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第10話 結界破壊

無駄だと影宮には言われたけど、あたしは透明な壁を蹴ったり殴ったり、何とかしてここから出ようと試みる。でも、全部ボヨンボヨンと跳ね返されるばかりで、手応えがない。

あたしの周りに円を描くように結界が貼ってあるみたいで、あたしは360度どこに行こうと出られない。

「くそぉ! 影宮あいつ許さない!」

悪態をついてから、急に心細くなってきた。

……影宮。

帰ってくるよ、ね?

もしももしも帰ってこないなんてことがあったら、あたしはここから出られない。

それってすっごく怖いけど、それだけじゃない。

ひとりで怪異を倒しにいった、あの背中を思い出す。

ねぇ、影宮。確かにあんたは怪異警察なのかもしれないけどさ。

結局は、あたしとおんなじ中学生でしょ?

どうして、ひとりで全部背負おうとしてるみたいな顔するの?

……どう考えても、彼の体力は限界だった。

あたしを走ってここまで連れてきて、それだけで苦しそうだった。顔色も心配になるくらい悪かった。学校の体育でさえ見学してるくらいなのに。

それなのに、さらに怪異を倒しに行くの?

それじゃあ、壊れちゃうよ。

……やっぱり、あたしはここから出たい。出て、影宮のところに行きたい。

ううん、行きたいじゃなくて、行くんだ!

そう決めたら、全身に力がみなぎってくるのを感じた。

円の直径は大体15mくらいかな。

十分な助走距離はある。

あたしは円の端っこまで行って、大きく息を吸う。

そして、思いっきり助走をつけて、透明な壁へ向かう(突進する)!

「スーパーウルトラハルキーックー!!!!!」

某パンのヒーローの「アンパンチ」みたいな咄嗟に考えた決め台詞を叫びながら、あたしは壁を、全身の力を込めて蹴った。

ずぼっ。

「!」

今、確かに、足が壁を突き抜けた感覚があった。

あたしは足を抜いて、恐る恐る足が貫通した部分に手を伸ばしてみる。

腕は跳ね返されなかった。

「やったあ!」

あたしは歓喜の声をあげる。

ここから出られる!

あたしはその部分に頭を突っ込む。

かなり小さいみたいだったけど、スライムみたいな質感だからか、ぐにゅりと変形して広がった。

あたしは穴から悠々と出る。

秋の風があたしの頬を掠めていった。

思いっきり伸びをする。

あの機械音声みたいな声は、秋桐町3丁目って言ってたよな。

そこで、今、影宮が戦ってる。

一刻も早く行かなきゃ!

あたしは全速力で駆け出した。

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