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136 それって、日本十進分類法じゃん

「不正の温床であった貴族院の力を削ぐことは出来たが、それでも男である余には公爵家という立場は重すぎる。 そもそも男の本懐は愛する女性に尽くす事。男は幼少期より、“家にあっては母に従い、婿に入っては妻に従い、老いては娘に従え”と教えられておる。 男が大きな組織の頂点に立って御館様達に指図するなど有り得ぬ。」

あれ?

とこかで聞いたような言い回し。

“女3従の教え”の男版?

これって絶対に転生者が絡んでるよな。

「はあ。」

「男である余ですら、光属性という事だけで公爵家を継ぐことが出来た。 余は、もしも妹達の誰かが光属性の女子を生めば、公爵家を受け継ぐことに皆が納得すると思っておる。 余も安心して公爵家を任せる事が出来る。」

「公爵を引退するの?」

「まだまだ先の話ではあるが、ベルンの経営だけでも、余1人ではどうにもならぬ。 東部地域全体に目を配るなど出来よう筈がない。 妹2人に手伝って貰いながら、光属性の女子が生れるまで頑張ろうとは思っておる。」

どうやらこの世界は女性中心社会なので、男が出来る事には制限があるらしい。



「でも、光属性の子供が生まれる事って少ないんでしょ?」

「初代ベルン王は光属性であった。 余は先祖返りで光属性を受け継げたが、妹達も公爵家の1員である以上、確実に光属性の血を受け継いでおる。 ショータとの間に子をなせば光属性の子となる可能性が高い。」

「そうなの?」

「今までの勇者とは違って、ショータの属性は光属性のみ。 子は親の属性のどれかを受け継ぐ。 ショータの子が光属性を受け継ぐ可能性は、今迄のどの勇者よりも高いというのが魔術師達の意見である。」

「そうなんだ。」

俺には良く判らないけど、魔法のプロが言うならそうなんだろう。

「ショータは我が友。 妹達がショータの子を授かればこれ程嬉しい事は無い。」

「そうなの?」

「今年からバルンの婿3人が代官統括として直轄領支配を手助けしてくれてはおるが、いかんせん婿達はまだ若い。 皆苦労しておるようじゃ。」

「バルン様にはお婿さんがいるんだ。」

お婿さんがいるのに俺と子づくりしていいのか?

いや、この世界では女性が血筋を伝えるから、誰の種でも問題は無いんだった。

「ビルンも今年から婿選びに入っておる。 ビルンの婿達が公爵家の職務を補佐するようになれば、余も少しは余裕が出来て、もっと良い政治が出来る。 ショータの子が公爵家を継ぐまでベルンを守る事が出来よう。」

「・・・・。」

難しい事は判らん。



「兄上はベルンの街が好きなの。 兄上の為にも、ショータ殿に子供を授けて頂きたいのよ。」

バルンさんが俺の目を真っ直ぐに見た。

本気らしい。

「バルンはこの秋から子づくりに入る。」

「そうなんだ。」

「バルンの最初の子づくりは、是非ともショータに頼みたい。 引き受けてくれるな。」

お婿さんが3人いるのに最初の子が俺の子で良いの?

「光属性の子が欲しいのは判ったけど、最初の子供はお婿さんと作るのが筋じゃないの?」

何で最初の子づくりが俺なんだ?

「もしも最初の子が光属性の女の子であれば、将来の御館様候補として申し分のない立場となる。 ベルン家の血筋である事が大切な事であって、父親は誰であろうと問題は無い。 大切なのは、1刻も早く光属性の子を授かる事じゃ。」

「・・・・。」

「婿達からも是非にと頼まれておる。 何と言ってもショータはお籠りの儀で3人の御館様を見事受胎させた子づくり名人じゃからな。」

あちゃ~。

3人の御館様を受胎させたことは公爵にもバレているらしい。

まあ子づくり昼食会の後援者になったんだから、それ位は知っていて当たり前か。



「本日のお茶会にはナオール家のソレニ殿にも招待状を送ったが、ショータの子を妊娠中なので万全を期すために外出は控えると断られた。 ショータの子を身籠った3家は厳戒態勢を敷いておるそうじゃ。 貴族家の1門だけでなく、領民達も皆出産の日を心待ちにしておるそうじゃ。」

初めて聞いて驚いた。それが事実なら大変だ。

早速調べて善処する、って昔の政治家かよ。

「光属性で無かったらがっかりされそうだね。」

「そんな事は無い。 孫やひ孫が光属性になる可能性がある。 ベルンの英雄であるショータの子を授かったと言うだけで皆は大喜びじゃ。」

「そうなんだ。」

「引き受けてくれるな。」

そこまで言われたら断れない。

「うん。」

「子種料はどれ程払えば良い?」

「・・・子づくりに成功したら、白金貨50枚を孤児院に寄付して。」

「子づくり昼食会の後援費と同じという事か。」

「俺はお金を貰って子づくりするのは嫌だから。」

「承知した。」



昼食会が終わると、待ちに待った書庫。

側近さんに宮殿の奥にある書庫に案内された。

重そうな分厚い扉の奥に公爵家の書庫があった。

入り口横にカウンターがあって、その奥に3人の女性が居た。

「書庫統括のブークで御座います。 助手の2人と共に書庫の管理、蔵書の購入などを担当しております。 お探しの分野や内容をおっしゃって頂けば、ご案内出来ます。」

側近さんが紹介してくれた。

「ブークで御座います。 まずは書庫をご案内させて頂きます。」

「ここにある書籍は、総記・哲学・歴史・社会科学・自然科学・技術・産業・芸術・言語・文学の10分野に分類されております。」

それって、日本十進分類法じゃん。

ブークさんの案内で書庫を見て回った。

「光属性についての本はどの分類になるのですか?」

「属性に関する書籍は3分野の社会科学なのか4分野の自然科学なのかで今でも議論が続いておりますが、ベルンでは4分野の自然科学に纏めております。 勇者に関しては2分野の歴史や9分野の文学にも関連書籍が御座います。」

ブークさんに分野別の棚を案内して貰う。



“儂はこのまま書庫に居るぞ”

レイから念話が来た。

“はぁあ?”

”隠蔽を使えば気配を消せる。 光学迷彩のマントがあるので姿も消せる。 問題は無い“

“もしも見つかったらどうするの?”

“転移で収納に戻れる。 何か急用が起った時には送還を唱えよ。 送還はショータから離れた所におっても使えるから、儂はすぐ収納に戻される”

“判った。何かあったら念話してね”

レイが収納を出て、俺から離れて行った。

俺には辛うじて判るが、ブークさんが気付いた様子は無い。

大丈夫そう。

「そろそろお茶会の御仕度をするお時間で御座います。」

側近さんが声を掛けて来た。

「ええっ!」

書庫に入ってから10分も経ってないぞ。

「お茶会が終わりましたら、またご案内致しますので御辛抱願います。」

「はぁ。」

溜息しか出ない。


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