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パーフェクト・ナンバー  作者: なつ
第四章 祭りの夜
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 4

「……ええ、ですから、わたくしが一番最初に、妙さまの部屋に駆け込みまして、その、そのお姿を見てしまいましたので」

「悲鳴を上げた、と」

「はい、そうです」

「どうして妙の部屋に駆け込んだのだ?」

「銃声がどこから聞こえたのか分かりませんでしたが、わたくしがこの廊下に来ますと、妙さまの部屋の戸が開いていたのです」

「なるほどな、それで中へ入ると」

「妙さまが、銃で撃たれて、部屋は血だらけでした」

「もしかして今も?」

 甲斐雪人はちょうど案内された部屋の前に立ち、そこで止まる。

「いいえ、もうきれいにしてありますよ」

 そういいながら木林さゆりは、その扉を手前に開けた。その先に見えたのは普通の、いや、普通より少し広めの部屋だ。ちょうど正面には窓があり、白色のカーテンがかかっている。その手前にベッドがあり、床にはマットとガラスのテーブル。いくつかのタンスがあり、一角に大きな姿見がある。

「どこにどう倒れていたのだ?」

「ちょうど、姿見の前に」

 篠塚桃花はそのまま部屋に入ると、躊躇することなくその姿見の前に立った。篠塚よりもかなり大きな姿見には、甲斐が立っているところからも全身が映っているのが分かる。それから篠塚は数歩ずつ部屋を動き回り、最後にベッドの上に立った。そして小さく、なるほどな、とつぶやく。

「何か分かったの?」

「お腹が空いた」

「は?」

 ぽんとそこから飛び降りると、そのまま入り口に戻ってきて、木林さゆりを見上げる。

「それではどうぞこちらに」

「うむ」

 甲斐たちが部屋を出ると、さゆりは妙の部屋を閉め、それから廊下を先頭に立って歩き始める。甲斐と篠塚はさゆりについて歩いてゆき、階段を下りる。どうやら昨日夕食を食べたところへ向かっているようだ。

「ところで、お前は昨日居なかったようだが、どこかへ行っていたのか?」

「わたくしですか? 昨日は非番でしたので、離れにいましたよ」

「離れなんてあるの?」

 甲斐は驚いて声を出す。

「はい。庭の隅にですけれど、わたくしは母とそこに住んでいます。それでも、普通の家くらいの大きさがあるんですよ。わたくしなんかにはもったいないほどの」

「では昨日の事件を知っているか?」

「はい。昨日警察から伺いました。どうぞ、こちらに用意がされていますので」

 さゆりはそういうと前の戸を開けた。

「あら、隆志さま、珠さま、おはようございます」

「木林さんおはよう、あ、甲斐もやっと起きたじゃないか」

 低いテーブルには朝食としてパンが置いてあり、ちょうど神田隆志、神田妙がそろってそのパンを食べていた。

「やーん、今日も桃ちゃん可愛い。こっちに来て!」

 珠は立ち上がると篠塚の手をとった。抱きしめないあたり、遠慮しているのかもしれない。甲斐はそのまま隆志の隣に座る。

「では、わたくしはお掃除に戻りますので」

 お辞儀をすると、さゆりは部屋の戸を閉めて出て行った。しばらく待っていると、今度は木林真雪が皿にトーストを載せて入ってきた。甲斐がおはようございます、と挨拶をすると、一度だけ真雪は頭を下げる。

「お二人とも卵は大丈夫ですか? 卵焼きを今作っていますが」

「僕は大丈夫です」

 甲斐は篠塚を見る。

「わたしも好物だ。砂糖をたっぷり入れて甘くしてくれ」

「はい、かしこまりました」

「もも、砂糖なんて入れるのか?」

「そうだ、おいしいぞ」

「じゃあわたしも」

 と、珠が手を上げる。もう一度真雪はお辞儀をすると、台所へと戻っていった。



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