10
週の残りは、この世界の科学を理解しようと奮闘するか、ユキとの訓練に費やした。
麗奈がルートから外れたり、もっと悪いことを引き起こしたりしないか心配だったが、彼女は静かにしていた。
ゲームの中よりもずっと静かだ。挑戦してくることも、罵ってくることもなく、ただ日常的な会話をしようとしてくるだけだった。
だが金曜日、昼食の時間になると、彼女が話しかけてきた。
——「日曜日、私と一緒に街に行くわよ」
招待だ。どんな意図があるのか分からなかったが、どうでもいい。受け入れるつもりはなかった。
何か言おうとしたが、言葉が出る前に遮られた。
——「行くって言ったの。拒否権はないわ」
——「人の意志に反して無理やり連れて行くことはできない」
彼女は髪の毛が鼻に入りそうなくらい近づいてきた。その顔は既に苛立っているのが分かった。
——「必要なら引きずっていくわよ」
彼女はじっと見つめてきた。ゲームのツンデレな性格が懐かしかった。
選択肢を考える。近づきすぎると、彼女のルートをさらに壊してしまうかもしれない。
だが同時に、これは全てを立て直す新たなチャンスかもしれないとも思った。
——「条件があります」
彼女が眉をひそめた。返事が予想外だったようだ。
——「誰かもう一人連れて行きます」
苛立った顔が怒りの表情に変わった。一瞬、殴られるかと思った。
だが、そうはならなかった。ただため息をつき、自分を落ち着かせようとしているようだった。
——「いいわ。誰でも連れてきなさい」
だが、その声と仕草には明らかに抑えきれない怒りが込められていた。
その時、何かが命の危険を感じさせた。
だが、これが今のところ最善の策だった。
……
日曜日が来た。学園の正門の前に立っていた。
制服を着ている。
ユキが隣に立っている。彼女はショートパンツにスポーツシューズ、シャツという格好だ。
二人で迎えの車が来るのを待っていた。
——「零、誘ってくれてありがとう」
彼女は笑顔で言った。
彼女は週のうちに、もう俺のことを名前で呼ぶようになっていた。ある日、『黒金って長くない?』と言ってきたのだ。
ただ名前で呼べばいいと答えた。俺はどちらでも良かった。
だが、彼女はそれが嬉しいようだった。
彼女も同じように呼べと言ってきたが、ゲームをやっていた時からずっと『ユキ』と呼んでいるので、もうそれ以外の呼び方ができない。
すぐに車が到着した。
ドアが開いた。
——「ユキ、助手席に座って」
車の中から麗奈の声がした。
彼女はカジュアルなワンピースを着ていた。
せめて三人で後ろに座れるように何か言おうとした。
だが、言う前にユキは既に麗奈に言われた通りに座っていた。
俺は後ろに座るしかなかった。
運転していたのは女性で、おそらく使用人か専属の運転手だろう。
道中ずっと緊張していた。麗奈がしきりに近づいてこようとするからだ。
二十分が経った。ショッピングモールに到着した。確か、この街の中心的なモールだ。
覚えている。ここには店があるだけでなく、多くの主要イベントやルートイベントの舞台でもあったからだ。
——「ありがとう、後で連絡するわ」
麗奈が運転手に言った。
——「かしこまりました、お嬢様」
そうして運転手は去っていった。
ユキが後ろを歩く。
——「最初はどこに行くの?」
彼女は歩きながら尋ねた。
——「消耗品を買うのよ」
麗奈は振り返らずに言った。
最初に入った店は、ゲームで言えばポーションを買う店だった。
店員を見た瞬間に分かった。いや、むしろその制服だ。青いコンビニの制服のようなものだった。
ユキは入るのを楽しみにしているようだった。俺もそうだったが、心の中だけだ。
俺の街にはこういう店はなかった。だが、もちろん首都にはあるはずだった。
ゲームにあったものを全て見た。
HPポーション、MPポーション、一時的にステータスを上げるポーション。
全て缶に入っていて、清涼飲料水のように見えた。
ユキが一つ一つをじっくり見ている間、俺はMPポーションに釘付けだった。
——「ずっとそれだけを見てるわね」
麗奈が言った。
——「なんでもないです。ただ値段を見てただけです」
ゲームではポーションはパーセンテージで回復する。だから現実ではどう機能するのか分からなかった。
もしかしたら違うかもしれない。俺の少ない魔素量なら、完全回復するかもしれない。
気になって仕方なくなり、一番安いものを二つ手に取った。
——「これだけにします」
三人で店を出た。
——「何を買ったの?」
ユキが尋ねた。
——「MPポーション」
彼女はポーションが入った袋を見た。
——「わあ……私は何も買えなかったよ。全部高すぎて」
確かにそうだ。彼女は中流以下の家庭の出身だ。学園からは経済的支援を受けているが、それは生活の最低限だけだ。
彼女がお金を持てるようになるのは、三週目にダンジョン探索の許可が出てからだ。
袋の中を見て、一つを彼女に渡した。
——「これ、あげるよ。後で役に立つから」
——「わあ! ありがとう、零!」
