リザレオに色々おそわったっ!part1
まずは……この集落をフィールドワークしなくてはならない。
俺は朝餉の炊煙を立ち上らせる集落の家々を眺めながら、色々と考えていた。
ここの自然はどうも不自然だ。
女性ばかりのアマゾネス、というものが風説に等しい、と言う世界的共通見解なのに。
何故ここにある。ま、あってもいいけど!
飛行機事故で辿り着く処ではない。そのはずだ。
しかしそれは在る。今、俺の眼前に。
穏やかな生活を営んでいる様に見える。持続性を持って。
それは大きな謎だった。謎だらけだ。
ならば、それを探るのは、研究するのは、フィールドワーカーの使命だ。
胸の奥でフィールドワーカー魂が燃えている!
なんか楽しくなってきたー。ふふふ。
目の隅で何かが動き、ふと顔を向けると……。
リザレオがようやく起きたようで、うー……とか言いつつ、何かを手探りしつつごろごろと寝返りを打っていた。
「おはよう。リザレオ」
「……マキタ……そっち?……うー……おはよう?……なに?……ネワザ?」
違う。そこから離れろ。
「朝の挨拶だ。昼はまた別。夜もまた別のがある」
「……スーランにはない……いつもない……普通に……名前呼ぶだけ……マキタ、ヘンなこと……知ってる…………いいけど……」
受け答えは普通に出来ているように見えるが、リザレオはまだ目が開いていない。
一度顔を上げて受け答えしたが、その後ぺしゃりとつぶれた。
寝起き悪いなー。
「スーラン……?ここの集落のことか? 他にもこういう集落はあるのか?」
「……んー……リザレオは知らない……けど……ある……かも……出会ったこと……ないけど……」
俺の声の方向を探るようにようやっと薄目を開けると、モゾモゾと四つん這いで這ってくる。ホント大きな動物だ。しかし……。
一糸まとわぬ褐色肌を全て晒し、くねりくねりと這ってくる様は、まさに褐色の牝豹。こういうポーズ牝豹のポーズとか言うんじゃなかったっけ。うくっ。
エロい。
なんか……AVで見たことあるような……。
のたりのたりと這い歩いてきたリザレオが、よろっと起き上がり、俺に抱きついてこようとして、何かにけつまずいた。
「………あー……」
そのまま肘が崩れ、床にべたーと長々と伸びる。
「……大丈夫か?……?」
低血圧か?リザレオちゃん。朝いつもこんなんか?
俺は長々と伸びたまま、あー、うー、と小さく唸るだけで動かなくなっているリザレオに歩み寄り、その脇を支えて起き上がらせる。
ムニャムニャ何か言ってるが、意味わからん。また目が閉じかけている。
ほっとけばこのまま二度寝に突入しそうだ。
朝弱すぎるでしょ。可愛いけど。
「起きろ、リザレオ。てろてろだけど。この後、あちこち歩いて回りたいんだ」
「……うー……」
俺の声に反応するものの、まだ目が半分開いてない様子。
「マキタぁ……」
力の入ってない腕を伸ばしてくると、俺の首根っこにしがみつき、くったりと俺の胸に倒れ込んでくる。
抱きしめて支えてやると、うにゃうにゃいいながらすりすり身体を擦りつけてくる。一糸纏わぬ裸のまま。昨晩の記憶がフラッシュバックして、一瞬!誘惑に負けそうに!
うっ。
「マキタ……リザレオに勝った……リザレオ……まけちゃった……もう、くたくたになるまで……まだ……リザレオのからだ……まけたまんま……だから……」
ううっ。腕の中でそんなとろりとした瞳で言われるとっ!
「マキタのネワザ……リザレオ……とけちゃった……とけて……マキタにまとわりついて……しみついてる……ずっとだよ……いまも……とけたまんま……」
うううっ。そんなエロいことをっ……ううっ。
くたりと腕の中で蕩けるリザレオは本当に柔らかく、リザレオの言う通り肌身の熱が俺の身体に染みついていくようだ。それがたまらなく心地いい。
うっとりと目を閉じて、余韻に浸るように笑みを浮かべて、リザレオが俺の胸に沁み入るように囁く。
……。
…………ぶふっ。
本気でこのまま二人して床に崩れ、押し倒しちゃろかと。
フィールドワーカー魂!VSリザレオのエロ破壊力! ファィッ!
