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一体契約のテイマーと十三番窓口〜眠そうな学園生は、裏で魔物案件を片付ける〜  作者: じぇいじぇい


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幕間 登場人物紹介・その三

お読みいただきありがとうございます。


一年の終わりに、恒例(三回目です)の紹介の幕間です。


本編は次回から、春に入ります。ネタバレは控えめですが、第39話までお読みの後をおすすめします。


◇ 窓口の顔ぶれ・続き


【リッツ・カーヴァン】 七番(登場:第18話)

 前回「まだ本編に登場していない」と書いた七番である。ようやく出た。表の顔は錠前と時計の工房主、神殿や財団の結界の保守も請け負う堅気の職人。裏の顔は開かない扉を開ける人。

 相棒は歌う影のリラ。闇に棲む無形の魔物で、声だけが実体である。リラの歌に合わせてリッツが編む「音の壁」は、音も衝撃も外に漏らさない。夜の仕事には、欠かせない道具である。金のかかった錠ほど作りが素直、というのが本人の持論。

 最近、防犯用の試作品で一つ、盗み聞きをやらかした。罰は来月、裏方の手伝いである。


【オルフェ・アシュレイ】 三番(登場:第30話)

 灰色の長衣にフード、低い静かな声。性別も年齢も、本人に聞いても教えてくれない。王都の人気調香師にして灰の魔女。「香りは着るものじゃない。にじむものだ」。

 この人の店の煙が苦手な坊やが一人いて、本人は「鼻のせいじゃないだろう」と言っている。

 年の終わりの夜には、煙の出ない香を一滴、帳場の灯りに置いていった。


【白紙の司書】 九番(登場:第28〜29話)

 学園の人からは「白紙先生」と呼ばれている。静かなことが好きで、静かなことを願い、静かなことのために、静かでないことを一度だけした。

 その代償が何だったかは、本編をどうぞ。


【あかり】(登場:第39話)

 帳場の、新しい住人。掌に載るほどの、ぼんやりと人の形をした光の妖精である。特殊型。体は小さいが魔力は大型の魔物三、四頭分。並のテイマーは、糸を近づけただけで弾かれる。

 悪い人間に「あたたかいところをやる」と騙されて、装置の使い捨ての動力にされかけた。今は帳場の燭台の隣が寝床で、帳面には「預かり」と書かれている。名前はネムが付けた。赤い帽子はシェラが作った。灯りを食う。

 怒ると閃光が出る。手すりが砕ける程度の。


◇ 学園の新顔と、街の顔


【テッサ・ロックウェル】(登場:第21話)

 魔導工学科の一年。ゴーグルと工具鞄と早口。町の修理屋の娘で、相棒は犬ほどの作業ゴーレム、ドド。

 湖の遺跡で覆面のテイマーの糸を見て以来、王都で一番熱心な「覆面くん」の研究者になった。研究記録は分厚い。詮索はしない、と誓約した。誓約は守っている。

 この冬、工人展の学生枠に王都全体で三人だけ選ばれ、特別賞を取った。王都の名工の名簿に、一年生の名前が載ったのは十数年ぶりだそうである。

 最近、ずっと上機嫌である。理由は誰も知らない。


【ロドガー・ラティス】(登場:第4話・第38話)

 セナの父。ラティス運送の主。大柄で日焼けして、声は大きいが荒くはない。荷獣を、声も糸もなしに、手の合図一つで動かす人である。

 工人展の指定運送を務め、娘の連れてきた若いのを「荷は丁寧に、朝は弱い、だな」で採用した。評は「いい若いのだった」。それ以上は言わない人である。


【エドガー】(登場:第32話)

 この国の、一番偉い人。ただし帳場に来る時は、町人の変装をしている。変装は絶望的に下手である。革張りの長靴が、毎回はみ出している。

 帳場の主とは、ずいぶん古い付き合いらしい。二人きりの時は「お前」呼びで、茶を飲んで帰る。何を知っていて、何を知らないのかは、まだ誰も知らない。


◇ 依頼で出会った人々と、山の主たち


【クレールの村と、湖の主】(登場:第21〜22話)

 干ばつで湖が消え、湖底から遺跡が出た村。遺跡の主は千年もののエルダートルだった。水は戻り、村は「灯り流し」の祭りを盛大に復活させた。主は水の底から、千年ぶりに、空一面の星が降りてくる夜を見た。

 曰く「また、水を見に来い」。


【銀霧狐の親子】(登場:第19話)

 密猟団から押収された、銀の毛並みの母狐と仔狐。六日かけて信頼を結び、北の霧谷へ帰った。移送の夜、母狐は霧を織って共に戦った。

 空の配達の帰り道、霧谷の方角に、燐光がひとつ瞬いたそうである。


【マキアス翁と、ゼノと、ノワール】(登場:第20話・第32話・第35話)

 アルバ竜技団の座長と、その相棒の飛竜と、その弟子の若い黒竜。翁は「事情は、聞かねえよ」の人。ゼノは五十年もののベテランで、王都の空で一番顔の売れた竜。降りると子供が沸き、空で弾ければ花火と間違われる。

