14
核が破壊され、ボスが気絶した後も、状況は良くならなかった。
ユキが麗奈を背負って、全てが正常に戻った直後に俺のところへ来た。
——「零、その肩!」
ユキが目を見開き、俺の傷を見つめながら言った。
血はもう水たまりを作っていた。
傷は深く、痛みは激しかった。だが、それが心配なわけではなかった。心配なのは、病院に連れて行かれることだった。
立ち上がりながら、左手で傷を押さえた。指の間から血が滲み出る。
——「病院に連れて行かなきゃ」
——「いや、ただ店に行くだけでいい…回復ポーションで十分だ」
——「でも…」
——「ユキ、彼女にポーションを取らせてあげて…」
ユキの背中の麗奈が俺を見ていた。なぜ病院に行きたがらないのか、疑問に思っているようだった。
上の階に戻ると、人々は出口に向かって走っていた。
人々は階段を駆け下り、建物から出ようと押し合っていた。
だが、残念ながら全員が助かったわけではなかった。
いくつかの遺体が地面に横たわっていた。
ユキは目をそらすことができずに、俺の後ろを歩いていた。
外ではヘリコプターの音が聞こえた。
救急車のサイレンが空気を満たし、負傷者の叫び声と混ざり合っていた。
あの店に着き、最も高価な回復ポーションを手に取った時、制服を着た女性たちが店の外を走っているのが見えた。
出血で少しふらついていたが、肩の傷はもう塞がっていた。
攻撃を受けた場所には傷跡が残った。
モールを出ると、現場は救急隊員で溢れていた。
——「もう一台担架を!」
遠くで誰かが叫んだ。彼らが近づいてきた。
麗奈を医者たちに預けた。彼女は担架に乗せられ、救急車で運ばれていった。
彼女の後ろでドアが閉まるのを見て、一瞬、彼女が無事で安堵した。
黒い服のおかげで、自分の血は目立たなかった。
——「気をつけてな……」
それが自然と口から出た言葉だった。
その時、ふらつきでまともに歩けなくなっていた。
出血で思っていた以上に弱っていた。だが、しっかりしていなければならなかった。
誰かに詰問される前に、その場を離れなければならなかった。
——「病院に行くべきだよ」
ユキがその場を離れながら言った。
俺は答えなかった。
ほとんど倒れそうになるまで。
ユキがその時、俺を支えた。彼女の腕が俺の腰を包み込んだ。
——「大量に出血してる! 救急車に連れて行くよ!」
——「ダメだ!」
俺の声はしっかりと出た。
——「もしそれをしたら、俺の人生を台無しにするだけだ…」
ユキの顔は困惑と心配で満ちていた。
——「…わかった。歩くのを手伝うよ」
ユキは理解していないようだったが、それでも助けるのをやめようとはしなかった。
——「何か食べに行こう。俺も温かいものが欲しいところだ」
——「うん、それがいいね…」
その日は、混乱から遠く離れたどこかで食事をした。人々は俺の破れた服を見て心配そうにしていた。モールにいたと思ったのかもしれない。実際、間違ってはいなかった。だが、どうでもよかった。
黙って食事をした。
そして、生き残った後に温かいものを口にしたその一瞬、世界が崩れ去っていることを忘れかけていた。
……
P.O.V. ???
