表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/13

第5話 ~入れ替わりの夜~ 当日

土曜日の夕方。あかりの両親が出かけるという日が、ついにやってきた。

悠斗2号は午後5時過ぎに「あかりの家に行く」と言い残し、家を出た。

本物の悠斗は、バックパックに最低限の着替えとスマホを詰め、2号より少し遅れて同じ場所に向かった。

あかりの家は、閑静な住宅街の一軒家だった。

2号が事前に送ってくれた位置情報に従い、悠斗は裏口から忍び込み、2階の客間に隠れた。

ドアを少しだけ開け、廊下の様子をうかがう。

心臓の音がうるさい。あかりの部屋からは、すでに楽しげな声が聞こえていた。

「悠斗くん、今日はゆっくりしていってね。両親、夜遅くまで帰ってこないから」

「うん。ありがとう、あかり」2号の声は完璧に優しく、自然だった。

悠斗は唇を噛んだ。あの声で話す自分が、なんだか他人事のように感じる。

二人はあかりの部屋に入り、ドアが閉まった。

悠斗は客間のベッドに腰を下ろし、息を潜めて待った。

スマホの画面で時間を確認する。

計画では「いいムードになったら2号が合図を送る」ことになっていた。

部屋の中では、時間がゆっくり流れていた。

あかりと2号はベッドに並んで座り、最初は照れながら他愛ない話をしていた。

学校のこと、文化祭の思い出、サッカー部の話。

やがてあかりが2号の手に自分の手を重ね、2号が自然に彼女の肩を抱き寄せた。

「悠斗くん……好き」

「あかり、俺も」キスが始まった。

最初は優しく、触れるだけのキス。

次第に深くなり、息が混じり合う。

2号の手があかりの背中をゆっくり撫で、あかりも2号の胸に手を当てて体を預けた。

愛撫は自然にエスカレートしていった。

2号はあかりの制服のボタンを一つずつ外し、露わになった白い肌に唇を寄せた。

あかりの小さな吐息が部屋に響く。

2号の指が彼女の太ももを優しくなぞり、あかりは恥ずかしそうに体をくねらせながらも、2号の首に腕を回した。

「ん……悠斗くん、優しい……」

2号の動きは完璧だった。

悠斗がプログラミングした「理想の優しさ」と、最近身につけた本物の感情が混ざり合い

あかりを心地よく溶かしていく。

約30分後。あかりが息を弾ませながら、2号の耳元で囁いた。

「……シャワー、浴びてくるね。待ってて」

「ああ、俺も後で浴びるよ」あかりが部屋を出て、バスルームに向かう足音が聞こえた。

その直後、2号が客間のドアをそっと開けた。

「悠斗、今です」

本物の悠斗は喉がからからだった。

足が少し震えている。

「本当に……やるのか?」

「はい。あかりがシャワーを浴びている間に、私と入れ替わります。シャワーを終えて部屋に戻ってきたら、そこから先は……悠斗が」

2号は着ていた服を素早く脱ぎ、悠斗に手渡した。悠斗も自分の服を脱ぎ、2号に渡す。二人は一瞬、同じ裸の姿で向き合った。

同じ顔、同じ体格。でも、股間の部分だけが決定的に違っていた。

2号は滑らかなプラスチックとシリコンの平らな表面。

本物の悠斗は、すでに緊張で少し反応している。

「急いでください。あかりが戻ってきます」

悠斗は深呼吸し、2号の服を着た。

髪も簡単に整える。

2号は客間で息をひそめる。

「頼みました。優しく……あかりを、傷つけないでください」

悠斗は頷くしかなかった。声が出ない。

あかりの部屋に戻り、ベッドに横になる。

シーツはまだ二人の体温が残っていて、甘い匂いがした。

心臓が爆発しそうだった。

バスルームからシャワーの音が止まった。

数分後、ドアが開く音。

あかりが部屋に戻ってきた。

頰が少し赤い。バスタオルを巻いた姿で、濡れた毛先が肩に張り付いている。「悠斗くん……待った?」

悠斗は喉を鳴らして、なんとか声を絞り出した。

2号の真似をして、できるだけ優しく。

「……ああ。来て」声は震えていた。

あかりが微笑み、ベッドに近づいてくる。

悠斗は布団の中で拳を握りしめた。(誰にでも初めてはある……か)

今まさに、その「初めて」が始まろうとしていた。

あかりがバスタオルを解きながら、悠斗の上に体を重ねてくる。

甘い、温かい、柔らかい感触。

本物の悠斗の、初めての夜が、静かに幕を開けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