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雷下の改新〜霹靂伯の異世界教育改革〜  作者: 囲魔 美蕾


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第6話 ぼっちと召喚

  魔電製品を発売し始めて一年が経った。売上は好調も好調、たった一年で世間を席巻した。この一年で魔電管理者という職業までできるほどだ。魔電管理者というのは、雷属性の魔石への充電の他、メンテナンスも請け負う仕事である。多少の魔術と機械的な知識は必要だが、制作ではないため錬金術は必要ない。努力で勝ち取れる仕事とあって、雷属性魔術師からの人気はとてつもないものであった。


 また、冒険者の中でも雷属性魔術師をパーティに加入させるのが流行っているらしい。もともと攻撃に関しては注目されていたが、魔電製品によって旅が快適になるのが良いらしい。こうして、前世の記憶を取り戻して四年で雷属性魔術師の待遇改善は為ったのであった。


 中には魔電製品開発のお礼にと自分の家でできた食べ物や、作った製品などを持ってきてくれる人たちも少なからずいるらしい。貴族の屋敷にそれは気安すぎないかと思うが、そういう気安さもシュタイン家の良いところだ。冒険者なんて次の開発のためにと希少な素材を分けてくれる者までいるとか。おかげでシュタイン家にはミスリルや魔鋼などの良い金属が結構な量集まっている。この間は高名な冒険者パーティがアダマンタイトとオリハルコンを少し持ってきたようで、それは騒ぎになっていた。この世界でもアダマンタイトとオリハルコンは貴重らしい。価値観が合っていて良かった。


 ただ、代償として先生が全く家に来れなくなってしまった。魔電製品の開発者の片割れとして、未成年の僕の代わりに矢面に立って方々を飛び回っているのだ。魔電製品に関する講演や整備技術の伝授、果ては王族に献上なんてこともしているらしい。先生は元々王家お墨付きの錬金術師なのでその辺りはうまくやってくれることだろう。




 ということで、困った。この世界に来て久しぶりのぼっちである。正確には使用人たちは世話を焼いてくれるが、今年成人のマイン兄上は成人の儀の準備で忙しく、それは父上母上も同様。カイン兄上はそんなマイン兄上を支えるため猛勉強中。貴族だから家庭教師くらいいると思ったのだが前世の知識により基本事項の読み書き計算は早々に卒業、この世界特有の歴史や地理なども履修済み。魔術はルイス先生に教わったので今は自己研鑽。貴族的なマナーは三男なので最低限でよく、あと一年は始まらない。なので今は剣術くらいしか習うことがないが、毎日あるわけではない。よってほとんどの日が一人で自己研鑽しかないんだよね。




 寂しくなった僕は【召喚術】を試してみることに決めた。元々孤独にならないために取得したスキルだし、保有魔力量もかなり上がったし、やるなら今だと思ったのだ。


 【召喚術】のやり方は、地面に液体金属で召喚陣を描いてそこに魔力を流すだけ。後は自分に相性の良い仲魔が現れるということだ。仲魔というのは仲間になってくれる魔術的存在らしい。魔術的存在ってなんだと思って調べたら、体が魔力でできている写身らしい。意識は本体のままだし、本体は異空間に飛ばされて保護されるとのことだがなんだそのオーバーマジックテクノロジーは。


 で、相性が良いというのは単に性格のことではなく、魔力の多さや調伏できるかが鍵になっているようで、手がつけられないということはなさそうだ。


 とはいえ屋内でやるわけにもいかないので剣術の鍛錬に使っている運動場を借りる。流石は伯爵家、学校の校庭ほどの運動場を持っている。何があるかわからないからと人払いも済ませてある。つまり、何があっても自己責任ということだ。自分の身は自分で守るしかない。




 さて、液体金属ということで水銀を思い浮かべたのだが、この世界には魔水銀というものがあるらしい。水銀が人体に有毒なのに対し、魔水銀は魔術触媒として扱われ、大量に摂取しなければそこまでの害はないらしい。ということでレッツトライ。


 前世のガラスペンを大きくしたような文房具? で召喚陣を描き、魔力を流してみる。最初は少しずつ流そうとしたが、一気にグンと吸われてしまう。保有魔力の半分くらい持って行かれた。先生との魔電製品製作の後さらに鍛錬を続けて常人の十倍になった魔力量の半分である。何が出てきてもおかしくないと気を引き締める。


 すると光に包まれて出てきたのはとびきりの美女。あの女神様にも匹敵すると思えるくらいの美女である。女神様がほわほわ系の美女ならばこちらはキリッとした美女だ。




「はじめまして。アイン=シュタイン。貴方のことは存じています。見ていましたから。私はレイヌ。精霊の女王です」


「あ、それは改めまして。アインです。召喚に応じてくれてありがとうございます」




 とりあえずは丁寧な挨拶。これ大事。ていうか精霊の女王? とんでもない大物が来たな。




「……」


「……」


「……何をしているのでしょうか?」


「……実は初めての召喚でどうしたらいいかわからなくて……」




 そうなんだよね。【召喚術】自体が珍しいスキルなのであまり詳しくわからなかったんだ。本にも「こうしたら召喚できます」は書いてあったけどそこから先が載ってなかったんだよ。ということで割と相手任せだったりする。




「どうもこうもありません。召喚したら従えと命じれば良いのです。元々そうできる者しか喚ばれないのですから」


「それはちょっと……。あ、そうだ、契約しようよ」


「契約ですか?」


「そうそう、契約。僕が力を貸してもらう代わりに、レイヌの本体が困ったら僕が助けるとかどう?」




 そう、契約だ。幸いなことに、僕は既に世界一の商会の会頭と契約を結んでいるのである。やり方に関してはばっちりだ。




「そんなことをした例はないと思いますが……。まあ、貴方が言うのであれば良いでしょう。では契約をお願いします」


「うん。人間同士なら契約書を交わすんだけど、仲魔となら多分魔術刻印にすれば大丈夫だと思うんだよね」




 魔術刻印とはその名の通り魔術で刻まれた印のことである。それに契約事項を書いて互いに魔術回路に刻むのだ。


 ということで互いに魔術刻印を刻むと……




「驚きました。お互いに力が上がったようです」




 精霊女王ですら驚きの結果になったようだ。

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