11
混乱は午後に始まった。
至る所から悲鳴が上がり始めた。女性たちが四方八方に逃げ惑う。
モールの照明がちらつき、やがて完全に消えた。場所は外からの光だけで照らされていた。だが、壁が現れると、外の光も消え去った。
——「逃げなきゃ!」
麗奈とユキに叫んだ。
二人は聞かなかった。
ユキはテーブルの一つから日傘を奪い取り、それに魔素を込めて、まるで棍棒のようにモンスターに振るい始めた。
麗奈も同じだ。彼女は現れるモンスターを次々と仕留めていた。
本当に、よりにもよって今日なのか。
ゲームでは、ダンジョンが出現したのは先週、つまりゲーム開始から三週目だったはずだ。
日曜日を週の始まりとする人もいることは知っていたが、これは明らかに俺の計画を妨害するために設計されたように思えた。
麗奈とユキが民間人を守りながら戦っているのを見る。
狼たちは次々と現れる。麗奈とユキは速いが、全ての場所に同時に対応できるわけではない。年配の女性が倒れるのを見た。買い物袋が彼女の前で散らばっている。狼が彼女に飛びかかろうとした時、麗奈が間に合って仕留めた。
——「クソッ……麗奈、ユキ!」
二人が一瞬こちらを見た。
——「ちょっと持ちこたえられるか?」
——「もちろん!」
ユキが叫んだ。その声には活力と自信が満ちていた。
麗奈は何も言わなかったが、短くうなずいた。彼女のレイピアは動き続け、近づくモンスターを寄せ付けない。
俺は走り出した。
ダンジョンが出現する時に起こる現象の一つに、空間の歪みがある。
幸い、ダンジョンは迷宮ではない。
その核が通路や壁を作り出し、周囲の空間を歪めて特定の場所を広くしたり狭くしたりするのだ。
今、俺は二階にいた。
目的地は三階。武器屋がある場所だ。
良い一撃を放てたとしても、適切な武器なしではモンスターを倒すには程遠いことを知っていた。
ユキは別だ。彼女は日傘でも本当のダメージを与えられる。
だが、俺にはその贅沢はなかった。
群衆の中を走るのは難しかった。人々は押し合い、倒れ、叫んでいた。
中には、突然現れた壁の瓦礫の下敷きになっている者もいた。
他の者はパニックに陥り、見当違いの方向へ走っていた。
子供を抱えた女性をかわさなければならず、十代の少女たちの集団とぶつかりそうになった。
だが、それが最悪ではなかった。
最悪だったのは、階段に着いた時だ。
狼たちが一階から上がってきていた。
群衆はパニックになり、逃げ惑う人々に押し流されそうになった。
俺には選択肢がなかった。武器屋に辿り着きたいなら、モンスターの間を抜けなければならなかった。
近くの店のショーケースを蹴った。
割れたガラスの破片を三つ手に取った。一つは右手に、一つは左手に、そして最後の一つは口でくわえた。
それが今の最善の装備だった。
階段を目指して走り始めた。
狼たちは躊躇なく俺の方向へ走ってきた。
一匹目が噛みつこうとしてきた。その背中を飛び越えてかわす。
二匹目は俺が落ちるのを待っていた。だが、牙が届く前に、破片をその目に突き刺した。狼は遠吠えを上げて後退した。俺は走り続けた。その破片は回収できなかった。
残りは二つの破片だけだ。まだ階段には着いていない。
次の攻撃で、二匹の狼が飛びかかり、三匹目が足を狙ってきた。
走りながら、地面にスライドして、飛びかかる狼の下をくぐった。
全力で、飛びかかってきた一匹の腹を蹴り上げ、吹き飛ばした。
もう一匹は、俺が地面にいるのを見て、頭に向かって飛びかかってきた。
膝を使ってその顎の下を打ち、無理やり口を閉じさせた。
狼がよろめいた一瞬の隙に、残っていた破片で喉を切り裂いた。
だが、運悪く、その衝撃で破片は砕け散った。
ようやく階段に着いた。
だが、その時、右足に小さな痛みを感じた。
見下ろすと、かすかな傷があった。爪の跡だ。
大したことではないが、痛みはあった。血がストッキングに染み込み始めている。
止まっているわけにはいかなかった。
階段を上がる。血が足を伝うのを感じる。
狼たちは止まらず、後ろから追いかけてきた。
モールが迷路と化した廊下を走り続けた。
店に避難している人々が見えた。
永遠のように感じられる十秒間、狼たちがどんどん近づいてくるのを感じながら走った。
武器屋は閉まっていた。考える時間はなかった。ショーケースに体当たりして割った。腕や足に小さな切り傷を負ったが、追いかけてくる危険に比べれば大したことではない。
すぐに最初に見つけた物を手に取り、最初の狼が入ってきた時、それを槍として突き刺した。
薙刀と同じではないが、十分だった。
狼たちが入ってくるのが見えた。
——「これは大変だぞ」
自分に言い聞かせた。
後退する。
