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雷下の改新〜霹靂伯の異世界教育改革〜  作者: 囲魔 美蕾


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第12話 先生再来

 使用人たちへの教育が軌道に乗ってきた頃。元々優秀な者たちを集めているので物覚えも大変よく、教えたことはすぐに身につけてくれるし、お互いに理解しきれないところを空き時間に教え合ったりもしているようだ。僕の教え方を真似している者も多く、忙しい中紙の作成を願い出てきてプリントを作る面倒見の良い者までいる。僕とティアで回らないところまでフォローしてくれて嬉しい限りである。おかげでどこに出しても恥ずかしくない、王家ですら欲しがるであろう一流の使用人団が完成しつつある。


 そんなある日久しぶりにルイス先生が来訪した。


「やあ、久しぶりだねアインくん。元気にやっていたかい?」

「はい、先生。先生には色々とご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「いやいや、子どもが大人に迷惑とか考えちゃいけないよ。それに、おかげで色々なところに顔を繋げてね。僕も助かっているんだよ」


 確かに貴族やら王族やらにも魔電製品が売れていたから、先生は方々を飛び回ることになり、新たに知り合った者もいたわけか。


「それでね、あまりに開発者に挨拶したいと言う者が多くて、なら呼べるだけここに呼んで顔見せしたらどうかと思って来たんだよ」

「えっ」


 どうしてそうなるんだ。別に開発者なんてどうでもいいじゃないか。


「いやー、そりゃあんな便利な物を開発した天才には唾をつけておきたいよね」


 そういうことかー。要するにどんな人物か知った上で役に立ちそうなら取り込もうという算段なのね。でもそれを防ぐために先生がいたんじゃないの?


「遅かれ早かれ貴族なら出会うんだし、僕やザイン様が守ってあげられる内に会っておいたほうが良いんじゃないかとザイン様に伝えたら了承をいただけたよ」


 ああ、逆に補助輪付きでやったほうが安全なのか。考えてみれば確かにそうだ。家督を継がない以上、誰かに守ってもらいつつ交友を広げられる機会はなかなかないしね。


「今案内状を出してもらっているから、二ヶ月後くらいには顔見せ会になるよ。せっかくだから新しい製品とか作ってみる?」


 なるほど。向こうに思惑があるのならこちらも何か仕掛けるのはありだね。ちょうど授業で欲しいと思っていた物があったからそれにしようかな。


「アイデアはあります。でもその前にウチの使用人たちを見ませんか?」




「使用人たちにこんな教育を? 聞いたこともないよ。しかも皆嬉しそうだ」


 先生が驚きを口にする。見てもらったのは使用人への授業である。今日は貴族的な手紙の書き方と立体の体積の求め方の授業の日だった。相変わらずプリントを配って行っている。


「学べば学ぶほどにスキルアップして給金が上がるんです。それに、昇格もしやすくなりますし、仮に使用人を辞めても役立つはずです」

「そこまで考えているのかい? 君は本当に……」


 使用人に支払う金額は増えたが、僕が魔電製品の売上で得たお金を家にいくらか入れているので問題ない。むしろ、使用人たちのやる気がこれまで以上になり嬉しいくらいだ。


「それはそれとして、なぜ僕にこれを見せたのかな?」

「今は紙に書いて個人個人に渡していますが人数が増えれば大変になります。そこで、皆が見える大きな板に書いて伝えられたらなって」

「なるほど、大人数への教育を考えているんだね。そして顔見せ会で使用人を見た者たちは教育に興味を持ち、買わざるを得ない、か。考えられているね。しかもあの良質な紙だ。あれだけ贅沢に使えるなら作れるんだろう? それも売ろうと言うんだね」


 イメージは黒板やホワイトボードだが、どちらかといえば電子黒板に近いかな。「書く」と「消す」を付与の効果で付ければ簡単に書いたり消したりができる。紙は作れるのでノートを量産して各人にメモを取らせる。これは読み書きを学んだ後だからできることだ。普通紙の量産は今のところ僕とミラー商会の専売特許なのでこちらも買ってもらう。何人か使用人が引き抜かれるかもしれないがそれはそれで交渉のネタになるので問題なし。むしろ引き抜き先で出世してくれれば本人的にも良いかもね。



 ということで久しぶりの先生との合作制作の開始である。「書く」と「消す」を板の方に付与するか筆記具に付与するかで迷ったが、板には「消す」のみ付与し、「書く」筆記具と「消す」筆記具を用意することになった。要するに筆記具はチョークやマーカーとイレーサーを作り、板の方に一気に全部消す機能を付けたのだ。書くのと消すのは板に筆記具で触れるだけででき、全部消したいときは板の方に付いたボタンを押せばいいようにしてみた。板の大きさは縦1メートル横4メートル程度の標準的な大きさで、キャスターの付いた脚を付けた。素材は鉄板にアルミニウムをコーティングしてみた。プラスチックは原料である石油がどこにあるかわからずまだ作れないんだよね。なのでホワイトボードではなく黒板ベースだ。

 ノートに関してはそんなに難しくなく、紙を束にして錬金術でくっつけるだけ。表紙は少し厚みのある紙にするのも忘れない。

 そうしてできた教育セットを使い授業をしたが、自分でメモを取ることで理解度も上がり、考える力もさらに伸びた。早速ミラー商会に制作を依頼すると、会頭が鼻息を荒くしていた。

 そんなこんなしているとあっという間に顔見せ会の日がやってきたのだった。


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