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目が覚めると、すぐに飛び起きて武器を探そうとした。だが、手にしたのは枕だけだった。
ようやく落ち着いて、自分が部屋にいて、もうパジャマに着替えていることに気づいた。
——「どうやってここまで……」
その時、あの帽子の人物が頭をよぎった。
——「あの人か……」
頭の中で、さっきまでの出来事が駆け巡る。少女、狼、フレームパーフェクトを決めた瞬間、疲労で気を失ったこと、そしてあの馬鹿みたいに大きな魔女帽子の女。
窓の外はもう暗くなっていた。ベッドから起き上がる。足がだるい。あの老女の訓練と同じくらいの負荷がかかっていた。まだ疲れが残っている。
突然、腹が減った。部屋を出ると、廊下の灯りはまだついていた。キッチンに向かい、サンドイッチを作る。
部屋へ戻ろうと歩いている時、違和感に気づいた。さっきは気づかなかったが、リビングの灯りがついている。通り過ぎようとした時——
——「零、こっちに来なさい」
突然の声に、サンドイッチが皿ごと落ちそうになった。
女性の声だ。抑えきれない怒りを帯びている。何度も聞いたことがある。誰かを叱る時の声だ。だが、自分に向けられたことは一度もなかった。
リビングにいる母を見て、中へ入る。
——「座りなさい、零」
何を言われるか分かっている。生涯閉じ込められるか、士官学校への入学を禁じられるか。どんな叱責にも備えなければ——いや、考え直そう。どうやって罰を軽くするかだ。例えば一ヶ月の謹慎……いや、ここで考えを改める。何を奪われるかだ。そうだ、ダンジョンへの出入り禁止だ。あそこが無意味で危険な場所だと分かった今、禁じられても痛くも痒くもない。だが、本当は行きたいんだという顔をしなければならない。
——「どこに行ってたの?」
——「え?」
まさか、どこにいたか知らないのか? それとも修辞疑問文か?
——「零、どこに行ってたの?」
探りを入れなければ。
——「散歩に……出てました」
——「散歩?」
母が眉をひそめる。
——「友達に会うための散歩?」
友達? いつから友達がいるんだ? いや、自分で言ってて悲しくなってきた。
——「どの友達ですか?……」
——「あんたが無断で、護衛も連れずに会いに行って、森で迷いかけたというあの子よ」
ダンジョンのこと、狼と戦ったことは知らないのか?
——「そう、山田校長が言ってたわ」
その苗字に驚いた。なぜ校長があの場所に? 彼女はロアでは重要なキャラクターだ。ゲームにすら登場しない街に、わざわざ来るような理由があるとは思えない。
——「森は危険よ。一人で出歩くなんて、もっと危険だ」
どうやら助かった。山田校長が何を言ったかは知らないが、ダンジョンでの出来事は知られていない。
どう答えるか考える。怪しまれてはいけない。
——「私……退屈だったんです」
母が眉を上げる。
——「退屈?」
——「はい……ずっと家にいるだけです。護衛なしではどこにも行けないし、学校にも友達はいません」
——「護衛は必要だって分かってるでしょ」
——「分かってます。でも、五人の護衛を連れて歩けば、みんな近寄ってきません」
それは事実だ。だが、俺にとってはどうでもいいことだ。しかし、それを言ったことで母は何かを考え込んだようだった。
やがて、深いため息が漏れた。
——「零、よく聞きなさい。友達と森を探検しに行くなんて、絶対にダメ。無断で消えるなんてもってのほか。何が起こったか分かってるの?」
どうやら怒りは少し収まったようだ。
——「分かってます、母様。すみませんでした」
——「謝ってほしいんじゃない。二度と繰り返さないでほしいの。もう二度と、こんな馬鹿げたことをしないと約束してくれる?」
もう二度とあのダンジョンに行く理由はない。だから、この約束は簡単に守れる。
——「約束します、母様。もう二度としません」
立ち上がり、去ろうとした。一瞬、罰則はないのかと思った。
——「お仕置きよ」
その期待は消え去った。
——「二週間」
たったの二週間? 耐えられる。一生ものかと思っていた。二週間なんて、何でもない。
——「二週間、部屋から出るな。訓練も禁止。庭に出るのも禁止。部屋にいろ。そして、師匠のところへも、私が許すまで行くな」
それは問題だ。
俺の訓練は生死に関わる。母は知らないが、老女だけが俺の未来を保証してくれる存在であり、目標に近づくための唯一の道だ。
——「母様……」
——「口答えは禁止よ」
遮られた。
——「自分の命を危険に晒したんだ。その結果を理解しなさい」
うなだれた。
——「分かりました、母様」
リビングの入り口まで来た時、立ち止まった。
——「あの……山田さんって人、もう一人の女の子について何か言ってましたか?」
母は一瞬考えた。
——「保護者の元へ送ったって言ってたわ」
どうやらあの少女は無事らしい。少し安心した。
——「おやすみ、零」
——「おやすみなさい、母様」
そうして母は去っていった。俺はその場に立ち尽くし、膝の上のサンドイッチを見つめながら考え込んだ。
あの魔女は俺を庇った。なぜ? 何の得があって? 彼女はゲーム内でほとんどセリフがなかった。彼女のことはほとんど何も知らない。だが、一つだけ確かなことがある。今日、俺は死にかけた。次に訓練する時は、二度とこんなことが起きないようにしなければ。
……
ベッドに倒れ込んだ。まだ疲れている。
足は悲鳴を上げ、腕の筋肉も悲鳴を上げていた。
——「痛くなきゃ成果なし」なんて言うけど、この痛みは本当に厄介だ。
全てを思い返した。何よりも、あの狼との戦いを。
自分が犯したミスの数々。あの少女に叫ばれなければ、どうなっていたか。
正直、まだまだ弱い。
だが、あの少女を助けられたことだけは、少しだけ嬉しく思う。もしかしたら、街でまた会えるかもしれない。
目を閉じた。疲れが俺を飲み込んでいく。
そうして年月は流れ、気づけばこの世界で十五歳になっていた。もうすぐ中等科を卒業する。




