16
「菫を説得してから、数日が経った。
この場所に来てからもう三週目だ。学園での日常もすっかり慣れたものになった。午前中は授業、午後は訓練、夜は休息。それが当たり前のサイクルになっていた。
次の重要なイベントまで、少なくともあと一、二週間はあるはずだった。そう願いたい。だが、最初の魔窟をあまりにも早く閉鎖したせいで、いきなりラスボスと戦うことになるかもしれないという可能性も否定できなかった。
だが、今の最優先事項はミスリルを手に入れることだった。
今、俺は研究室にいた。菫とユキと一緒だ。
——「それに触らないで!」
菫がユキに向かって叫んだ。ユキは内部で光を放つ結晶に触れようとしていたところだった。
——「ごめん」
ユキは叫び声を聞くや否や、両手を挙げた。
——「な、なんで彼女を連れてきたの?」
それは修辞的な質問だったが、それでも答えた。
——「彼女が必要だからだ」
菫を説得した後、ユキのところへ行き話をした。
彼女を説得するのは難しくなかった。
ただ「大事なことに必要だ」と言うだけで、彼女は迷わず承諾した。
その盲目的な信頼は、いまだに慣れなかった。
ゲームの中では、ユキは仲間を信頼していたが、それを実際に目の当たりにするのは別物だった。
菫は、俺がユキを連れて研究室に入った時、ほとんど発作を起こしそうだった。
顔色が青ざめ、一瞬気絶するかと思った。
だが、立ち直り、今は机の後ろから俺たちを観察していた。あたかも俺たちが危険な侵入者で、周囲の爆発性物質の瓶は無害であるかのように。
ユキは部屋の隅に立ち、菫と俺から距離を取り、何も触らないようにしていた。手を体にぴったりとつけ、緊張した表情で、まるで地雷原を歩いているかのようだった。それはほとんど滑稽ですらあった。
——「前に説明したけど、ミスリルを作るには膨大な量の魔素が必要なんだ」
——「ミスリル!?」
ユキはそれを聞いて驚き、後退して棚にぶつかり、本を一冊落とした。
——「ごめん、すぐに拾う」
——「あ、危ない!」
菫が言い、本をまるで宝物のように胸に抱きしめた。
——「こ、これは大事なものなんだ」
ユキは立ち上がり、頬をほんのり赤らめて恥ずかしそうにした。
——「本当にごめん、そんなつもりじゃ…」
——「もういい」
俺は彼女を遮り、空気中の緊張が高まっているのを感じた。
——「大事なことに集中しよう」
菫の居心地の悪そうな表情はますます明らかだった。できれば俺たちを蹴り出したいところだろうが、魔法陣の存在が彼女を耐えさせていた。二人の人間の存在は、彼女が耐えられる限度を超えていた。
——「じゃあ、本当にミスリルが作れるんだな」
彼女の声はほとんどささやきだった。
——「ああ。頼んだものは全部持ってきたか?」
菫はゆっくりとうなずいた。机に戻り、研究室の中央へ歩いていった。そこには色とりどりの粉末が詰まった袋が積み上げられていた。
——「ポ、ポーション製造の副産物だ」
モンスターが倒れた時に残す結晶から、重機を使ってポーションを製造する際に出る残りかすだ。通常は魔素が抜け切った部分で、飲むには危険なものだ。しかし、高度な錬金術のような他のプロセスにとっては、その粉末はまさに金の延べ棒だった。
ただし、膨大な量が必要だ。普通はこの結晶をより多く得るためにポーションを作り続けるものだ。
俺はポケットから魔法陣の書かれた紙を取り出し、菫に渡した。
——「これだ。重力魔法だ。床に描いてくれ」
彼女は震える手で紙を受け取った。その目は図を熱心に追い、一瞬、全ての緊張が彼女の顔から消えた。残ったのは好奇心だけだった。彼女を定義する執着心だけが。
——「これは…」
彼女の声は驚嘆に満ちていた。
——「後で好きなだけ使えばいい」
俺は彼女が走り出そうとしたところで、シャツの襟を掴んで引き止めた。
——「まずはミスリルだ」
彼女は少し不機嫌そうだったが、すぐに地面に跪いた。チョークを取り出し、床に紙の図を拡大したバージョンを描き始めた。
彼女が作業する様子は催眠的だった。
消すことも、二度見ることもない。その手は、彼女の神経質な性格とは対照的な確信を持って動いていた。
ユキが困惑した表情で俺を見た。
——「待って、重力魔法って言った?」
彼女の声には信じられないという色が混じっていた。
——「そんなの存在するの?」
——「今はそれが問題じゃない」
——「でも…」
——「ユキ、信じてくれ」
彼女は口を閉じ、うなずいた。それ以上は尋ねなかった。
粉末の詰まった袋を手に取った。確かに重かった。菫がどうやってここまで運んだのか分からなかった。
菫が描き終えるのを待った。それほど時間はかからなかった。チョークを置いた時には、魔法陣は完成していた。完璧だった。床に描かれた芸術作品だった。
——「で、できたと思う」
袋の中身を魔法陣の中央に空けた。粉塵が立ち上り、くしゃみが出た。マスクか何か持ってくるべきだったが、今さらだった。
手順は単純だ。まず重力魔法で粉末を圧縮し、次に融点まで加熱しながら魔素を注入する。ゲームではほぼ一瞬のプロセスだったが、イベント時間を消費した。現実では、手動で行わなければならない。
