12
しばらく歩き続けていた。迷子にはなっていないが、場所は迷宮そのものだった。
一歩を踏み出すごとに、壁が微かに動いているように感じられた。
核に近づくほどモンスターが増え、場所の歪みも激しくなっていることに気づいた。
幸い、蜘蛛に毒されることは一度もなかった。
ユキと麗奈は驚くべき効率でそれらを排除していた。
ユキは剣で蜘蛛の体をまるでバターのように切り裂き、麗奈はレイピアでその核をミリ単位の精度で貫いていた。
空気は重く、圧迫感があった。
モンスターを倒すたびに、その体は青い煙となって消え、代わりに結晶が地面に落ちた。
拾うために立ち止まることはしなかった。そんな価値はなかった。
そしてついに、地下駐車場へと続く扉を見つけた。
駐車場は確かに影響を受けていた。
車はめちゃくちゃに破壊され、まるで巨大な手で握りつぶされたかのように押し潰されていた。横転しているものもあれば、真っ二つに割れているものもあった。
ほとんど進まないうちに、
——「心配そうだね」
麗奈が沈黙を破って言った。
——「いや、何でもない……」
だが、ボスには確かに問題があった。ゲームでは、この戦闘は属性弱点についてのチュートリアルだった。
ボスは光属性魔法に弱く、その魔法を使えるキャラクターはダンジョンに入る前に登場する。
だが、この時間軸では状況が変わっていた。そのキャラクターは今ここにはいない。
麗奈は火属性の魔法しか使えず、ゲームではこの敵に対して中立だった。
あまり考えすぎずに、今あるリソースでどう解決するかを考えるしかなかった。
突然、麗奈が俺の手を掴み、車の後ろに隠れるように強制した。
——「どうしたの?」
ユキが驚いて言った。
——「シッ」
麗奈は指を唇に当てた。
彼女が顎で示した方向を見た。慎重に顔を出す。
そして、それを見た。
見つけてしまった。
ボスだ。
もう一度見た。
彼女だと分かっていた。だが……何かがおかしかった。
ゲームでは三十代の女性だったが、ここでは十歳か十一歳にしか見えなかった。
服は同じだったが、小さくなっていた。まるで生きている影のように彼女を包み込み、目を覆っていた。髪も同じように黒く、しかしドレスと同じ物質が滴り落ちていた。
今、彼女は床に座り、両膝を抱えていた。
怯えた子供のように見えた。
——「あれがボスだ」
二人に言った。
ユキは眉をひそめ、困惑した。
——「ただの子供じゃないか……」
——「油断するな。核を守るモンスターは人型の姿を取ることが多いって読んだことがある」
嘘だ。そんなことは本で読んだわけではない。ゲームの情報だ。
姿は変わっていたが、ゲームと同じボスだと確認できた。つまり、基本的な戦略は通用するはずだ。
——「よく聞け」
言いかけた時、隣の車の表面に黒い染みが現れた。
何か言おうとしたが、その前に不自然な影が車の表面に現れた。
そこから、固形化した影のようなものが伸び、それぞれの頭を狙った。
反応する時間はなかった。
体が反射的に動いた。
できるだけ速く後退し、数メートル後ろに跳んだ。壁にぶつかってようやく止まった。それでも、影は頬をかすめた。
ユキは剣で身を守り、金属が闇と火花を散らした。
麗奈は横に動き、レイピアを衝撃吸収材として使った。
剣からは、影に触れただけで火花が散った。
影から頭が現れ、その後ろに体が続いた。少女はまるでインクの湖から現れるように、ゆっくりと姿を現した。
彼女は影をポータルとして使い、容易にその中を移動していた。
俺たちの話を聞いていたのか? それともただ存在を感じ取っただけか? 分からなかった。
だが、どうでもよかった。もう俺たちを見つけてしまったのだ。
少女は最も近い存在——麗奈——の方を「見」た。少女の影から再びあの攻撃が放たれた。
麗奈はそれをかわし、反撃した。
レイピアの先端は一瞬の躊躇もなく少女の頭を狙っていた。
一切の慈悲のない攻撃だった。
だが、何かがそれを止めた。
壁のように、別の影が少女の前に物質化し、レイピアを完全に止めた。衝撃が空気に響き渡り、麗奈は驚いて一歩後退した。
できるだけ早く体勢を立て直す。
ユキと俺は同時に反対方向から攻撃したが、少女は自分の影の中に沈み込み、俺たちの武器をぶつからせた。衝撃が骨の髄まで響いた。ユキはそれほど影響を受けていなかったが、俺は違った。薙刀が激しく跳ね返され、手から離れそうになった。
——「零! 後ろ!」
麗奈が叫んだ。
かろうじて頭を動かして、背後から攻撃が直撃するのを見た。
明確な踏み場もなかった。攻撃は頭を狙っていた。
だが、何かができる前に、誰かの手が肩を押し、車の方へと吹き飛ばされた。
麗奈が、俺に向けられた攻撃をかろうじてかわした。一瞬だけレイピアを手放したが、手を上げて、少女の頭が出てくる影に向けて手を伸ばした。
火が彼女の掌に集まり始めた。
——「くらえ!」
火球を放った。
その間、影からの攻撃は消えていた。
火球が地面に衝突すると、爆発が起こり、その場所に粉塵のカーテンが上がった。
麗奈は火球が地面に衝突する前に、既に俺の位置に移動していた。
——「零? 大丈夫? 力を使いすぎなかった?」
彼女の声は震えていた。
——「大丈夫だ。明日には痛くなるだろうけど」