彼女は笑顔で言った。俺は何も言わなかったが、その笑顔を見て一瞬だけ自分も笑顔になった。
突然、麗奈が俺の手を掴んで引っ張った。
もう一度彼女を見ると、また苛立っているようだった。
ユキも驚いたようで、歩調を速めて追いかけてきた。
次の目的地は武器、防具、アクセサリーの店だった。
学園の生徒でいっぱいだった。休みを利用して来たのだろう。
この店は俺にはあまり役に立たなかった。
一瞥しただけで、武器は全てただの金属製で、強化されたものは一つもないことが分かった。ゲームと全く同じだ。
錬金術を理解すれば、これらの武器を買うのは金の無駄になる。
麗奈がレイピアを持ってきた。
——「これ、どう思う?」
正直、違いが分からなかった。ゲームではただのアイコンと価格だけだった。
——「いくらですか?」
——「値段?」
彼女はそれを取った場所を見た。
——「十万」
麗奈があまりにも自然に言うので、この世界の人が一年で稼ぐ平均給与を言ったようには聞こえなかった。
隣のユキは、その値段を聞いて気を失いそうだった。
確かに高い。いや、高すぎる。だが、それは最高の武器の値段だ。ただし、上手くやればレベル30くらいで時代遅れになるが。
——「いい武器だと思います」
麗奈が払うなら、彼女が買うのを止める理由はなかった。ゲームではその十万を自分で払わなければならないのとは違う。
一日中そんな調子だった。麗奈が店に行き、俺たちがそれについていく。
服屋にも行った。麗奈とユキが服を試着し、ユキが俺にも試着するよう勧めてきたが、固辞した。
彼女が俺をただの恥ずかしがり屋だと思っているのが幸いだった。
だが、一日中、二人を二人きりにできる瞬間はなかった。何度も試みたが、麗奈はいつも『一緒に行く』と言った。
そしてついに、アイスクリームを食べている時にその機会が訪れた。
アイスクリーム屋の前のテーブルに三人で座っていた。
それぞれがアイスクリームを持っている。
アイスクリームを無駄にするのが少し惜しかったが、自分の上に落とした。
——「あらら! アイスクリームを落としちゃった。拭きに行ってきます」
演技が酷すぎて、一瞬自分に恥ずかしくなった。
——「一緒に行くわ」
麗奈がすぐに言った。
——「いいえ、大丈夫です。一人で行けますから」
彼女が立ち上がる間もなく、急いでその場を離れた。
……
遠くから二人を見ていた。あの距離と人の騒音では、かろうじて聞こえる程度だった。
だが、それで十分だった。
十分間、二人が交わした言葉は、ユキが『アイスクリーム、すごく美味しいね』と言い、麗奈が『そうね』と無感情に答えただけだった。
会話は思うように進んでいなかった。気まずい沈黙が流れていた。
——「藤原さん……」
ユキが先に口を開いた。麗奈は俺が行った方を見るのをやめて、彼女を見た。
——「私、今まであんまり友達がいなくて」
——「……」
麗奈は何も言わなかった。
——「だから、彼女に誘われてすごく嬉しかったんだけど、今日一日ずっと、自分が邪魔者なんじゃないかって思ってた」
——「そうよ」
ユキはその率直な返事に驚いた。
——「悪く思わないで。ただ、私は彼女と二人きりで来たかっただけ。でも彼女が条件を出したの」
——「どんな?」
——「誰かもう一人連れてくること」
再び沈黙が流れた。
——「じゃあ、まだ恋人同士じゃないんだね?」
ユキが尋ねた。
——「そうありたいけど……」
——「本当? じゃあ、アリーナでのキスは……」
麗奈はそれを思い出して少し顔を赤らめた。一週間の中で初めて見る表情だった。
——「学園中の皆に、あの子が私のものだってはっきりさせたかったの」
ユキが少し笑った。麗奈はそれを聞いて少し怒っているようだった。
——「なんだかロマンチックだね」
幸運だった。会話はうまく進んでいるようだった。ゆっくりだが、この会話が終われば、麗奈のルートは再び開かれるだろう。
——「二人はいつから知り合いなの?」
——「五年前からよ。でも零は覚えていないみたいだけど」
ユキは驚いたようだった。
——「ああ、幼なじみみたいなもの?」
——「違うわ。話したこともないの。彼女に命を救われたの。ダンジョンで」
待て……ダンジョン……俺が五年前に救ったのは、茶色い髪の少女だけだ……
だが、点と点が結ばれる前に、何かが起こった。
遠くで爆発音が聞こえた。
そして突然、
すぐにそれが見えた。
遠くで紫色のオーラが広がり始め、それと共に悲鳴が上がり始めた。
隠れ場所から飛び出す。麗奈とユキは俺の存在に気づき、走ってきた。
——「何が起きてるの?」
ユキが言った。
——「空気中の魔素が急に重くなった。まるでダンジョンの中にいるみたいに……」
本当に、よりにもよって今日かよ。
黒い毛並みの狼が走り出した。
通路を。
一匹が女性に襲いかかろうとしていた。
だが、女性が傷つく前に、麗奈が買ったばかりのレイピアで狼の頭を貫いていた。
麗奈は女性を見た。
——「走って!」
彼女は叫んだ。
ゲームの最初のダンジョンが、ついに開かれたのだ。