重力魔法がなければ、ゲーム序盤で悪用できるものだった。なぜなら、ミスリルは高く売れ、高く買われるからだ。ゲームでは、武器の刃先に普通にコーティングするだけで約百万かかった。このプロセスなら、そのコストを大幅に削減できる。
再び輝く結晶に触れようとしているユキを見て、手で合図を送った。彼女は結晶を置き、好奇心の表情を浮かべて近づいてきた。
——「君の役目だ」
床の魔法陣を指さしながら言った。
——「これを作るには膨大な量の魔素が必要だ」
その後の沈黙は耳をつんざくようだった。
——「そんなに長い間座ってろって言うの!?」
彼女の声が一瞬高くなった。
——「わ、わたしもこのものを二時間も熱しなきゃいけないの?」
——「ああ、そうだ」
彼女は何も聞かずに手伝うと言った。そんなことを聞いた後では、後悔するだろう。しかし、二人ともため息をついた。おそらく諦めのため息だった。
——「安心しろ、食べ物は持ってきた。音楽もかけられるし、動画も見られる」
——「ずっと私たちを見てるの?」
うなずいた。手伝いたい気持ちは山々だったが、どちらの作業も途方もない量の魔素を必要とした。一分でもやれば、疲労で死んでしまうだろう。
ユキは魔法陣の前に座り、少しぎこちなく足を組んだ。
最初の十分間は気まずかった。
ユキは目を閉じ、自分の作業に集中していた。菫も同じだったが、時々片目を開けてユキを確認していた。まるで彼女が間違いを犯すのを待っているかのように。それは沈黙の監視であり、不信感に満ちていた。
——「いつもああやってるの?」
菫が突然、沈黙を破った。
ユキは目を開け、困惑した表情を浮かべた。
——「何が?」
——「あの……呼吸する時の音」
——「呼吸が大きい?」
ユキは真剣に心配しているようだった。しばらく沈黙し、自分の呼吸を聞いた。
——「分からない」
彼女は最終的に言った。
——「気にしたことなかった」
——「気、気にしてみて」
菫はうつむきながら呟いた。
——「気が散るから」
ユキはゆっくりとうなずき、真剣な表情を浮かべた。
——「努力する」
そして再び長い沈黙が訪れた。数分間だけ。
その後、ユキが再び口を開いた。
——「菫……どうやってこれを覚えたの?」
菫はまばたきし、その質問に驚いたようだった。
——「な、何を?」
——「この全部」
ユキは動かずに、頭でおぼろげにジェスチャーをした。
——「錬金術とか魔法陣とか…あれを紙を二度見もせずに床に描いたよね。すごいよ」
菫は少し顔を赤らめた。努力のせいか、褒められたせいかは分からなかった。
——「そ、そんなことないよ」
彼女の声は以前よりも小さかった。
——「た、ただ…研究するのが好きなだけ」
——「でも、すごく上手にやってるよ」
ユキは温かい微笑みを浮かべて言った。
——「僕は一年かかってもあんなの描けないよ」
菫はすぐには答えなかった。しかし、彼女の肩が少しだけリラックスするのが見えた。
——「そ、そんなに難しくもないよ」
彼女は最終的に言った。
——「ただ…紙の上で魔素がどう流れるかを理解するだけだよ。一本一本の線が水路なんだ。一つ間違えれば、全部が崩れる」
——「どうやって正しいか分かるの?」
——「分かるよ。何も爆発しなければね」
ユキはその答えに少し笑った。しかし菫はその意味を理解していないようだった。彼女は『爆発』という言葉を文字通りの意味で言っていたのだから。
——「そんな感じだ」
菫は認めた。
その後の沈黙は、最初のものよりも緊張が和らいでいた。空気に何か柔らかいものがあった。
そんな取るに足らない会話を交わしながら、時間は過ぎていった。
俺はただ二人に食事を与えながら、作業を見守っていた。お菓子を渡し、スマホで猫の動画を見せた。
——「二時間経ったぞ」
ようやくそう言った。
二人は即座にリラックスした。ユキは疲れ果てたうめき声をあげて腕を下ろした。菫は腕をマッサージした。
魔法陣の中央から金属音が響いた。近づき、二人が作り出したものを手に取った。手のひらサイズの球体だ。驚くほど重く、青みがかった金属の輝きが研究室の照明を反射していた。
菫がすぐにそれを奪い取った。
——「見、見せて」
彼女は長い一分間、球体を調べた。手の中で回し、光にかざし、爪でそっと叩いた。
——「そうだ」
彼女の声は驚嘆に満ちていた。
——「ミスリルだ」
ユキはそれを聞いて跳ねるように立ち上がり、菫のところへ駆け寄った。
——「触らせて」
彼女は手を伸ばして言った。
——「ミスリルに触れたことないんだ」
菫は一瞬躊躇したが、球体を手渡した。ユキは慎重にそれを受け取り、まるで聖なる物であるかのように。指は金属の表面をなぞった。
——「思ってたより重い」
彼女は呟いた。
——「それに冷たい。でも…強い感じがする」
二人がミスリルに興奮している間、俺は安堵していた。うまくいくかどうか分からなかった。大失敗に終わる可能性もあった。しかし、そうならなかった。
ミスリルは、ゲームの中で最強の素材ではなかったが、隠しボスと戦わずに手に入れられる最高のものだった。今の目的には十分だった。
さて、次は第二段階だ。」




