100 短時間の軽作業、衣食住無料、高給即日払い
我寝少鍛3ヵ月、カキカキするエネルギーとなる脂肪をたっぷりとお腹に溜め、万全の体型?で投稿再開に臨む事が出来ました。
Japan is back.
間違えた。
頼運 is back。
頼運は背中です。
決してお腹を見てはいけません。
漸く暖かくなって来たので、運動する機会が増えて、頼運のお腹もスリムになる筈、・・かな?
唯一の気がかりは、我こそが免独斎頼運という事。
果たしてめんどくさい運動をするかについては、本人が一番疑っているのかもしれません。
ポチポチと投稿を続けますので、思い出した時にアクセスして頂ければ幸いです。
頼運
この世界にやってきて1年半が過ぎた。
相変わらずギルドの治療室で回復師として働き、空き時間には剣や魔法の訓練をしている。
もっとも回復師として働いているのは、夕方の2~3時間だけ。
それでも収入は毎日銀貨50枚程、前世の貨幣価値なら毎日5万円。
部屋代や食事代だけでなく、服も買ってくれたし図書館の利用料もギルドが払ってくれる。貰った給料は丸々貯金出来るという、有り得ない程の超優良職場。
短時間の軽作業、衣食住無料、高給即日払い。
何処の闇バイトだよ、と疑いたくなる程の好待遇。
いや、あまりにも好条件過ぎて、闇バイトでも有り得ないか。
攻撃力が全く無いモブ間違い無しの俺が、異世界で1年半生き残れただけでも奇跡なのに、今は貯金が毎日着々と増えている。
このままの生活が続けば、若いうちに自分の治療院を建て、のんびりした引退生活が送れそうだと喜んでいた。
幸せな生活を送っていた俺にクレームを付けたのは、この街の領主である公爵家。
“少年を休みなしに働かせるのは如何なものか”とギルドに申し入れて来た。
俺にとっては、性典のヘキレキ、寝耳にミミズ。
ビックリマンチョコの悪魔VS天使。
新シリーズの発売なんて、聞いてなかったぞ。
それはさて置き、治癒師は日雇いの出来高払いなので、休みが多ければその分収入が減る。
前世で言えば、風俗で働くお姉さん?
何日出勤出来るか、何人相手を出来るかで給料が決まる。
出勤すれば、2~3時間の勤務で4~5万円の給料を貰えるのは、高級ソープ並み?
高級ソープで働くお姉さんの給料が幾らかは知らんけど。
一応軽傷コースと重傷コースという2つコースを事前に選べるのも風俗と同じ?
知らんけど。
ともあれ、素寒貧で異世界に来た俺にとっては、仕事が楽で拘束時間が少ないのに、毎日高額の日銭を貰えるギルドの治療室は天国の様な職場だった。
こんな好待遇で良いのか、ギルドの治療室?
自分でもちょっと後ろ暗く思っていた時だっただけに、公爵家の申し入れにはビビった。
公爵家の申し入れ通りに休みを増やせば、俺の出勤日が減る。
折角来てくれたのに俺がいないとなれば、馴染のお客さんにも迷惑が掛かる。
いや、治療院の馴染になっちゃダメだろ。
怪我をしない様に努力しろよ。
それはともかくとして、仕事を休むのだから、休む日の宿泊料と食事代は払わなければならない筈。
収入が減るのに支出が増えるのは痛い。
老後に備えて貯めている治療院資金にも差し障りが出る。
恐らく今回なされた休日の提案は、俺の収入を減らそうとする公爵家の嫌がらせなのだろう。
公爵家は今迄にも色々な嫌がらせをして来た。
その結果、闇のナーベ殲滅の件でベルン宮殿に行った時は、公爵自身が頭を下げて俺への不当な扱いを謝った。
公爵自身は間違ったら謝るという常識を弁えていたらしいが、それを見ていた家臣達は驚きと共に俺を殺しそうな程憎しみの籠った目で睨んでいた。
東部地域は帝国に併合される前はベルン王国という独立国。
ベルン家はベルン王国の王家であって、絶対不可侵の権力を持つ最高の家柄だった。
帝国に併合されたとはいえ、帝国との盟約によって、東部地域においては今でも王家だった時とほぼ同じ権力を保持している。
やんごとなきお方が平民の冒険者風情に頭を下げるという事は、家臣達にとっては有り得ないと言うよりも、絶対に有ってはならない事だったらしい。