最初に入ってきた狼が飛びかかり、その顎に槍を突き刺した。槍は頭の後ろまで突き抜けた。
だが、その狼が完全に消える前に、別の一匹がその下から俺の腹を狙って牙を向けてきた。
近くの棚から剣を一本取り、その牙の間に差し込んで攻撃を止めた。だが、それも長くは持たなかった。狼が顎を閉じると、剣は粉々に砕けた。
時間を無駄にせず、残った剣の破片をその狼の頭に突き刺した。
その狼が消えたかと思うと、別の一匹が体当たりを食らわせてきた。
その衝撃で息が詰まり、両者ともに地面に倒れた。狼と共に転がり、その重みを感じた。
だが、時間を無駄にしなかった。足の裏を狼の胸に当て、後ろに蹴り飛ばした。その勢いを使って立ち上がる。狼が壁に激突した時、飛びかかって槍を突き刺した。
まだ二匹残っている……
……
五匹の狼が消え、五つの結晶が地面に落ちた。
残った魔素は四分の一だけだ。
買ったポーションを飲んだ。
魔素が増えるのを感じた。
だが、予想通り、ほんの一部だけだった。一割程度だ。
槍はもう折れていた。
だが、構わない。
今度は一瞬だけ時間を取って、店の武器を見渡した。最も高価な薙刀と最も高価な剣を手に取り、店を飛び出した。
予想通り、三階にはスライムしかいなかった。
モンスターは核から遠いほど弱い。
これらは最初に見るべきモンスターだ。ゲームでは屋根から入るからだ。
これ以上魔素を無駄にできなかった。スライムを無視して走り抜けた。民間人は店の中にいる限り大丈夫だろう。
また下へ降りた。
息を整える。
下には狼がいた。
……
見えた。ユキと麗奈が店の前に立っている。
——「零、戻ってきたね」
ユキが嬉しそうに言った。
彼女に剣を渡した。
——「武器を取りに行ったのね」
——「ああ。武器がないと俺は無力だから」
一瞬の沈黙が流れた。
——「逃げなきゃ。屋根が一番いい」
——「でも、民間人はどうするの?」
ユキが即座に言った。
店の中に避難している大勢の民間人が見えた。
——「危険すぎる」
ダンジョンに対応できる準備はできていなかった。武器以外の装備は何もない。
——「ユキの言う通りだ」
麗奈が一呼吸置いた。
——「零、核を破壊しに行くべきだ。そうすればダンジョンは消える」
それに反対することはできなかった。『避難させる』とか『民間人を置いて後で助ける』といったことを言っても、彼女たちを納得させることはできないだろう。
何か説得する方法を探していた。何でもいいから。
麗奈を説得する方法はあまり思い浮かばず、ユキに至ってはなおさらだった。
麗奈はプライドが高すぎて逃げるという選択はできず、ユキは決して無実の人々を見捨てたりはしない。
一人で逃げることは可能だったが……
このまま続ければ、彼女たちはダンジョンを封鎖し、ここで起こるはずだったイベントは消えてしまう。あるいはもっと悪く、核を破壊しようとして死ぬかもしれない。
最善の選択肢を考えなければならなかった。
だが、彼女たちが今後のイベントを修正するために生きていることを望むなら、答えは明らかだった。
ため息をついた。
——「わかった。核を目指そう」
望んでいなかったが、今は緊急事態だった。
——「まずはどこに行けばいいか分からないと……」
麗奈が考え込んだ。
——「地下駐車場だ」
二人が俺を見た。
——「確か?」
——「ああ。三階にはスライムだけ、二階には狼だ。このまま進めば、核は地下にあるはずだ」
賢い推測のように聞こえたが、実際はただゲームのマップをなぞっているだけだった。
——「よし、行こう」
ユキが先に進み、麗奈がそれに続いた。
後で何とかできることを願う。
一階には犬ほどの大きさの蜘蛛が溢れていた。
ゲームでは面倒な存在だ。毒を与えてくるからだ。ゲーム序盤の金はほとんど解毒薬に消えていた。
だが、現実世界ではターン制などない。牙が届く前に倒すしかない。
三人で通路を進み、モンスターを一撃で倒していく。
二人は俺についてきていた。
まずは店に行く必要があると言った。
店内に入ると、予想通り蜘蛛と繭で溢れていた。中には人もいる。
蜘蛛を全て倒した。
——「必要な物を取れ」
ユキが一瞬俺を見た。
——「待って……それって盗むことにならない?」
ダンジョンの中で店の物を取るのにまだお金を払うというその考え方……
——「そんなことはどうでもいい。今は核を破壊して民間人を救うのが最優先だ」
麗奈が言った。
ユキはそれをなかなか受け入れられないようだった。
魔素を半分回復するポーションを飲んだ。もうほとんど残っていなかった。
バッグを取り、できるだけ多くのポーションを詰め込んだ。
これが今の最善の準備だった。
——「よし、行こう」
最初のボスにうまく対処できることを願いながら、そう言った。