うおおっ。凄まじい戦いが胸の奥で繰り広げられ、天秤棒は何度もガタガタと左右に揺れまくった。勝敗を決したのはただの小さな石ころのような一事。
また夜は来る。
それは呪文のように効き目があった。少しだけ。
その少しの分で誘惑を退けた俺は、すうはぁと深呼吸をすることに成功し、頭をピンクに染めかけていたもやもやを振り払った。
「ま、また後でなっ。リザレオっ!今は起きるのっ。色々と見たいものがあるんだ」
「……ンー……ん……わかった……けど」
首に回っているリザレオの腕にきゅっと力が籠もった。
「マキタがこんなんした……だから……マキタが面倒見る……そうしなければダメ……いい?やくそく」
「はいはい。やくそくだ……リザレオ」
どうしたってこれからリザレオの助けが必要なのは俺も同じだ。
よろしく頼む。リザレオ。
“やくそく”の印に、ぎゅーとリザレオの細くくびれた腰を抱きしめると、んふふっと小さく笑うリザレオの甘い声が、俺の胸に響いた。
早速面倒を見ることになった。
全然くたりとしたまま復活しないリザレオをやむを得ず横抱きにお姫様だっこで抱えながら部屋を移動する。まだ全裸のまま、と言うのが目の毒だ。うっすらとうふふふと微笑みながら、俺に抱きかかえられて運ばれていくリザレオは楽しそうだった。
「……これ楽ぅ……ふふふっ……マキタ……ずっとこれやって……ふふふ」
「毎朝かよ。しんどいな。ま、いいけど。ここでいいか?」
リザレオが視線で指示した部屋の隅に行くと、小さな焼き土の瓶と木彫りの器。
ほう、興味深い。
こういう所で集落の技術力と生活に関する意識が調査出来る。
リザレオごと座り込み、よいしょ、と降ろすと、俺の胸に寄りかかり腕の中でとろりとしたままのリザレオが瓶を取り、その中身を木彫りの器に移した。
「今日は……リザレオ一人のつもりだったから……いっこしかない……はんぶんあげる……」
ぺたりと女の子座りしたまま、リザレオがくるりと振り返ると、どろっとした液体が注ぎ込まれている器を差し出す。
先に俺にくれるのは気遣いか……しかし……何かわからないなこれ。
「これは……?」
「アルーア。色々混ぜてつくる。朝たべる。げんきでる。はい」
まだ頭回ってないに違いないリザレオのインディアントークを聴きながら、渡された器の中身を観察した。
一応……というか、ちゃんと清潔だな。洗ってある。部屋の様子を見ても、リザレオはきちんと整えるのが好きなようだ。器も伏せてあったし。
文化力は思っているより高い。
それでは遠慮なく。
どろりとした液体は甘い香りを放っている。まずは一口。
うん。果実を潰して混ぜ合わせたような。………スムージー?
味から果実の種類が想像しきれないが、なんとなくミルク風の味わいも混ざっている。
牛も山羊もいなかったはずだが……これも果実なのか?アボガド的な。
うん。もう一口。うまい。確かに朝にはいい。
「もう……ぜんぶ飲んじゃダメ……リザレオにも……あー」
ぱくりと口を開けて、雛鳥のように待つリザレオ。
……また、そう言うエロいことをっ!
その口に器を傾けて流し込んでやる。んー?!とリザレオの不満そうな喉声。
でも、すぐに味の方に気が移ったのか、器を手に取り、こくこくと呑み干していく。
「……はぁ……めーさめる……オイシイ……マキタも?オイシイ?……」
「ん。これは予想外。リザレオ、やるなあ……いいものだな。これ」
「んふふふ……リザレオつくった……またつくってあげるね……ふふふ」
満足げに器を持ったまま、にっこーと微笑むリザレオはもう、ホントにもう。
はぁ。こんなトコでこんな状況とは。はぁ。
帰れなくなりそう。
「さ、リザレオ。風呂とかないのか? 温かくなくてもいいけど」
「……カラダ洗う?……なら、河がある……みんな色々洗うトコロ……マキタ行きたいか?」
「ああ……汗流してさっぱりしたいね。リザレオもさっぱりしなさい」
「ん……マキタ、リザレオに汗かかせすぎ……もう」
さりげなくエロい発言もあったが、この程度はスルーだ。
「どこで、みんなは身体洗ってるんだ?」
「……まって……よういするから……うー……リザレオの服……どこー?……マキタぁ……」
部屋の隅に「……あー……」とか言いながら半分寝ぼけたまま這いずっていくリザレオのまんまるの尻がくねりくねりと揺れ、胸に吊り下がってもあまり形を変えないご立派おっぱいもふるふると揺れる。
大変目の毒だっ!
いや最大の眼福!にして俺にとっては理性クラッシャー!
いやもうこんなん……ホントに!一日中ベッドから出れなくなるじゃん!
心を強く持て!俺っ!
たぶんリザレオもイヤとは言わないだろうなと思えるところがマズい。
いや、ホントにマズい……。
はぁ……俺はもう朝だけで何度目か、という深呼吸を繰り返した。
深呼吸。深呼吸。ひっひっふー。
大丈夫だ。夜はまた来る。ほっといても来る。
今しか出来ないことをまず。
あえて、一糸も纏わないリザレオから目をそらし、心を他に逸らす。
素裸でいることがあまりにも自然なリザレオは、その俺の様子を不思議そうに首を傾げ、きょとんと眺めていた。
短めで毎日更新に近くなるよう、掲載していく予定。
もうこの作品完成してるしね。
乞うご期待。




