15
紫色の煙がまだ空中に漂っていた。
目の前に影山菫が立っている。
彼女の全てが無頓着さを伝えていた。制服は乱れ、正体不明の物質の染みで覆われていた。
紫色の髪は何週間も櫛を通していないように見え、茶色い目の下には深いクマが刻まれていて、何日も眠っていないことが伺えた。
——「あ、あなたは何がしたいの!?」
彼女は後退しながら、自分の研究室の中へと逃げ込んだ。
——「ただ話をしに来ただけだ」
彼女の後について中に入る。
研究室は散乱していた。紙が至る所に散らばり、割れた瓶や「危険」と叫んでいるような物質が入った瓶、魔素の結晶、開かれた本、そして機能が理解できない器具があった。いくつかの材料はゲームで見覚えがあった。他は見たことのないものだった。
——「も、もう話したでしょ……も、もう帰っていいよ……」
菫は書類で溢れた机の後ろに隠れながら言った。彼女の顔は書類の上にかろうじて見え、指は机の端を握りしめて微かに震えていた。
ゲームでは、菫は魔法研究に完全に没頭している天才生徒だった。
物語の終盤でようやく仲間になる頃には、その姿は今よりもさらに酷かった。
ほとんど眠らず、ほとんど食べず、一つの呪文の研究に何日も閉じこもることができた。
彼女のルートはまさにその obsession を中心に展開していた。
俺は研究室を静かに歩き回り、無秩序に投げ出された全てのものを観察した。
見覚えのない魔法陣の図面が描かれた開かれた本があった。単純なものもあれば、信じられないほど複雑なものもあった。
彼女は机の後ろに隠れたまま、俺を監視していた。
茶色い瞳は素早く動き、俺の一歩一歩を追っていた。
必要なら逃げるか攻撃する準備ができているように見えた。ゲームでは、彼女にちょっとした頼み事を引き受けさせることさえ事実上不可能だった。
幸いなことに……
俺には彼女の注意を完全に引くものがあった。
ポケットから折りたたんだ紙を取り出した。
何時間もかけてそれを描いていた。何度も何度も、線の一本一本、曲線、角度を修正しながら。
鉛筆を何時間も握り続けて痛む指の感覚をまだ覚えている。完璧になるまで消しては書き直し、消しては書き直し。
唯一の参考資料はゲームの一枚のCGと、ぼんやりと覚えているいくつかの視覚効果だけだった。ほとんどが試行錯誤だった。
彼女がバリケードとして使っていた机の上に置いた。
——「見てみろ。興味が湧くと思う」
菫は躊躇した。
罠か悪趣味な冗談を恐れているかのように、紙に近づこうとしなかった。
彼女の目は紙に固定されていたが、動かなかった。数秒間、沈黙が続いた。
ゆっくりと手を伸ばした。指は震えながら紙に触れた。
慎重に手に取った。
そして、彼女の目が完全に見開かれた。
——「こ、これ……!」
彼女の声が、入ってから一度も使っていなかったトーンに上がった。
——「こ、これは瘴気系魔法の魔法陣だ!」
——「これをどこで手に入れたんだ?」
彼女は紙から目を離さずに尋ねた。
——「自分で描いた」
彼女は俺の答えにさえ反応しなかった。彼女の目は紙の線の一本一本をなぞり、間違いを探していた。欠陥を。偽物だと証明する何かを。しかし、何も見つからなかった。
彼女の唇は静かに動き、絶対的な集中力で魔法陣の線を追っていた。
——「これは……理論上しか存在しないはずだ……」
彼女は自分自身に向けて呟いた。
彼女の呼吸が速くなり始めた。彼女がどれほど興奮しているかは明らかだった。
——「試さなきゃ」
彼女は答えを待たなかった。研究室を飛び出し、積み上げられた本の山に足を引っかけながら、床に撒き散らしながら進んでいった。
——「待って!」
手遅れだった。俺は倒れた本を飛び越え、廊下を急いで追いかけた。
彼女は屋外の訓練場の一つに着くまで止まらなかった。
彼女はフィールドの中央に立った。
俺は数メートル後退した。
そしてさらに後退した。
ゲームでは、瘴気は危険で不快なものとして描写されていた。
現実で何が起こるのか正確には分からなかったが、直接体験したくなかった。
菫は地面に跪き、魔法陣の紙を前に置いた。片手を図の中央に置いた。
目を閉じた。
紙がかすかに紫色の光を放ち始めた。
数瞬後、紫色の煙が地面からゆっくりと立ち上り、螺旋を描きながら上昇し始めた。
一秒ごとにそれは濃くなっていった。
煙は広がっていった。しかし彼女は動かなかった。
その場に跪き、手を魔法陣に置いたまま、純粋な驚嘆の表情で瘴気を観察していた。
さらに数歩後退した。
しかし、もう手遅れだった。
匂いを嗅いだ。
ゲームの説明から、瘴気には耐え難い臭いがあることを知っていた。「腐敗した肉と工業用化学薬品を混ぜたような」とテキストにあった。
現実ははるかに悪かった。
それは今までに経験したことのないような香りだった。
不快なだけではなかった。まるでその臭い自体が感覚を攻撃しているようだった。鼻が焼けるように感じ、喉が詰まり、目が涙で滲み始めた。
——「やった! 本当に瘴気だ!」
菫はほとんど子供のような興奮で叫んだ。その声は勝利の叫びだった。
彼女はまっすぐに俺のところへ走ってきた。最も奇妙なのは、彼女が臭いに完全に免疫があるように見えたことだ。眉一つひそめなかった。
ゲームでも彼女は影響を受けなかった。
嗅覚がないのだろうか? それとも単に慣れすぎて気にならなくなったのだろうか?