公爵家に忠実な家臣達の憤りが公爵に向く事は絶対に無い。
必然的に家臣達の憤まんは、公爵に頭を下げさせた俺に向いた。
公爵の手前、表向きは俺が帰るまで客人対応をしていたが、家臣も使用人も俺が見えなくなるまで嶮しい目を向けていたのを俺は知っている。
公爵が何とも思わなくとも、周りを取り巻く家臣達が俺に憎しみを抱いていれば、公爵家としての動きが俺に敵対的になるのは当然の事。
公爵自身の思惑は判らないが、年金支給の申し出も、俺を戦場に送って殺そうとする目的で実務担当の家臣が打った布石という可能性が高かった。
公爵家から伝えられた休日取得の提案により、俺は老後資金が大幅に減ってしまうという大ピンチに見舞われた。
「治療室に駐在する治癒師は、2日治療すれば宿泊と食事が1週間無料になる。」
「えっ、そうなの?」
熊の説明に驚きながらも、ホッと胸を撫ぜ降ろす。
治療室で仕事をしない日の宿泊費や食費は、自己負担とばかり思っていた。
特に今の部屋はお貴族様用の広く豪華な部屋、部屋代はめっちゃ高い筈なので助かった。
「聞いてなかったんだけど。」
めっちゃ嬉しかったけど、俺に黙っていた事には文句を言った。
ここで喜んだら、何となく熊の掌で転がされたような気がしたから。
「そうだったかぁ? 説明し忘れた、・・かもしれんなぁ。」
あさっての方向を見て言う熊は絶対に確信犯。
「だがギルド規定には、仕事を休んだ日にも宿と食事を無料で提供されると書かれているだけで、休みなしで働いてはならないとは書いてないぞ。」
俺に休みを与えなくても、熊が規定に反して俺を働かせた訳では無いと開き直った。
休みが欲しいなんてこれっぽっちも思ってないけど、俺にわざと知らせなかった熊には腹が立つ。
思い切り熊を睨み付けた。
「ショータが睨んでも可愛いだけだ、ガハハハハハ。」
1笑に付された。
ぐぬぬ。
宿舎と食事の無料提供が休日にも適用されるなら、収入は減るものの経済的な大ピンチとはならない。
週に4日働けば、週給20万。
1カ月は5週間なので、月給100万円。
部屋代も食事代も無料なので丸々貯金出来る。
改めて考えてみたら、命懸けで魔獣と戦っている冒険者よりも収入が多いかもしれない。
回復師、高収入過ぎちゃう?
夕方だけの2~3時間しか仕事をしないのだから、夕刊だけの新聞配達と同じ?
それで毎日4~5万の日銭が入って来る。
いわゆる、“3日やったら辞められない“美味しい仕事。
そう言えば、檀家の減少でお坊さんも生活が苦しくなっているらしい。
乞食に至っては、日本では見た事も無い。
前世の“3日やったら辞められない“仕事は、絶滅危惧種なのかも知れない。
俺にとっては美味しい仕事だが、普通の治癒師にしたら結構厳しい仕事らしい。
治癒師は4~5人に治癒魔法を掛けると魔力が枯渇するし、体力も消耗する。
それなのに、ギルドの治療室は民間の10分の1という低料金。
魔力の限界まで頑張って4~5人を治療しても、ギルドから貰えるのは金貨1枚前後、前世なら1万円程にしかならない。
ベルンの街だと、金貨1枚は1日の宿泊費と食費で消えてしまう額。
そんな給料だと、治癒師はすぐに干上がってしまう。
その上、治癒魔法は魔力だけでなく、体力と精神力をも消耗させる。
魔力は一晩眠れば回復するが、体力と精神力は一晩では戻らないから、週に2~3日の休養日が必要らしい。
そんな事情で、治療費が安い分を補填する為に、休日分も含めてギルドが宿泊費と食費を負担する制度が出来たと熊が言っていた。
俺の場合はどれだけ回復魔法を使っても魔力が枯渇した事は無いし、余程の重傷で無ければ疲れを感じる事も無い。
レイは治癒魔法と回復魔法は根本的に違うのだろうと言っている。
俺には未だに違いが判らない。
違いの判る男になれるのは、まだまだ先の事らしい。
治療室に来る怪我人は毎日20人程度。
俺なら全員を治療できるから、毎日4~5万円の収入がある。
4~5人で魔力が枯渇してしまう治癒師と同じ待遇なのが申し訳ないと改めて思った。




