恋する少女
The other view
輝く金色の髪。
優雅な立ち振る舞い。
可愛らしい顔立ち。
それが、周囲の人々から見た私への評価だった。
黎思妙。
他人の目に映る私は、まるで本物のお姫様。
そして、人生の勝ち組。
整った顔立ち。
完璧と言われるスタイル。
さらに、上場企業の社長令嬢。
そんな私の人生に、最近また一つの出来事が加わった。
同じく完璧と言えるほどの少年――柳河川から、告白されたこと。
付き合い始めて、まだ一日。
それなのに。
その噂はまるでウイルスのように、瞬く間に学校中へ広がっていった。
教室の席に座りながら、女友達からの祝福の言葉を聞く。
そして昼休みには、柳くんと一緒に食事をしながら、少し甘い雰囲気の会話を交わす。
誰から見ても、幸せな光景。
……でも。
柳河川と一緒に歩いていても。
私がずっと考えていたのは――
別の誰かだった。
私の思考の半分を占領している人。
彼――郭錫。
どこにでもいる、普通の高校生。
普通の容姿。
普通の成績。
普通の運動能力。
どう考えても、私の好みとはかけ離れている。
それなのに。
それでも彼は、柳先輩を超えていた。
私の人生で、決して忘れることのできない。
初恋の人であり――
元恋人。
昨日、別れを告げた時。
彼の寂しそうな姿が、今でも頭から離れない。
まるで何か大切なものを失ったような表情。
彼は窓辺に寄りかかっていた。
きっと、私には見られたくなかったのだと思う。
でも。
私は一瞬だけ、その姿を見てしまった。
彼が店を出た後。
私は慌てて会計を済ませ、その場を離れた。
そして昼休み。
彼は私のために飲み物を買ってくれた。
しかも。
私が一番好きな、桃味。
……自意識過剰なのかもしれない。
ただ彼が優しすぎるだけなのかもしれない。
それでも。
私の心は、ひどく歪んでいた。
罪悪感でいっぱいだった。
私は、彼と付き合っていた頃の好みを思い出しながら、お菓子を買った。
そして彼の机の中いっぱいに詰め込んだ。
でも。
彼はそれを避けた。
以前なら。
私が作った料理を、あんなにも嬉しそうに食べてくれたのに。
「トマトって、本当に美味しいよね」
そんなことを言いながら。
彼は、私の手のケアをいつも気にしてくれていた。
そして去年のクリスマス。
高価な手袋をプレゼントしてくれた。
私はそれを身につけて、何度も指先で触れていた。
人混みの中。
街には色とりどりのイルミネーションが飾られていた。
隣を歩く彼の横顔を見ながら。
私は心の底から笑っていた。
私たちの吐く白い息は混ざり合い。
そのまま冬の空へ消えていった。
きっと。
私たちには、素敵な未来が待っている。
そう信じていた。
幸せそうに。
未来を楽しみにしていた。
【………………………………………………】
「別れよう」
そう言ったのは彼だった。
でも。
あの時見ていた幸せな景色も。
あの時抱いていた未来への期待も。
壊したのは――
他の誰でもない。
私自身だった。
全部。
私のせい。
彼を、ただの予備として扱っていた。
それから午後の時間。
私は頬杖をついたまま、恋愛のことでずっと悩み続けていた。
「一緒に部活行かない? 思妙」
爽やかで、少し低い声。
聞き間違えるはずがない。
柳河川が、私の教室まで来ていた。
それは間違いなく、一つの爆弾だった。
周囲の人たちは一斉に騒ぎ始める。
柳くんは髪を掻きながら、少し緊張した様子だった。
でも。
その瞳には、溢れそうなほどの想いが宿っていた。
……やっぱり。
初恋なんて、忘れたほうがいいのかな。
そのほうが。
きっと、いいんだよね。
体育館へ向かう道。
そこには、必ず一つの扉がある。
「遊び部」
基本的に、部員は一人だけ。
その唯一の部員。
それが、郭錫だった。
昔。
私たちが関係を隠していた頃。
私は一度も、その扉を開けたことがなかった。
それは責任だった。
そして今。
私には、その扉を開ける資格なんてない。
そう考えていた時。
ふと気づく。
教室に忘れ物をしたことに。
柳くんへ一言伝え、私は急いで戻った。
その途中。
遊び部の中から、女の子の声が聞こえた。
「あっ!」
気づかないうちに。
私は一人の女の子とぶつかっていた。
「ご、ごめんなさい!」
慌てて謝る。
幸い、彼女はすぐに立ち去っていった。
でも。
私の足は止まった。
歩く速度が落ちる。
その代わり。
耳だけが、妙に敏感になっていく。
理由なんて分からない。
ただ。
なぜか。
私はその扉の前にしゃがみ込み。
中の声に耳を傾けていた。
そこには。
仲が良さそうな男女の声。
親しげな言い合い。
楽しそうな笑い声。
指先が、無意識に壁を擦る。
白い塗装と、冷たい汗が混ざり合い。
汚れた白い液体のようになっていく。
「……はぁ」
本当に。
私は何をしているんだろう。
もう。
彼とは関係ないのに。
私の恋人は――
柳河川なんだから。
---