彼女は目の前で立ち止まり、目を輝かせて言った。
——「教えて」
彼女は両手で俺の制服を掴んだ。
——「これをどこで手に入れたの?」
——「だから言っただろ…」
袖で鼻を覆った。この距離でも臭いはまだ感じられたが、少しは薄れていた。
——「自分で描いたんだ」
——「それはもう聞いた。どうやって描いたのか教えて」
ただ覚えているだけだとは言えなかった。
——「インスピレーションだ。魔法陣を研究していて、これを思いついた」
顔をできるだけ無表情にして嘘をついた。
——「なぜ私に見せるの? 発表すれば認められるのに」
——「そんなことには興味ない。見せたのは、いくつか頼みたいことがあるからだ」
彼女は数歩後退した。
——「た、頼みごと!?」
ここからが難しいところだった。
——「他にも魔法陣を持っている」
彼女は一瞬沈黙した。
——「ど、どんなの?」
——「重力魔法と知覚魔法だ」
それが覚えている全てだった。
他のものはゲームで明確に表示されなかったか、完全に忘れてしまった。しかし、この二つは菫のような者にとって完璧な餌だった。
——「な、何が欲しいの?」
彼女は制服の端を弄りながら、指を震わせて尋ねた。
——「ミスリル製の武器だ」
彼女はさらに驚いた。
——「正気!? ミスリルがどれだけ高いか分かってるの!?」
——「ああ。だが、ミスリルを作る方法を知っている」
彼女は一瞬、俺の言葉を疑った。
処理するのに時間がかかったようだ。
その目に、論理的な説明を見つけようとしているのが分かった。
その後、彼女は地面にしゃがみ込み、頭を両手で抱えながら地面を見つめた。
——「最初は理論上しか存在しない魔法を持ってきて、今度はミスリルの作り方を知っているだって。こんなの現実じゃない」
信じるのが難しいのは明らかだった。
この世界でもファンタジーとされることを言ったばかりだった。
ミスリルは最も希少で貴重な金属の一つだ。
その生成には、ほとんどの錬金術師が不可能だと考えている条件が必要だ。
それなのに……そこに俺が立って、できると言っている。
彼女はしばらくその姿勢のままで、おそらく欠陥を探していた。疑うきっかけとなる何かを。
——「ミスリルの生成は不可能なはずだ。でも、もし本当なら、不可能な魔法もある。全てが不可能だ」
彼女が繰り返すのは『不可能』だけだった。
——「興味ないなら、錬金術の先生に助けを求めに行くけど」
振り返り、歩き始めた。
その歩みはゆっくりと、意図的に。
彼女が俺を行かせないことを知っていた。
彼女の好奇心は恐怖よりも強かった。
——「ま、待って。本当にその魔法陣を持ってるの?」
振り返り、ポケットからさらに紙を取り出した。
——「ああ、ここにある。ただミスリルを作って、それを武器にしてほしいだけだ」
彼女は立ち上がり、近づいてきた。
その足取りはためらいがちで、これが現実なのかまだ確信が持てていないようだった。
目の前で立ち止まり、その目は俺が持っている紙に固定されていた。
——「わ、わかった。でも、その魔法陣をくれなきゃダメだし、どうやって描いたか説明してよ」
——「説明はできない。自分で解き明かすしかない」
彼女は親指の先を噛んだ。
——「わかった」
彼女はようやく言った。
手を差し出した。彼女は長い間躊躇したが、最終的に握手に応じた。
——「黒金零」
——「か、影山菫」
どうやら計画の最初で最も難しい部分を達成したようだ。菫を味方につけることに成功した。




