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最強魔王が異世界で勇者になりました  作者: 湯切りライス
第3章エルフの里編
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集団失踪

「失踪?どういうことだ」


 まずは現状を正確に把握しなければならない。


「言葉通りよ。里中の人が急に居なくなってしまったの」


 詳しく聞いてみると、基本的には外出していた人達が男衆女衆関わらず軒並み姿を突然姿を消してしまったらしい。

 失踪した人々は総数で言えば里の住人の半数ほどにのぼる。


「まだ帰ってきていないだけという可能性はないのか?」


「一度にこれだけの人が?一部はそうかもしれないけど、大多数はあり得ないとの見解よ」


 近くにいたエルフの男衆達がエミリアの言葉に頷く。

 ではこの失踪が人為的なものだとすると。

 この白昼に堂々とこれだけ多くの人を誘拐する事は可能なのだろうか。

 そう考えた時に、ふと先ほど襲われた黒い鎧の騎士達が頭をよぎった。


 仮に、あの騎士達が自分以外の、例えばその手に触れている人も一緒に姿や気配を消せるとしたら。

 これだけの事も可能なのではなかろうか。


 俺は先程の出来事をこの考察も含めてエミリア達に話した。

 それにリーラが補足を入れる。

 最長老筋であるリーラからの言もあり、俺の言葉がより現実味を帯びていく。


「でも1つ気になる事があるわ。あの黒い鎧の騎士達の仕業だったとして。奴らはどうやってこの里に入ったの?」


 リーラの疑問はもっともだ。

 何故なら先程襲われた森の中と違い、この里はヤマトにより展開されている、霧の迷いの結界に囲まれているからだ。

 迷いの結界は俺たちが戻ってきた時にも問題なく機能していた。

 そして、失踪は俺たちが戻ってくるよりも前に発生している。

 ということはつまり。

 これが奴らの仕業なら、奴らは迷いの結界を何らかの方法で抜けてきた、という事になる。


 迷いの結界を"通行証"無しで抜ける事は不可能だ。

 それは間違いない。

 だが、"通行証"を持つ人間に同行すれば、迷いの結界は抜ける事ができる。

 俺の頭に嫌な想像が浮かんだ。

 考えたくはないが、この里に内通者がいるのではないか。


「とにかく、今日はもう暗くなる。暗くなった状態で失踪した人達を探すのは困難よ。明日の朝すぐに捜索隊を派遣しましょう」


 リーラの号令により、この場は解散する事となった。


 リーラの家族は幸いな事に全員無事だった。


「一体この里に何が起きてるの・・」


 リーラは不安そうに言った。

 俺は内通者の可能性をエミリア達には話していた。

 リーラにはそれはまだ話していない。

 彼女が内通者であるとは考えたくないが、万が一がある。

 本人にその気は無くても、敵には洗脳魔法が使える魔族もいる。

 リーラやリーレ、ターラに洗脳魔法などの気配はないが、俺が気付かないだけでそれ以外に人を操る術もあるかもしれない。

 今この里で俺が信用できるのは精神魔法系統の防護の魔道具を肌身離さず身に付けているエミリア達だけだ。

 彼女達に何かあったからでは遅い。

 警戒を緩める訳にはいかない。


 俺達は今日は1つの部屋で交代で眠る事にした。

 リーラ達はもちろん別室である。


 夜も警戒を緩める事は無かったが、特に俺たちの身に何かが起こる事はなかった。


 異変は次の日の朝にやってきた。

 リーレが俺たちの部屋に焦った様子で駆け込んできた。


「リーラちゃんがいないの!」


 リーラの部屋の窓は開放されていた。

 リーラが失踪した。

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