! んふふー。戦士の服がいいか?マキタっ!」
戦士の服って……リザレオが今着てるみたいのか……?
自分がその装備を身につけているところを想像する。うわ、萎えるー。
オトコノーパンは萎えるー。ちんチラは超萎えるー。
そうだ。この発想で、リザレオのエロ破壊力にレジストしよう。
思わぬいいアイディア。
「いいけど……男物の服とか作れるのか?リザレオ」
「オトコモノ……?」
でしょうね。うん。知ってた。
短い衣服は強く絞ってパン、と音を立てると、リザレオは乾かさないままに身につけていく。
どうせ、着ているうちに乾く、と言う寸法か。
さすが南国、動けば汗でどうせ濡れるしね。
脚をまた革で覆い、革紐で止め、いつもの羽根付き革鉢巻きをかぱっとかぶれば、準備完了だ。後は腰に鉈を突け、反対側の腰に弓、かなり短いヤツだ。そして太腿に巻き付けるように矢の入った筒を革紐で固定する。
で、アマゾネス女戦士リザレオの完成だ。パンツ履いてないけどなっ!
でも。
きりりとした立ち姿に、昨夜のとろとろの面影など一切無い。女はすげーなーと、少し呆れるような、感心するような。
俺はその戦士っぷりを、豹変っぷりを……惚れ惚れと眺めていた。
ボディペインティングは洗えば落ちていた。
「落ちちゃったな……アレは何で書いているんだ?」
「染料がある。泥から作る。戦いの前に、互いに無事を祈って描く」
「戦いの儀式か。アレはかっこいーな。リザレオ。似合ってたぞ」
「じゃ、ちょっと集落を案内してくれないか?色々見てみたいんだ」
「ン、いこー。マキタに紹介したい人とかもいる!」
リザレオが、集落の方を指さし、颯爽と歩き出した。
「マキタ、今日からこの集落の一人になったって言わないと!」
「おう。しばらくやっかいになるぜー。よろしくですー」
ようやく、話が前に進みそうだ。本来の今日の目的の為、この謎のアマゾネス集落の実情を探る為、俺とリザレオを肩を並べて歩き出した。
が、いくらも歩かないうちになんか着いちゃった。
なんか小さめの建物。造りは簡単だな。凝ったところは何もない。誰か住んでいるという様子もない。小屋だな。
「ここは?」
「武器がいっぱいある。いろいろ。弓とか」
興味深い! ホームズならインタルシティング!を連発しているところだ。
その民族の文化は武器の形状、使用法、選択に大いに表明される。
生物の最大の特徴はその攻撃姿勢、獲物をいかに得るか、という所に激しく特徴的に出てくるのだ。
鷹は脅威の遠視能力を誇り、カエルは唐突に長い舌を伸ばす。
文化、文明もまた然り。これは、興味深い!
「是非、見せてくれ。ここは面白そうだ」
「ん。じゃ、寄ろう」
リザレオがすたすたと裏に回ると、そこには一人の少女がいた。
「カーマ・リザ! お疲れさまです!」
階段に座り込んでいた戦士装備の女の子はいきなりすくっと立ち上がり、リザレオに挨拶した。
女の子はリザレオよりも明らかに幼く、まだ新兵、と言う雰囲気を色濃く残している。細い手足、まだぶかぶかの矢筒の紐、腰にはアガールはなく、革鉢巻きに羽もない、房もない。
少女兵は少し緊張しているように、直立し、リザレオの言葉を待っていた。
そういえば……俺を襲撃してくるときも、リザレオが指揮していたな……。
「カーマ・リザ……って何?」
「リザレオのチームがそう呼ばれる。リザレオが代表。ジオヴァーナはその一員だ」
リザレオが少女兵をさして言う。隊長と部下、という所か。チーム名が、リザレオの隊での名前と同じなのね。
ふんふん。
「マキタだ。未知の生物じゃない。色々と知ってる。強いぞ。そしてネワザだ。気持ちイイ」
「……?……??……」
少女兵ジオヴァーナが、?マークを飛び散らして右に左に首を捻っている。
……ざっくり過ぎるだろ。リザレオ。そして、その最後の何?
「武器庫を見学する。入るぞ」
「……!……でも、カーマ・リザ……!……許可が!」
「私の許可では不満か?」
「いえ……しかし……カーマ・ハファが…………不審な者は入れるなと……」
チラチラとこちらを見ながら、ジオヴァーナがたどたどしく抗議する。
リザレオの目が細く絞られ、眼光は鋭く少女兵を射貫いた。
「改めて聴こう。お前の所属はカーマ・ハファか?カーマ・リザか?」
「………カーマ・リザです……あなたの隊です……」
ふん、と鼻息荒く、のけぞり目線で少女兵ジオヴァーナを見下ろす。
「では……もう一度繰り返す。私の、カーマ・リザの許可では不満か?」
「…………」
……リザレオ隊長圧迫してます。そっかー。リザレオ。エラいのかー。
少女兵ジオヴァーナが、かわいそうなぐらいおろおろし始めた。
「マキタはカーマ・リザが不審ではないと判断した。報告はカーマ・ハファにも上げておけ。では、入るぞ」
「………は、はい。カーマ・リザ……」
渋々とジオヴァーナが道を譲り、リザレオが堂々とその前を通る。
俺もなんか申し訳ない気持ちを抱えつつ、少女兵の前を通った。
「すまんね。フィールドワークだから。すぐ出るよ」
俺も一言、ジオヴァーナに声かけしておく。言葉が通じる、と言うことを示す為もある。
一瞬、ジオヴァーナはその事に驚いたが、不審者を見る目つきは変わらず、そのぶすっとした不満げな顔が晴れることはなかった。
間が空いてすまん。またしばらく毎日更新。




