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最強魔王が異世界で勇者になりました  作者: 湯切りライス
第3章エルフの里編
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ベヒモス

「"クラウ・ソラス"」


 剣聖アレクサンダーを降霊したガミジンの持つ金色の聖剣が真名を唱えると、宙に浮き、12本に増えた。

 これが剣聖アレクサンダーの持つ聖剣"クラウ・ソラス"の真の姿だ。

 聖剣は持ち主を認めた時にだけ真の姿を解放すると言われている。

 剣聖アレクサンダーと言えば勇者ヤマトが生きた1200年前の戦いにおいて、ヤマトと共に戦ったといわれる大英雄だ。

 アレクサンダーはたった1人で万の軍を葬ったとすら言われている。

 "クラウ・ソラス"を解放できるという事は、あれは間違いなく剣聖アレクサンダーなのだ。


 ガミジンは12本の聖剣を一斉にエルザへと向けた。


「"攻"」


 12本の全てから白き光の光線を放たれた。

 それはララの"シャイニング・レイ"とよく似ていた。

 光の光線はエルザの搭乗する"ベヒモス"に全て直撃した。

 "ベヒモス"が光に包まれる。

 しかし、その光の中から"ベヒモス"は無傷で現れた。


 この"ベヒモス"のアダマンタイトのボディには出力を上げれば上げるほど強度の増す、ディスター特製の障壁の魔法が張り巡らされている。

 この程度の攻撃では障壁は揺るがない。


 エルザは右腕に付けられた魔導銃を構えた。


「・・"魔導銃"」


 左腕の魔導銃が火を噴く。

 高速で鉛の弾がガミジン相手に乱射された。


「"防"」


 "クラウ・ソラス"の6本が六角形の型に並び、障壁を展開した。

 魔導銃の鉛の弾は全てその障壁に防がれた。


「"魔導砲"」


 エルザは魔導銃を乱射しながら横に飛び、魔導砲を放った。

 すると残りの6本も六角形を形成し障壁を展開した。

 守りはかなり硬いらしい。

 どうやら飛び道具では厳しそうだ。

 ならば、とエルザは"ベヒモス"を操り、接近戦を仕掛ける事にした。


 "ベヒモス"が轟音と共に地面を蹴ると、一瞬でガミジンの前にまで辿り着いた。

 "ベヒモス"はその太い腕をガミジンへと振り下ろした。

 ガミジンはそれを2本の"クラウ・ソラス"で防御するが、"ベヒモス"の腕はその防御を易々と吹き飛ばした。

 "ベヒモス"の腕がガミジンへと突き刺さり、ガミジンの身体は吹き飛んだ。


 "ベヒモス"の肉弾戦の性能は全力で身体強化を施したディスターと殴り合えるほどである。

 そんな"ベヒモス"の攻撃がその程度の防御で事足りる筈がなかった。


「ガッ・・!貴様!」


 ガミジンは頭から血を流しながら再び向かってきた。


「"クラウ・ソラス"」


 "クラウ・ソラス"の6本が重なり、1本の巨大な、白き光を纏う剣となった。

 ガミジンはそれを上段に構え、そのままの姿勢で接近してきた。


 巨大な光の剣が"ベヒモス"に振り下ろされる。

 エルザは"ベヒモス"の両腕を交差させ、それを防御した。

 "ベヒモス"の腕の装甲は最も硬くなっている。

 だが、巨大な光の剣は"ベヒモス"の腕に深い切れ込みを入れた。

 つまりあの剣は障壁を破り、更にアダマンタイトで出来た装甲を斬ってみせたのだ。


「くくっ、切断とまではいかなかったか」


 初めて傷を付けた事に喜ぶガミジン。

 しかし。

 "ベヒモス"の腕の傷は瞬く間に修復していった。


「・・鎧が再生する、だと」


 ガミジンはそれを見て忌々しそうに"ベヒモス"に乗るエルザを睨み付けた。


 ガミジンは更に別の6本の聖剣を重ね、計2本の白き光を纏う巨大な剣を作り出した。

 それを両手に構える。


「その忌々しい鎧を剥ぎ取ってくれる!」


 そこからガミジンの怒涛の攻勢が始まった。

 ガミジンは2本の巨大な剣を巧みに操り、確実に"ベヒモス"のアダマンタイト製のボディに傷を付けていく。

 だが、"ベヒモス"のボディもエルザの魔力が続く限りは再生するが、それも限度がある。

 切り札を使いたいところではあるが、そんな隙をこの相手は見せない。

 ならば、その隙を作ってやろう。


「・・貴方の力はそんなもの?期待はずれ」


 エルザはガミジンを挑発する事にした。

 この悪魔はプライドが高い。

 きっと挑発に乗ってくるだろう。


「・・そんな剣じゃこの"ベヒモス"は崩せない」


「いいだろう!そんなに死にたいのなら今すぐ殺してやる!」


 見事挑発に乗ったガミジンは後ろに下がると、"クラウ・ソラス"が再び12本に分かれた。

 そして、円状に整列しその剣の切っ先がエルザに向けられた。


「・・セット」


 対してエルザは切り札の準備を整えた。

 "ベヒモス"の背中から2本の巨大ならレールが現れる。

 そして"ベヒモス"から稲妻が迸った。


「死ぬがいい!」


 ガミジンが叫ぶと、12本の聖剣が円状に高速で回転していき、そこから極大の白い光線が放たれた。

 先程までの光線の数倍以上の大きさの光線だ。

 それはエルザに真っ直ぐ向かってきた。


「・・電磁投射砲(レールガン)


 バチッ、という轟音と青い閃光と共に鋼鉄の砲弾が超音速で放たれた。

 音速を超えた鋼鉄の砲弾は白い光線を易々と破り、そしてその延長線上にいたガミジンの上半身を消し飛ばした。

 鋼鉄の砲弾が通った地面には焼け焦げた後と、青い閃光が迸っている。


「ガッ・・まさかこの儂がこんな小娘に・・」


 剣聖アレクサンダーの姿から黒ローブの老人の姿に戻ったガミジンはそのまま砂となって消えていった。


 ガミジンが倒れた事でアンデッド達の統制が崩れ、アンデッド達はバラバラに動き出した。

 これ以上アンデッドが増えることも無いだろう。


 エルザはララと共に残ったアンデッド達を掃討した。


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