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第49話「大坂夏の陣、黄金の城燃ゆ」
「秀長、あかんわ。城が……わしの自慢の金ピカの天守が燃えとるがや。淀も、秀頼も……みんなあの中におるんだぞ! 家康、おみゃあさん約束が違うじゃにゃあか!」
万作は雲を掴んで激しく揺らし、泣き叫んでいた。眼下では、夕闇を赤々と照らす大坂城が巨大な松明のように炎を上げている。万作が一生をかけて積み上げた富も権力も、そして豊臣という名前も、すべてが業火に飲み込まれていく。
「兄上、もう見てはいけません。形あるものは全て崩れるのです。それでも、私たちが駆け抜けたあの時間は、誰にも燃やすことはできません。もう十分です、彼らを迎えに行ってあげましょう」
秀長は静かに万作の肩を抱いた。万作の目には、かつて自分が苦労して一石一石積み上げた石垣が崩れ落ちる様が映っていた。
「……秀長。わし、本当に天下人だったんかね。こんなに簡単に燃えてまうなんて、やっぱり長い夢を見とっただけみたいだわ。寂しいなぁ、秀長……」
万作は、燃え盛る城に向かって、最後に手を振った。その涙は雨となって下界に降り注ぎ、ひとつの時代の終わりを弔うように静かに炎を鎮めていった。