 ノワールは十歳にならない若手で、力むと右に流れる癖があった。過去形である。曰く「仕事が、なくてもだ」。


【国境の村の猟師と、見極めの魔物】(登場:第31話・第35話)

 怯えて暴れる魔物を、狩らずに帰した村。覆面のテイマーは「いつかの、覆面のテイマーさん」として、村で覚えられている。

 帰した魔物は、魔物領域の際の水場に居着いた。仲間が二頭、増えたと、渡りの鳥が運んできた。


【野生のグランリンクス】(登場:第33話)

 山向こうの狩人の矢を肩に受けたまま、山を越えてきた大山猫。ある山道で二人の学生が矢を抜き、手当てをして山へ帰した。

 曰く「借りは、覚えておく」。獣界の噂には、もう乗っているらしい。


【リュート座】(登場:第37話)

 王都で一番札の取れない劇団。座長はあの六番である。演目『ともしび』は、観た人がみんな様子がおかしくなるくらい泣く。

 座長は客席の全部を三階の袖から読む。盗み聞きの道具を持ち込んだ三人組は、開演前から丸見えだったそうである。


◇ 敵側(控えめに)


【白庭商会】(名前がついたのは:第28話)

 帳場机の赤い糸の地図が、一つの名前に束ねられた。ルヴィナに本店を置く、香料と薬草の大店。金を出している先が、王都にいくつかある。

 ここから先は、本編で。


【エルム・シラード】(近況)

 前回「本当にそれだけの人なのかどうかは、まだ誰も知らない」と書いた人。今は少し分かってきた。

 分かってきた上で、この冬、帳場の客用の椅子に座り、正式な依頼を置いていった。互いに知っていて、互いに知らない顔をする商談だった。去り際に「良い帳場だ」と褒めた。褒め言葉がこんなに嬉しくない朝も、珍しい。

 値札の裏に直した場所を書く店を、大事になさい、とも言った。それは本当だった。


【オズワルド】(登場:第38〜39話)

 印象に残らない服、印象に残らない顔。台の脚を指で弾いて音を聞く癖がある。腕は一流で、性格は最悪だと、ある娘が言っている。

 この冬、手の甲に赤い跡が一つ増えた。名前は、本人ではなく別の人の口から出た。


【バロウ・ハーツ】(登場:第14話・第29話)

 前回「塀の外の大男」と書いた発掘屋、名前が分かった。祭りの夜に、二番と正面からやり合って、崩されて喜んでいた。

 負け方に愛嬌のある男である。現場で人を死なせないことだけは、譲らないらしい。


◇ 獣たち・近況


【ドド】 テッサの相棒の作業ゴーレム。犬ほどの大きさで、掘る、運ぶ。魔物ではないので、糸は通らない。廊下で人にぶつかる。

【ノル】 セナの、十一匹目候補。黒い猫型、月色の目、夜目が利く。毛糸玉を転がして居間を蜘蛛の巣にした前科がある。

【フワ】 セナの毛玉鳥。湯たんぽ業は今年も繁忙期。劇場と工人展は、お留守番だった。

【ガルフ】 ダリオの牙狼。艶は戻ったまま。

【ラーゴ】 ルーメル本邸の池で健在。水鉄砲の被弾記録は、更新なし。


◇ おなじみの面々・近況


【セナ・ラティス】 編み物は、しないらしい。鞄から毛糸玉が覗いていたのは、見間違いだそうである。

【カイル・レオンハート】 ある山で、剣を納めて、座った。その話を本人は盛って語るが、剣を納めたことだけは、一度も語らない。

【クラリス・ルーメル】 口癖は「バイトも、ほどほどにね」から「慣れて、いらっしゃるから」に進化した。言いかけて、止める。

【エリアナ・ローウェン】 仮面の夜会の給仕を、見つけた。見つけた上で、ゆっくり確かめて差し上げるつもりでいる。家令の勘が、先行している。

【ダリオ・ヴェッセル】 当たりの強さは相変わらず。中身は、もう少し変わった。

【ネイト・ボーグル】 携帯鍋を持って冬を越す。規則には「火気に注意」とあるので、注意している。

【トト】 冬毛特集号を持ち歩いている。昼を一緒に食べる友人は、五人になった。

【グラント・ヴェイル】 帳面は今日も几帳面である。近ごろ、棚の奥の帳面が、一冊から二冊に増えたらしい。

【リオ・アルクス】 バイト先は王都の三大優良職場の一つだと判明した。給料は、学生割引である。まかないは、四杯までになった。


◇ 恒例・怒らせてはいけない番付(新顔の部)


 第三位、ロドガー・ラティス。手の合図一つで荷獣が動く。娘の連れてきた若いのも、たぶん動く。

 第二位、シェラ・リュート。人の客席で商売道具を試した者に、千人分の座布団叩きを命じた。

 第一位、あかり。掌に載る大きさで、大型三、四頭分。怒ると、石の手すりが砕ける。今は帳場の灯りの隣で、鍋の蝋燭を食べている。

 なお審査員特別枠として「ラティス家の母の盛り付け」が殿堂入りした。慈悲がないためである。


 以上、第三回のご紹介でした。

 一年が終わろうとしている。王都の日常は今日も眠たく、窓口は今夜も開いている。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


次回から、春のお話です。


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