ゆっくりと立ち上がった。背中は動くたびに文句を言っていたが、何も折れてはいない。
——「だが、そんなことはどうでもいい。麗奈、もう一度火球を作ってくれ。でも、今回は投げないで」
麗奈の火属性攻撃は、ゲームで光属性魔法がしていたのと同じ効果をもたらした。ゲームでは火属性はボスに対して中立だったのに、今は意味があった。
彼女は困惑したようだったが、躊躇せずに火球を作り、周囲を照らした。
——「間違っていなければ、この光があれば彼女の攻撃は届かないはずだ」
少女は遠くにいて、近づいてこなかった。
——「麗奈、どれくらい維持できる?」
——「分からない……一分くらいかも」
——「十分だ」
俺たちの誰も遠距離攻撃ができず、少女ももう俺たちに届かないようだった。倒されることもなければ、倒すこともできない。膠着状態だった。
——「核を目指そう」
——「あの子は?」
ユキが尋ねた。その視線はまだ少女に固定されていた。
——「構わない。もう攻撃はできない」
そう言うと、二人は遠くの少女を見た。
麗奈にポーションの缶を一つ渡した。
彼女の魔素が突然尽きないようにしなければならなかった。火球はすぐにエネルギーを消費し、それが消えれば無防備になる。
——「これを」
彼女は迷わず受け取った。
だが、一口飲む前に、何かが起こった。
——「危ない!」
ユキが叫び、剣で車のドアを防いだ。それは信じられない速度で飛んできて、彼女を後退させた。
振り返る。
少女の背中から腕のように影が伸び、周囲の車から部品を引き裂いていた。それらを次々と弾丸のように投げつけてくる。
ユキは次のものも防いだが、苦労していた。彼女の剣は金属と激しくぶつかり合い、その速度についていくのがやっとだった。
車のドアは円盤のように飛び、それぞれが十分な力を持っていて、たとえ魔素で体を強化しても骨を簡単に折るほどだった。
ある時、彼女は部品を俺たちに向けて投げるのではなく、地面に投げつけた。そして、彼女自身が消えた時のように、その部品も消えた。
受け止める準備をした。死角から現れることを知っていたからだ。
ドアは光の届かない壁から現れ、俺はそれを迎撃した。真っ二つに切断した。
だが、もう一つは運が悪かった。死角から現れたのだ。
——「あっ!」
突然、背後から苦痛の叫びが聞こえた。
振り返ると、車のドアが麗奈の脚を直撃したのが見えた。
一瞬だけ見えた……
彼女は地面に倒れた。だが、火球は放たれ、車に直撃した。
火球が車を爆発させた。
俺は麗奈を庇うのがやっとで、爆発によって吹き飛ばされた。
三人は地面を数メートル転がり、爆発の熱が肌を焼いた。耳は鳴り、視界はぼやけていた。
背中の痛みを無視して素早く立ち上がる。
麗奈の脚が腫れ上がっているのが見えた。折れてはいないかもしれないが。
——「麗奈、歩けるか?」
尋ねながら、彼女を起こすのを手伝った。
彼女は立ち上がろうとしたが、打撃を受けた脚で一歩を踏み出した瞬間、うめき声をあげて膝をついた。
——「無理だ」
彼女は苦痛の表情を浮かべて言った。
これはまずい。怪我人を連れて行くのは不利だ。
ここに置き去りにはできなかった。
——「ユキ、調子はどうだ?」
——「ほぼ万全だよ」
彼女は頭を振りながら、意識をはっきりさせようとしていた。
——「麗奈を連れて、ダンジョンの核を探せ」
二人はその言葉を聞いて黙り込んだ。その顔は完全な戸惑いを示していた。ユキは口を開けたが、何も言わなかった。
——「あいつを引きつけている間に、私を置いていけって言うの?」
地面に座った麗奈が言った。その声は怒りと恐怖で震えていた。
——「ああ、それが計画だ」
彼女はそれを聞いて、もう一度立ち上がろうとしたが、痛みが強すぎた。再び倒れ、歯を食いしばって呪いの言葉を吐いた。
——「核を破壊するために、あなたが死ぬのを許すわけにはいかない……」
——「誰が死ぬって言った?」
自信満々に微笑みながら答えた。
彼女は笑った。実物の彼女を見てから、初めて彼女が笑った瞬間だった。それはどこか愛らしくもあった。なぜなら、その時彼女はゲームの中の麗奈を思い出させたからだ。弱さを見せ、感情を表に出すことができる麗奈を。
——「ユキ、頼んだ」
ユキがうなずく。麗奈は別の火球を作り、周囲を照らした。
——「もし死んだら、絶対に殺すからな。分かったな?」
麗奈の声は砕けそうだった。
二人が遠ざかっていくのを見ながら、少女が別の車の部品を投げようと準備しているのが見えた。
彼女たちに届かせるわけにはいかない。息を深く吸い込み、叫んだ。
——「俺のことを忘れるな!」
彼女が投げる前に、可能な限りの最高速度で近づき、脚を攻撃した。それで彼女の攻撃は止まった。防御に集中しなければならなくなったからだ。だが、一瞬だけ彼女は防ぎきれず、少女は跳躍した。その隙に、残っていたほぼ全ての魔素を込めて、彼女の腹部を打ち抜いた。
これで少女は後退した。だが、明らかに効果は薄かった。影で防がれたからだ。
コンクリートの壁を殴ったようなものだった。確かに痛かった。
彼女が体勢を立て直す間に、背中のバッグからポーションを一本取り出し、飲んだ。
それは魔素を20%回復するだけのものだったが、十分だった。
次の攻撃の構えを取る。
息を深く吸い込み、攻撃のタイミングを待った