モールから数キロ離れた高層ビルの上。
一人の女性が上からその場所を見下ろしていた。
風が白い髪を揺らす。その髪は日光の下で虹の全ての色に輝いているように見えた。
深い紫色の瞳は、荒廃したモールを好奇心と苛立ちの入り混じった表情で見つめていた。
——「魔窟 #57876、驚くべき速度で閉鎖されたな」
ホログラムのような画面が彼女の前に現れ、コンピューターのキーボードのように指を動かし始めた。
——「注記:今後の魔窟は、早期閉鎖を防ぐためにエネルギーを増加させること」
画面が光を放って消えた。女性は伸びをし、仕事で疲れたかのように、そして一歩を踏み出し、虚空へと飛び込んだ。
彼女は高層ビルの屋上から飛び降りた。
風が彼女の周りで轟いた。
だが、地面に到達する前に、彼女の背中から何かが現れた——トンボのようなほぼ透明な翅が、光を反射して輝いていた。
そして何でもないかのように、彼女は不可能な速度で空へと向かい、完璧な直線を描いて水平に飛び去った。
……
翌日。
モールの事件は皆の話題になっていた。どこにでも出ていた。
学食のテレビでさえ、そのニュースを流していた。
——「魔窟は午後二時十四分に出現しましたが、核が破壊されるまで二時間も持ちこたえませんでした」
アナウンサーが真剣な声で言った。
——「当局はまだ閉鎖の責任者を調査中です。首都士官学校の生徒グループが関与している可能性がありますが、現時点で公式な確認はありません」
魔窟があまりにも短時間で閉鎖されたことが、皆を驚かせた。通常、魔窟が閉鎖されるまでには一、二週間かかる。だが、今回は数時間で終わった。
それは正常ではなかった。
ユキが朝食を食べながらニュースを見ていた。
学食のテーブルの一つで一緒に食事をしていた。
——「誰も私たちがやったって知らないみたいだね」
ユキがもう一口食べながら言った。
——「その方がいい。注目されたくない」
——「うーん…もし言ったら、きっと良い報奨金がもらえると思うんだけどな?」
——「好きにすればいい。でも、俺に関することは全て除外してくれ」
——「零は無理だよ。ボスと戦ったのは君だし、核を破壊したのは僕だ。君と共有しなければ、僕はその功績を受け入れられないよ。それに、病院の件について説明してもらう約束があるだろ」
——「今はその時じゃない」
——「わかった。急かさないよ。話したい時に話してくれればいい」
——「いつか」
嘘をついた。
ユキは微笑んだ。まるでその約束だけで十分だと言わんばかりに。そして、一瞬だけ、彼女に嘘をついていることに罪悪感を覚えた。
週の残りは普通に過ぎた。少なくとも、緊張した普通さで。
麗奈は二日後に戻ってきたが、以前よりも静かだった。
ほとんど俺に話しかけてこなかった。
俺の横を通るときは、目をそらしたり、別の方向を見たりしていた。
その方が良かった。
だが、心の奥底で何かが、彼女の沈黙は無関心ではないと言っていた。それはもっと別の何かだった。
今はそれを考える余裕はなかった。
最初の魔窟は閉鎖された。
その時に起こるはずだったイベントは全て消えた。
ユキの新しい仲間であり恋愛対象となるべきキャラクターは、彼女と出会うことはなかった。
もう否定することはできなかった。物語全体が変わってしまったのだ。
これが修復可能なのか、それとも修復できるのかさえも分からなかった。
最小限の介入で観察者でいるという計画は、もう不可能だった。
だが、もうそんなことはどうでもよくなっていた。
あの魔窟で——ただの最初の魔窟で——俺は死にかけたのだ。
あの少女は、認めたくはないが、俺よりはるかに強かった。生き残ったのは運だけだった。技量じゃない。戦略じゃない。運だ。そして運は当てにできるものではない。
ユキが弱くなろうと、もうどうでもよかった。
全てに備えなければならなかった。物事を加速させなければならなかった。
自分の知識を最大限に活用しなければならなかった。
そして最初のステップは、望んでいなくても、ゲーム最高のキャラクターを予定より早く彼女に会わせることだった。
ゲームと同じくらい強いことを願うだけだ。
その日、彼女を探すことにした。
彼女がどこにいるか知るために、校長に尋ねなければならなかった。
——「おや、今度は彼女にも興味があるのかい?」
それが彼女の居場所を尋ねた時の返答だった。
——「どこに?」
——「自分の研究室だよ。食事も睡眠もとってるかどうか分からないが、あそこにいる。東棟、三階。迷わないでね」
ゲームでは、彼女は非常に遅い段階で手に入るキャラクターだった。リクルートが難しい上に、彼女のルートをクリアするには完璧に近いプレイが求められた。
だが、今はそんなことはどうでもよかった。
——「ここのはずだ…」
目の前のドアには『研究室』と書かれていた。
息を吸う。彼女に会うのが少し緊張していた。
何をしているのかまだ確信は持てなかったが、やらなければならなかった。
ドアのノブに手をかけた。
だが、何か言う前に、中で爆発音が聞こえ、紫色の煙が漏れ出した。
突然、ドアが開いた。
咳き込みながら煙の中から一人の少女が飛び出してきた。
かろうじて彼女の姿が見えた。
ひどい匂いの煙が晴れると、彼女の姿が見えた。
乱れた制服を着て、痩せていて背が低く、一年先輩でありながら若く見える少女。
紫色の乱れた髪は、手入れされていないように見えた。
——「触媒はこんな反応をするはずじゃないのに…」
彼女は優しい声で独り言を言い、そして俺に気づいた。
——「あ、あなたは誰…?」
影山菫が目の前に立っていた。
そして、正しい選択をしたのか自問し始めていた。




